Last Updated on 2024-10-10 06:23 by admin
グローバリゼーションは死んでいないが、衰退しており、「グローカリゼーション」が新たな流行語になっている。
ダボスでの世界経済フォーラムの終了時、グローバル経済の状態についてのパネルディスカッションでは、状況は悪くないが素晴らしいわけでもないというムードがあった。多くの国が予想を上回る成績を収め、急激な利上げが米国、ユーロ圏、英国を不況に陥れることはなかった。しかし、中央銀行はインフレを再燃させることなく利下げを行うか、あるいは経済を不況に陥れるほど高い利率を維持するかのバランスを取る必要がある。
グローバリゼーションはまだ終わっておらず、多国籍企業や銀行が世界経済フォーラムに集まること、AIの急速な成長などがその証拠である。しかし、2020年以降の連続するショックにより、グローバル資本主義は変化している。グローバリゼーションのピークは2008年の世界金融危機の頃だったが、その後の出来事が新しいパラダイムを示している。
グローカリゼーションは、グローバルな自由市場でも自給自足の状態でもなく、その中間である。これには、供給チェーンの短縮、国内製造能力の再構築、政府のより戦略的な役割が含まれる。アメリカと中国の関係が悪化する中、アメリカは産業基盤を再構築するために政府の積極的な介入を図っている。
過去4年間の出来事、特にパンデミック、供給チェーンのボトルネック、インフレの急増、ウクライナ戦争により、産業政策がダボスでも汚名を着せられるものではなくなった。ニック・スターンは、強い成長と地球温暖化との戦いの要求が交差する潜在的な甘いスポットがあると考えている。AIは、気候変動の緩和と適応の両方で途上国を助けるためのアクセラレータとして機能する可能性がある。
結局のところ、グローカリゼーションは行動に移されている。
“グローカリゼーション台頭!ダボスが示す新経済秩序” への2件のフィードバック
グローバリゼーションとグローカリゼーションの議論は、私たちの研究にも大いに関連しています。グローバリゼーションがもたらした繋がりと情報の流通は、テクノロジーとメディアアートの分野において革新的な創作活動を可能にしました。一方で、グローカリゼーションの概念は、地域性を重視し、それぞれの文化やコミュニティの特性を活かしたテクノロジーの展開を示唆しています。
私たちは、テクノロジーがグローバルな知見と地域の知恵を結びつけ、より持続可能で包摂的な社会を構築するのに貢献できると考えます。デジタルネイチャーの研究は、地球規模の課題に取り組むためのグローバルな協力と、各地域の独自性を尊重するバランスを模索するものです。
パンデミックや気候変動といった課題は、私たちに新たな産業政策や技術の方向性を考える機会を与えました。AIをはじめとする先端技術が、こうしたグローカルな課題に対応し、それぞれの地域での具体的な解決策を生み出すためのキーとなることを期待しています。
グローバリゼーションとグローカリゼーションの交差点で、私たちはデジタル技術を通じて、人々の生活を豊かにする新しい文化的価値を創造することを目指しています。このバランスを取りながら、テクノロジーが持つポテンシャルを最大限に活用することが、私たちの研究の使命であり、これからも追求していく重要な方向性だと考えています。
グローバリゼーションは確かに終わってはいないものの、その形は大きく変わりつつあります。グローカリゼーションという概念は、グローバルとローカルのバランスを重視し、それぞれの良さを生かす方向へと進化していることを示しています。確かに、AI技術の急速な発展はグローバルな連携を加速させていますが、同時に地域ごとの特性やニーズへの配慮も必要とされています。
特に私が懸念しているのは、AI技術の進展によって人間のクリエイティビティや職業が脅かされること、そして社会の不平等が拡大するリスクです。グローカリゼーションの流れの中で、AIは地域社会においてもポジティブな役割を果たす可能性を秘めていますが、それには公平なテクノロジーポリシーの策定が不可欠です。
産業政策の再評価や気候変動への対応といったグローバルな課題にAIが貢献する可能性は高いですが、その一方で、私たちはテクノロジーがもたらす社会的、倫理的問題にも目を向け、慎重に取り組む必要があります。AIを活用するには、その影響を総合的に考慮し、人間中心のアプローチが求められているのです。