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FBI・SWAT・Preserving Safe Communities by Ending Swatting Act――米国で急増する「スワッティング」被害と法規制強化の最前線

FBI・SWAT・Preserving Safe Communities by Ending Swatting Act――米国で急増する「スワッティング」被害と法規制強化の最前線 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-01 07:24 by admin

2025年4月30日、FBIは米国内で多発するスワッティング(虚偽通報による武装警察出動)事件への対策を強化した。

スワッティングは、他人の個人情報を使い重大犯罪が発生していると偽って通報し、SWAT部隊などを出動させる悪質な犯罪である。

2025年3月にはポッドキャスターのニック・ソーターやショーン・ファラッシュ、テキサス州で4月2日に殺害された17歳のアスリート、オースティン・メトカーフの家族宅などが標的となった。

2024年12月には下院議員マージョリー・テイラー・グリーン(ジョージア州選出)も被害を受け、出動したSWAT隊員が交通事故で女性を死亡させる二次被害も発生している。

FBI長官カッシュ・パテルは「スワッティングは命を危険にさらす犯罪」とし、政治的動機ではなく公共の安全のために取り締まりを強化すると表明した。

米国ではスワッティングを直接取り締まる法律はまだ成立していないが、2025年1月に「Preserving Safe Communities by Ending Swatting Act」が議会に提出されている。FBIは個人情報管理や多要素認証の利用など、被害防止策の徹底も呼びかけている。

from:FBI steps in amid rash of politically charged swattings

【編集部解説】

スワッティングは、デジタル社会が生んだ新たな暴力の形態です。単なる悪ふざけではなく、実際に死傷者が出る深刻な犯罪へと発展しています。特に政治家や著名人、ネット配信者など、社会的に注目されやすい人物が標的になりやすい傾向にあります。2024年12月の下院議員マージョリー・テイラー・グリーン氏の事例では、二次被害としてSWAT隊員の交通事故死まで発生し、社会的影響は拡大しています。

FBI長官が「政治的動機ではない」と強調する一方で、近年の事件は政治的分断やヘイトクライムの文脈でも多発しています。現時点で米国にはスワッティングを直接取り締まる連邦法はなく、関連法案が提出されたばかりです。今後はAIによる通報音声解析や発信元追跡技術など、テクノロジーの力も活用した総合的な対策が求められます。

スワッティングは、ネット上の情報拡散や個人情報の流出と密接に関係しています。今後は法整備だけでなく、社会全体でのリテラシー向上や倫理観の醸成も不可欠です。デジタル時代のリスクと向き合うために、私たち一人ひとりができる備えについても考えていく必要があるでしょう。

【用語解説】

スワッティング(Swatting)
虚偽の緊急通報を行い、警察の特殊部隊(SWAT)を無関係な第三者の元に出動させる犯罪。米国を中心に問題化している。

SWAT(Special Weapons And Tactics)米国の警察に設置されている特殊武装戦術部隊。凶悪事件やテロへの対応を主な任務とする。

FBI(Federal Bureau of Investigation)
米国連邦捜査局。テロ、サイバー犯罪、組織犯罪など広範な捜査を担当する機関。

Preserving Safe Communities by Ending Swatting Act
2025年1月に米議会に提出されたスワッティング対策法案。重傷者発生時に最大20年の禁錮刑を科すなど厳罰化を図る内容。

【参考リンク】

FBI公式サイト外部)
米国連邦捜査局の公式サイト。サイバー犯罪や各種犯罪対策の最新情報を掲載。

Preserving Safe Communities by Ending Swatting Act議案情報(外部)
米国議会公式サイト。スワッティング対策法案の詳細や審議状況を確認できる。

リック・スコット上院議員公式サイト(外部)
法案提出者の声明やスワッティング対策に関する政策情報を掲載。

【編集部後記】

スワッティングのような新しいデジタル犯罪が、私たちの生活や社会にどんな影響を与えるのか、みなさんはどう感じますか?
日本でもSNSを通じて個人情報が拡散しやすくなっている今、スワッティングのような犯罪が他人事ではなくなりつつあります。
SNSが日常に浸透した現代、もし自分や家族が突然標的になったら、どんなリスクや備えが必要だと思いますか?
デジタル社会の光と影、その両面を一緒に考えてみませんか?

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TaTsu
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