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テスラ、6月末にオースティンでロボタクシー開始へ – 市当局は安全プロトコル情報を待つ中、10台のModel Yから始動

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-28 15:05 by admin

テスラのCEOイーロン・マスクが2025年5月20日のCNBCインタビューで、6月末までにテキサス州オースティンでロボタクシーサービスを開始すると発表した。

初期段階では10~20台のModel Y車両を使用し、数か月以内に1000台まで拡大する計画である。車両にはFSD Unsupervised技術が搭載され、セーフティドライバーは同乗せずドライバーレスで運行される。ただし運行エリアはオースティン全域ではなく、テスラが最も安全と判断する特定エリアに限定され、ジオフェンシング技術により仮想的境界線が設定される。テスラは遠隔監視チームを配置し、車両が立ち往生した場合に支援する体制を整える。オースティン市の交通部門と消防署は、テスラから緊急時対応ガイドをまだ受け取っていないと述べている。

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 - innovaTopia - (イノベトピア)Questions swirl as Tesla nears Austin launch day for high stakes driverless robotaxi debut

【編集部解説】

テスラのロボタクシーサービス開始が目前に迫る中、マスク氏の戦略に重要な変化が見られます。これまで「どこでも使える汎用的な自動運転」を標榜してきた同氏が、今回は「ジオフェンシング」による地理的制限を認めたことは大きな転換点といえるでしょう。

技術的な観点から見ると、今回使用される「FSD Unsupervised」は、従来の「FSD Supervised」とは異なり、運転者の監視を必要としない完全自動運転技術です。しかし、遠隔監視チームによるサポート体制が必要な点は、技術的な限界を示唆しています。

安全面での懸念も浮上しています。オースティン市の消防署や交通部門が緊急時対応ガイドを受け取っていない状況は、事故発生時の対応に遅れが生じる可能性を示しています。テキサス州では市当局にテスラへの情報提供を強制する法的権限がないため、この問題は解決が困難な状況です。

競合他社との比較では、Waymoが既に確立されたサービスを提供している中、テスラは10~20台という小規模からのスタートとなります。しかし、テスラの強みは既存のModel Y車両を活用できる点にあり、専用車両の開発・製造コストを抑制できる利点があります。

マスク氏の過去の発言を振り返ると、2019年に「2020年までに100万台のロボタクシー」、2022年に「2024年にステアリングホイールなしの車両生産開始」といった約束が実現されていない経緯があります。米メディアからは「ファンタジー」と揶揄される声も上がっており、今回の計画についても慎重な見方が必要でしょう。

規制面では、テスラがカリフォルニア州ではなくテキサス州を選択した戦略的判断が注目されます。より緩い規制環境を活用することで、迅速なサービス開始を目指す意図が見て取れます。

このサービスが成功すれば、自動運転技術の商用化が大きく前進する可能性があります。一方で、限定的なエリアでの運行開始は、完全自動運転の実現がまだ道半ばであることも示しています。

【用語解説】

ロボタクシー(Robotaxi):
運転手のいない完全自動運転のタクシーサービス。乗客がアプリで呼び出すと、無人の車両が迎えに来て目的地まで運んでくれる。日本で例えるなら、駅の自動改札のように人の介入なしに動作するタクシーといえる。

FSD Unsupervised:
テスラの完全自動運転技術の最新版。従来の「FSD Supervised」が運転者の監視を必要とするのに対し、こちらは監視なしでの自動運転を可能とする技術。

ジオフェンシング:
GPS技術を使って仮想的な境界線を設定し、車両の走行エリアを制限する技術。テスラはオースティンの特定エリアのみでサービスを開始する予定。

Model Y:
テスラのクロスオーバーSUV型電気自動車。今回のロボタクシーサービスで使用される車両で、既存の市販車をベースとしている。

サイバーキャブ(Cybercab):
テスラが2026年発売予定の専用ロボタクシー車両。ステアリングやペダルを持たない2人乗りの完全自動運転車で、価格は3万ドル未満を予定している。

【参考リンク】

テスラ公式サイト(外部)テスラの電気自動車、エネルギー製品、自動運転技術を紹介する日本語公式サイト

NHTSA(米国道路交通安全庁)(外部)テスラの自動運転技術の安全性を調査・監督する米国の連邦機関

【参考動画】

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乗杉 海
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