ソニーグループは2024年8月23日、独自のブロックチェーン「Soneium(ソネイアム)」を開発したと発表した。Soneiumは、Web3の基盤となるインフラストラクチャーネットワークであり、イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして機能する。
開発を担当したのは、ソニーグループとStartale Labs Pte. Ltd.の合弁会社であるSony Block Solution Labs Pte. Ltd.(本社:シンガポール、会長:渡辺潤)で、2023年9月にブロックチェーンの企画・開発を発表し、2024年8月に社名を変更した。
Soneiumは、誰でも参加できるオープンなパブリックブロックチェーンとして設計されている。ソニーグループは、Soneiumを通じてインフラからアプリケーション層まで包括的なWeb3ソリューションを提供することを目指している。
近日中に、アプリ開発者向けのSoneium「テストネット」をリリースする予定であり、将来的には「メインネット」の一般公開を目指している。
ソニーグループは、Soneiumを活用して、クリエイターの権利保護、新しい利益還元メカニズム、デジタルとリアルの世界をまたぐクリエイターの活動機会などを探求する予定である。
8月28日と29日に東京で開催されるWebX、9月18日と19日にシンガポールで開催されるToken2049において、渡辺潤氏と渡辺創太氏がSoneiumの概要と方向性について講演を行う予定である。
from:Sony, Electronics Pioneer Behind Walkman, Starts Own Blockchain ‘Soneium’
【編集部解説】
ソニーグループが独自のブロックチェーン「Soneium」を発表したことは、テクノロジー業界に大きな波紋を投げかけています。この動きは、大手エレクトロニクス企業がWeb3の世界に本格的に参入する重要な一歩と言えるでしょう。
Soneiumは、イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして設計されています。これは、イーサリアムのメインネットワークの上に構築された二次的なネットワークで、取引の処理速度を向上させ、手数料を低減することが期待されています。この技術により、ユーザーはより高速で低コストな取引を行えるようになる可能性があります。
特筆すべきは、Soneiumがオープンなパブリックブロックチェーンとして設計されている点です。これにより、開発者やユーザーが自由にネットワークに参加し、イノベーションを促進することができます。ソニーのような大企業がオープンな技術を採用することで、ブロックチェーン技術の普及と発展が加速する可能性があります。
ソニーは、Soneiumを通じてクリエイターの権利保護や新しい利益還元メカニズムの構築を目指しています。これは、音楽や映像コンテンツの分野で強みを持つソニーならではのアプローチと言えるでしょう。デジタルコンテンツの権利管理や収益分配の透明化は、クリエイティブ産業全体に大きな影響を与える可能性があります。
一方で、ブロックチェーン技術の導入には課題もあります。セキュリティの確保、スケーラビリティの問題、そして規制への対応などが挙げられます。特に、大手企業が運営するブロックチェーンの中央集権化のリスクについては、今後の運用を注視する必要があるでしょう。
長期的な視点では、Soneiumの成功如何によって、他の大手企業のブロックチェーン参入を促す可能性があります。これは、Web3技術の主流化と、従来のビジネスモデルの変革につながる可能性を秘めています。
ソニーのこの取り組みは、テクノロジーとエンターテインメントの融合という観点からも注目に値します。今後、Soneiumを活用した新しいデジタルエクスペリエンスやサービスの登場が期待されます。