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Windows 11、全エディションでMicrosoftアカウント必須に – オフラインインストールの終焉か

Windows 11、全エディションでMicrosoftアカウント必須に - オフラインインストールの終焉か - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-07 15:15 by admin

Microsoftは、Windows 11の全ての新規インストールにおいて、Microsoftアカウントの使用を必須とする変更を実施した。この変更により、Windows 11 HomeだけでなくProエディションでも、ローカルアカウントのみでのセットアップが不可能となる。

この変更は、2024年3月にリリースされた累積アップデートKB5035942によって実装された。以前は「BYPASSNRO」コマンドを使用してアカウント要件をバイパスすることが可能だったが、このアップデートでその方法も無効化された。

Windows 11の新規インストール(クリーンインストールを含む)では、デスクトップに到達して更なるセットアップを行う前に、インターネットに接続し、Microsoftアカウントでサインインする必要がある。これはMicrosoftが消費者向けWindowsの全バージョンでアカウント要件を強制する初めてのケースである。

企業ユーザーはドメインやその他のアカウントを使用して新しい要件をバイパスできるが、一般ユーザーの選択肢は限られている。Rufusのようなツールを使えば、アカウント要件を削除したインストールイメージを作成することはまだ可能だが、Microsoftは将来的にこれらの方法もブロックする可能性がある。

この変更は、2024年3月から段階的に実装され、2025年3月現在では広く適用されている。

from:Microsoft could make account-free Windows 11 installs a thing of the past

【編集部解説】

Microsoftのアカウント戦略とプライバシーの行方
Microsoftが打ち出した今回の変更は、同社のクラウドサービス戦略を強化する重要な一歩と言えるでしょう。Windows 11のインストール時にMicrosoftアカウントを必須とすることで、ユーザーをMicrosoftのエコシステムにより深く統合する狙いが見えてきます。

この変更は単なる技術的な仕様変更ではなく、Microsoftのビジネスモデルの転換を象徴しています。従来のオペレーティングシステムは「製品」として販売されていましたが、現在はクラウドサービスへの入り口としての役割が強化されているのです。OneDrive、Microsoft 365、Windows Copilotなどのサービスとの連携を促進することで、継続的な収益モデルを確立しようとしています。

注目すべきは、この変更がWindows 11の全エディションに適用される点です。以前はWindows 11 Proユーザーはローカルアカウントでのセットアップが可能でしたが、2022年2月に発表された方針通り、Proエディションでもアカウント要件が適用されることになりました。

プライバシーを重視するユーザーにとって、この変更は懸念材料となるでしょう。Microsoftアカウントを使用することで、ユーザーの行動データがMicrosoftのサーバーに送信される可能性があります。これにより、パーソナライズされたサービス提供が可能になる一方で、プライバシーの観点からは議論の余地があります。

技術的には、「BYPASSNRO」コマンドを使用した回避策が2024年3月まで機能していました。このコマンドはセットアップ中にインターネット接続がないとシステムに思い込ませることで、ローカルアカウント作成を可能にしていました。しかし、2024年の累積アップデートKB5035942によってこの方法も無効化されました。

企業ユーザーに関しては、ドメインアカウントやその他の企業向けアカウントを使用することで、この要件をバイパスすることが可能です。また、Rufusのようなサードパーティツールを使用してインストールイメージを変更する方法も存在しますが、Microsoftが将来的にこれらの方法もブロックする可能性は否定できません。

興味深いのは、Microsoftが最近、Microsoftアカウントからローカルアカウントに切り替える方法を説明したヘルプページを削除したという報告もあることです。これは同社がローカルアカウントの使用を段階的に制限していく意図を示唆しているかもしれません。

この変更は、オペレーティングシステムの所有権とコントロールに関する根本的な問題を提起しています。ユーザーは自分のデバイスを完全にコントロールする権利を持つべきか、それともプラットフォーム提供者のエコシステムに統合されるべきか。この議論は今後も続くでしょう。

2025年3月現在、一部の回避策はまだ機能しているようですが、Microsoftの方針を考えると、これらの方法も近い将来無効化される可能性が高いと言えるでしょう。

テクノロジーの進化とともに、私たちはプライバシーとユーザビリティのバランスを常に考える必要があります。Microsoftアカウントを使用することで得られる便利さと、それに伴うプライバシーのトレードオフを理解し、自分に合った選択をすることが重要です。

【用語解説】

Microsoftアカウント:
Microsoftの製品やサービス(Windows、Office、OneDriveなど)にアクセスするために必要な個人用アカウント。GoogleアカウントやApple IDと同様の役割を持つ。

ローカルアカウント:
パソコン内部にのみ保存される、インターネット接続を必要としないアカウント。PC固有のユーザーアカウントで、複数のパソコン間での設定同期はできない。

BYPASSNRO:
Windows 11のインストール時にMicrosoftアカウント要件をバイパスするために使用されていたコマンド。2024年3月のアップデートで無効化された。

Windows 11 Home/Pro:
Windows 11の異なるエディション。Homeは一般消費者向け、Proはビジネスユーザー向けの機能が追加されている。以前はProではローカルアカウント作成が可能だった。

KB5035942:
Microsoftが2024年3月に配布した累積アップデート。このアップデートにより、BYPASSNRO機能が無効化された。

【参考リンク】

Microsoft公式サイト(外部)
Microsoftの製品、サービス、最新情報を提供する公式サイト。

Windows 11公式ページ(外部)
Windows 11の機能、仕様、システム要件などを紹介するページ。

Microsoft 365(外部)
Microsoft 365アプリ(旧Office)とCopilotを含むサービスへのアクセスポイント。

Microsoftアカウント作成ガイド(外部)
Microsoftアカウントの作成方法を詳しく解説したガイド。

【参考動画】

【編集部後記】

皆さん、Windows 11を使用されている方、あるいはインストールを検討されている方は、この変更にどう対応されますか? Microsoftアカウントの利便性とプライバシーのバランスは、私たち一人ひとりが考えるべき課題かもしれません。クラウドサービスとの連携を重視するか、ローカルでの管理にこだわるか。2025年現在、一部の回避策はまだ機能しているようですが、今後の選択肢が狭まる可能性もあります。皆さんのテクノロジーとの付き合い方について、ぜひSNSでお聞かせください。

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TaTsu
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