NASAの宇宙飛行士2名が2025年1月30日、国際宇宙ステーション(ISS)で微生物調査のための船外活動を実施予定です。
実施者のブッチ・ウィルモア宇宙飛行士とスニ・ウィリアムス宇宙飛行士(ISSコマンダー)は、ISSの生命維持システム通気口付近からの微生物サンプル採取を行います。
両宇宙飛行士は、商業乗員プログラムのスケジュール調整に伴い、2024年6月からの滞在延長を強いられており、2025年3月末か4月に帰還予定です。約6時間半の船外活動では、無線周波数グループアンテナの取り外しやロボットアーム用バックアップ機器の設置も予定されています。
from:NASA spacewalkers to swab the ISS for microbial life
【編集部解説】
宇宙空間における微生物の生存可能性を探る今回の調査は、宇宙生物学における重要な一歩となります。特に、ISSの生命維持システムの通気口付近からのサンプル採取は、人類の宇宙活動が微生物の拡散にどのような影響を与えているかを理解する上で貴重なデータとなります。
過去の調査では、1969年のアポロ12号ミッションで回収されたサーベイヤー3のカメラから、地球由来の微生物が真空環境や極低温を経てもなお生存していたことが判明しています。この発見は、微生物の驚くべき環境適応能力を示しています。
火星探査への影響
この調査が特に重要視される背景には、今後の火星探査計画があります。人類が火星に降り立つ際、地球由来の微生物による汚染を防ぐことは、火星における生命探査の信頼性を確保する上で極めて重要です。
延長ミッションの意義
当初8日間の予定だった滞在が7ヶ月以上に延長されているウィルモア氏とウィリアムズ氏の状況は、一見するとマイナスに思えます。しかし、この予期せぬ状況が、重要な科学的調査を実施する機会を生み出しています。
将来への展望
この研究は、単なる微生物の調査にとどまりません。得られたデータは、将来の有人宇宙船や宇宙服の設計に活かされ、人類の深宇宙探査における生物学的な安全性確保に貢献することが期待されています。
潜在的な課題
ISSの外部環境における微生物の存在は、宇宙ステーション自体の維持管理にも影響を与える可能性があります。特に、生命維持システムの長期的な性能や信頼性に関する新たな知見をもたらす可能性があります。
国際協力の重要性
この調査は、宇宙条約第9条に基づく惑星保護の取り組みの一環でもあります。各国の宇宙機関が協力して取り組むことで、より包括的なデータ収集と分析が可能となります。