Last Updated on 2024-09-25 23:09 by admin
2024年9月22日朝、アメリカ合衆国カンザス州アーカンサスシティの水処理施設がサイバー攻撃を受けた。この事態を受け、施設は手動操作に切り替えて対応している。
アーカンサスシティのランディ・フレイザー市長によると、水の供給には影響がなく、サービスの中断も発生していない。しかし、施設の運営を安全に保つため、予防措置が講じられている。
この事件を受けて、FBIと国土安全保障省の職員が調査に乗り出している。アーカンサスシティは人口約1万2000人の小都市で、この事件は重要インフラに対するサイバー攻撃の一例として注目されている。
カンザス州では過去にも同様の事件が発生しており、2021年3月にはポストロック郡の水処理施設がハッキング被害に遭っている。このような事態は、水道システムのサイバーセキュリティ強化の必要性を浮き彫りにしている。
from:Kansas Water Plant Pivots to Analog After Cyber Event
【編集部解説】
今回のアーカンサスシティの水処理施設へのサイバー攻撃は、重要インフラに対するサイバーセキュリティの脆弱性を浮き彫りにしました。この事件は、小規模な都市でも高度なサイバー攻撃の標的になり得ることを示しています。
水処理施設が攻撃を受けた際、迅速に手動操作に切り替えたことは評価に値します。これは、緊急時の対応策として効果的でした。しかし、長期的には自動化システムの安全性を高めることが不可欠です。
専門家によると、水処理施設がサイバー攻撃の標的になりやすい理由として、リモートアクセスの不適切な露出や、管理ネットワークと運用ネットワークの分離不足が挙げられています。これらの脆弱性は、比較的容易に対策を講じることができます。
特に注目すべきは、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)システムの保護です。HMIは水の流れや化学物質の出力を制御する重要な部分であり、ここが侵害されると水供給に危険な変更が加えられる可能性があります。
今回の事件を機に、水道事業者は自社のサイバーセキュリティを再評価し、脆弱性に対処することが求められます。エンドポイント検出・対応(EDR)システムの導入など、最新のセキュリティ対策の実施が重要です。
グローバルな紛争が続く中、重要インフラへのサイバー攻撃はさらに増加する可能性があります。水処理施設のような重要インフラのセキュリティ強化は、国家安全保障の観点からも喫緊の課題と言えるでしょう。
一方で、過去に報告されたサイバー攻撃の中には、実際には従業員の操作ミスだったケースもあります。このことから、セキュリティ対策と同時に、従業員教育や運用手順の見直しも重要であることがわかります。
今後は、水道業界全体でサイバーセキュリティのベストプラクティスを共有し、規制の整備を進めていくことが求められます。同時に、自動化による効率性と、手動操作によるセキュリティのバランスを取ることも重要な課題となるでしょう。