Last Updated on 2025-05-09 15:46 by admin
Googleは2025年5月8日、Androidスマートフォン向けのGoogle ChromeにAI「Gemini Nano」を活用した新しい詐欺検出機能を発表した。この機能は、ウェブページ上で偽のセキュリティ警告や詐欺的な通知を表示するサイトを、端末上でAIがリアルタイムに検知し、ユーザーに警告通知を送る仕組みだ。通知には該当サイト名と警告メッセージが表示され、ユーザーはワンタップで通知の購読解除やホワイトリスト登録ができる。2025年後半にAndroid向けから提供開始予定で、今後は荷物追跡詐欺や有料道路詐欺などにも対応範囲を拡大する方針。従来のブロックリスト方式に加え、端末上AI判定により、平均寿命10分未満の新手の詐欺サイトにも迅速に対応できるのが特徴である。
References:
Google Chrome is getting an AI-powered scam sniffer for Android phones
【編集部解説】
Googleが導入するAI詐欺検出機能は、従来のセーフブラウジングやブロックリスト方式を進化させ、未知の詐欺サイトや通知スパムにもリアルタイムで対応できる点が大きな特徴です。Gemini Nanoが端末上で動作することで、クラウドにデータを送信せずプライバシーを守りながら、ユーザーが実際に目にする形で脅威を解析できる設計になっています。
詐欺サイトの多くは平均10分未満という短命で、従来のブロックリストでは対応が追いつかないケースが増えていました。今回のAI導入により、ユーザーがアクセスした瞬間に危険を検知し、即座に警告できるため、被害の未然防止が期待されます。
一方で、AIによる自動判定には誤検知や、AIモデルの脆弱性といった課題もあります。また、端末上でAIが動作することでバッテリー消費やパフォーマンスへの影響も考えられます。今後は、こうしたリスクへの対応やユーザー体験の最適化が重要となるでしょう。
この技術は、従来の「後追い型」から「リアルタイム予防型」への転換を象徴しており、今後はさまざまなオンライン詐欺や悪質な通知への応用が期待されます。Googleの取り組みは、ウェブの安全性とユーザー体験の向上、そして進化する詐欺への先回り対応という観点から、今後のインターネット利用環境に大きな影響を与えると考えられます。
【用語解説】
Gemini Nano:GoogleのAIモデル「Gemini」シリーズの端末内動作版。スマートフォンやタブレットでリアルタイムにAI処理ができる。
AI(人工知能):人間の知能を模倣し、学習や推論、認識などを行う技術。詐欺検出や自動警告に活用されている。
セーフブラウジング(Safe Browsing):Googleが提供する危険なサイトやファイルからユーザーを守るセキュリティサービス。
テックサポート詐欺:「ウイルス感染」などと偽り、サポートを装って金銭や個人情報をだまし取る詐欺手法。
通知スパム:サイトの通知機能を悪用し、詐欺や広告などを大量に送りつける行為。
【参考リンク】
Google Chrome公式ページ(外部)Googleが提供する高速・安全なウェブブラウザの公式サイト。ダウンロードや機能紹介を掲載。
Google AI Edge SDK(Gemini Nano解説)(外部)スマートフォンなど端末上で動作するAIモデルGemini Nanoの概要と技術情報を掲載。
Google Safe Browsing公式ページ(外部)危険なウェブサイトやファイルからユーザーを守るGoogleのセキュリティサービス。
【参考動画】
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