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Celsius創業者Mashinsky、暗号資産詐欺で12年の実刑判決 – 顧客に数十億ドルの損失

Celsius創業者Mashinsky、暗号資産詐欺で12年の実刑判決 - 顧客に数十億ドルの損失 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-09 07:28 by admin

Celsius Networkの創業者兼元CEOであるAlexander Mashinsky(59歳)が、2025年5月8日(木)にニューヨーク南部地区連邦地方裁判所で12年の禁固刑を言い渡された。Mashinskyは2024年12月に証券詐欺と商品詐欺の2つの罪で有罪を認めていた。

John G. Koeltl判事は、Mashinskyの犯罪を「極めて深刻」と評し、120ヶ月と144ヶ月の刑期を同時に執行する形で12年の禁固刑を言い渡した。この判決は、弁護側が求めた1年1日の刑期と、検察側が求めた20年の刑期の中間に位置するものである。

Mashinskyは、Celsiusの安全性について顧客を欺き、同社の独自トークンであるCELの価値を人為的に操作して個人的利益を得ていた。彼は週次の「Ask Mashinsky Anything」セッションでCelsiusが規制当局の承認を得ていると虚偽の主張をし、無担保ローンを行っていないと主張しながら実際には行っていた。また、自身のCELトークンを売却していないと顧客に伝える一方で、実際には売却して4,800万ドル以上の利益を得ていた。

Mashinskyの詐欺行為により、Celsiusの貸借対照表には11.9億ドル(現在の価格では約70億ドル)の穴が開いた。彼は4,840万ドルの没収と3年間の監視付き釈放にも同意している。

Celsiusは2017年に設立された暗号資産貸出プラットフォームで、2022年7月に破産申請を行った。破産前は最大で200億ドルの顧客預金を管理し、一部の預金に対して最大17%の利回りを提供していた。同社は2023年に連邦取引委員会(FTC)と47億ドルの和解に達している。

Mashinskyの判決は、FTX創業者のSam Bankman-Friedの25年の禁固刑に次ぐ、暗号資産関連の詐欺事件では2番目に長い刑期となった。他の主要な暗号資産詐欺事件としては、Binanceの創業者Changpeng Zhao(CZ)がマネーロンダリングを可能にした罪で4ヶ月の禁固刑を受け、Terraform Labsの創業者Do Kwonが400億ドル規模の暗号資産崩壊に関連して2025年1月にモンテネグロから米国に引き渡され、証券取引委員会(SEC)と45億ドルで和解している。

Celsiusは2025年1月に破産から脱却したばかりである。

References:
 - innovaTopia - (イノベトピア)Tech Celsius CEO Alex Mashinsky sentenced to 12 years in multi-billion-dollar crypto fraud case

【編集部解説】

Celsius Networkの崩壊とAlex Mashinskyの詐欺事件は、暗号資産業界における信頼性と透明性の重要性を改めて浮き彫りにしました。今回の12年という実刑判決は、暗号資産業界における不正行為に対する司法の厳しい姿勢を示すものと言えるでしょう。

Mashinskyが行った詐欺行為の本質は、「銀行よりも安全で高い利回り」という魅力的な謳い文句で顧客を引き付けながら、実際には高リスクの投資を行い、さらに自身の利益のために市場を操作していた点にあります。彼は「Unbank Yourself(銀行から自由になろう)」というキャッチフレーズを用いて、従来の金融システムへの不満を持つ人々を取り込みました。

注目すべきは、Celsiusの社内でも問題を指摘する声があったにもかかわらず、Mashinskyがそれらの警告を無視し続けたという点です。検索結果によれば、Celsiusの従業員たちは彼の週次の「Ask Mashinsky Anything」セッションでの誤解を招く発言に気づき、警告していましたが、それらは無視されていました。

Celsiusの破綻は単独の出来事ではなく、2022年の「クリプトウィンター」と呼ばれる暗号資産市場の全般的な下落の中で起きました。特にTerraform LabsのDo Kwonによるステーブルコインプロジェクトの崩壊が連鎖反応を引き起こし、Three Arrows Capital、Voyager Digital、そしてCelsiusと次々に暗号資産関連企業が破綻していきました。

この事件の影響は、個人投資家に甚大な被害をもたらしました。裁判の場では多くの元顧客が証言し、Mashinskyの行為が彼らの人生にどのような悪影響を与えたかを語りました。Cameron Crewesという被害者委員会のメンバーは、約250人の被害者が正義が実現する前に亡くなったと述べています。「多くの人々が全てを失った」という彼の言葉は、この事件の深刻さを物語っています。

暗号資産業界にとって、この事件は規制の必要性を強調するものとなりました。「銀行のような」サービスを提供しながら、銀行のような規制を受けていなかったCelsiusのようなプラットフォームの危険性が明らかになったのです。

興味深いことに、この判決はトランプ政権が暗号資産規制に対してより寛容なアプローチを取り始めている時期に下されました。ワシントンポスト紙が入手した最近のメモによれば、司法省の暗号資産企業調査ユニットが解散され、証券取引委員会(SEC)もCoinbase、Kraken、Robinhoodなどの暗号資産企業に対する複数の訴訟を取り下げたとのことです。

この対照的な動きは、暗号資産業界が今後どのように発展していくのかという点で興味深い問いを投げかけています。一方では明らかな詐欺行為に対する厳しい処罰がありながら、他方では規制緩和の動きも見られるのです。

テクノロジーとしてのブロックチェーンと暗号資産の可能性は依然として大きいものの、Mashinskyの事件は「技術の可能性」と「人間の倫理」の間にある緊張関係を示しています。米国検事Jay Claytonの言葉を借りれば、「デジタル資産のトークン化と利用の可能性は強いが、それは欺くための免許ではない」のです。

【用語解説】

暗号資産(仮想通貨):
インターネット上で使用できるデジタル通貨で、ブロックチェーン技術を基盤としている。政府や中央銀行による管理がなく、分散型のシステムで運営される。

ステーブルコイン:
法定通貨(米ドルなど)や金などの資産に価値を連動させた暗号資産。価格の安定性を目的としている。

アルゴリズムステーブルコイン:
価値の安定を保つためにコードとアルゴリズムを使用するステーブルコイン。TerraUSDのように、別のトークン(LUNAなど)との相互作用で価値を維持する仕組み。

Chapter 11(チャプター11):
米国の連邦破産法の一部で、企業が債務を再編成しながら事業を継続できる破産保護制度。

イールド(Yield):
暗号資産を貸し出すことで得られる利回り。Celsiusは最大17%のイールドを顧客に約束していた。

トークン:
ブロックチェーン上で発行されるデジタル資産。企業独自のトークン(CELなど)は、そのプラットフォーム内でのサービス利用や特典付与に使われる。

Ask Mashinsky Anything:
Mashinskyが週次で行っていたYouTubeライブストリーム。顧客に誤解を招く情報を提供し、後でそれらを編集していたとされる。

【参考リンク】

Celsius Network公式サイト(外部)
暗号資産貸出プラットフォームで、2025年1月31日に破産から脱却。現在は清算プロセス中。

【参考動画】

【編集部後記】

暗号資産の世界は可能性と同時にリスクも秘めています。Celsiusの事例から、私たちはどんな教訓を得られるでしょうか?「高すぎる利回り」の裏側に何があるのか、考えてみたことはありますか?投資判断の際に重視している指標や、信頼性を確認する方法があれば、ぜひSNSでシェアしていただけると嬉しいです。テクノロジーの進化とともに変わる金融の形について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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TaTsu
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