TSMC、2024年売上高が過去最高を更新 – AI需要で稼働率100%超え、2025年も成長加速へ

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Last Updated on 2025-01-10 19:30 by admin

世界最大の半導体受託製造企業TSMCが2024年の業績を発表しました。

第4四半期(10-12月期)の売上高は8,685億台湾ドル(約263億米ドル)で、前年同期比38.8%増を記録。2024年通年の売上高は2.9兆台湾ドルと、1994年の上場以来最高を更新しました。

最先端の3nmと5nmプロセスの製造ライン稼働率は100%を超え、AI関連収益は総収益の15%以上を占めています。特にNVIDIAのAIチップ需要が大きく寄与し、台湾証券取引所でのTSMC株価は過去12ヶ月で88%上昇しました。

from:World’s biggest chipmaker TSMC beats sales estimates as AI boost continues

【編集部解説】

TSMCの業績から見える半導体産業の転換点

TSMCの2024年第4四半期および通年の業績は、半導体業界における重要な転換点を示しています。編集部では、以下のポイントに注目しています。

AIがもたらす構造的な需要変化

TSMCの業績を牽引しているのは、主にAIチップの需要増加です。同社のCEOであるC.C.ウェイ氏が「極めて堅調なAI需要」と表現しているように、この需要は一時的なものではなく、構造的な変化の表れと考えられます。

3nmと5nmプロセスの製造ライン稼働率が100%を超えている状況は、高性能コンピューティング(HPC)分野における需要の強さを如実に物語っています。

製造能力の拡大と地政学的な影響

TSMCは2024年に280億~320億ドルの設備投資を計画しており、米国アリゾナ州、日本、ドイツでの工場建設を進めています。この「脱台湾」戦略は、地政学的リスクの分散という観点から重要な意味を持ちます。

収益構造の変化

特筆すべきは、AIサーバー向けプロセッサの収益が2024年に3倍以上に増加し、総収益の10%台半ばを占めるまでに成長したことです。この変化は、スマートフォン中心だった半導体需要が、AIインフラへとシフトしていることを示しています。

今後の展望と課題

TSMCは2025年も製造能力の制約が続くと予測しています。これは、AI需要の持続的な成長を示す一方で、供給能力の拡大が急務であることも示唆しています。

また、海外工場の稼働に伴う粗利益率の2-3%の低下や、台湾での電力コスト上昇など、収益性に影響を与える要因にも注意が必要です。

まとめ

半導体産業は、AIという新たな成長エンジンを得て、大きな転換期を迎えています。この変化は、データセンターからスマートフォンまで、私たちの身の回りのテクノロジーに広範な影響を与えることが予想されます。

特に、マイクロソフトが2025年6月までの会計年度でAIワークロード対応のデータセンター建設に800億ドルを投資する計画を発表するなど、テクノロジー企業のAIインフラ投資は加速の一途を辿っています。

このような大規模投資は、AIの実用化と普及を加速させ、私たちの生活や働き方に大きな変革をもたらす可能性があります。一方で、電力消費の増大や環境負荷、技術の集中化といった課題にも目を向ける必要があるでしょう。

【用語解説】

  • ファウンドリ
    半導体の受託製造専門企業
  • プロセスノード
    半導体製造技術における微細加工の精度指標

【参考リンク】

  1. TSMC公式サイト(外部)
    世界最大の半導体ファウンドリ企業。日本語サイトで企業情報や技術情報を提供

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