Vast Space、ISSを超える規模の次世代宇宙ステーション開発へ─人工重力実験も計画、2025年末から段階的に打ち上げ
暗号通貨業界の先駆者Jed McCalebが設立したVast Spaceは、革新的な商業宇宙ステーション計画を推進しています。2025年末のHaven-1打ち上げを皮切りに、2032年までにISSを上回る規模のHaven-2を完成させる計画です。
企業概要
- 企業名:Vast Space(カリフォルニア州に本社)
- 創業者:Jed McCaleb(49歳、eDonkey、Mt. Gox創業者)
- 設立:2021年
- CEO:Max Haot
プロジェクト詳細
Haven-1
- 打ち上げ予定:2025年末
- 居住空間:45立方メートル
- 設備:ドッキングポート、実験室、展開式共用テーブル、1メートル高のドーム型窓
- 軌道高度:約425キロメートル
- 通信システム:Starlinkレーザーリンク
Haven-2
- 打ち上げ開始:2028年
- 完成予定:2030-2032年
- 総居住空間:550立方メートル(ISSの388立方メートルを上回る)
- 収容人数:最大12名
- 構成:中核モジュール+8個の同一モジュール
事業計画
- 2025年後半:4名の宇宙飛行士をSpaceXドラゴンで2週間のHaven-1滞在
- コスト目標:従来の宇宙ステーション建設費用の約5分の1
- 最終目標:人工重力を備えた宇宙ステーションの実現(10-20年計画)
提携関係
- SpaceXとのパートナーシップ(2023年12月発表)
- NASAのCLDプログラム参入を目指す(2026年後半に選定予定)
from:This Company Wants to Build a Space Station That Has Artificial Gravity
宇宙開発の新時代を告げるVastの挑戦
Vastの宇宙ステーション計画は、宇宙開発の新しい時代を象徴する野心的なプロジェクトです。従来の政府主導の宇宙開発から、民間企業が主導する商業宇宙開発への転換点となる可能性を秘めています。
特筆すべきは、Haven-1からHaven-2への段階的な開発アプローチです。Haven-1で基本技術を実証し、その経験をHaven-2に活かすという戦略は、宇宙開発における現実的なアプローチといえます。
技術的な特徴と革新性
Haven-2の特徴的な点は、モジュール式の設計思想です。従来のISSも同様の方式を採用していましたが、Haven-2は最新の技術を活用し、より効率的な建設と運用を目指しています。
特に注目すべきは、Starlinkレーザーリンクを使用した通信システムです。これにより、地上との安定した高速通信が可能となり、研究活動や運用効率が大幅に向上すると期待されています。
商業的な展望と課題
VastのビジネスモデルはNASAをアンカーテナントとしつつ、他の宇宙機関や民間企業にもサービスを提供する計画です。これは宇宙ステーション運営の新しいビジネスモデルを確立する可能性があります。
しかし、課題も存在します。特に資金調達と技術的な実現可能性については慎重な評価が必要です。創業者のJed McCalebの個人資産に依存する現状は、長期的な事業継続性の観点から懸念材料となる可能性があります。
将来への影響
人工重力の実現は、長期の宇宙滞在における健康問題を解決する可能性を持っています。これは月や火星への長期ミッションの実現にも大きな影響を与える可能性があります。
また、ISSの後継機として機能することで、国際協力の新しいプラットフォームとなる可能性も秘めています。これは宇宙開発における国際関係の新しいモデルケースとなるかもしれません。
読者の皆様へのインパクト
この計画が成功すれば、宇宙での研究開発や製造活動が活発化し、地上での技術革新にも大きな影響を与える可能性があります。特に微小重力環境を活用した新材料開発や医薬品研究などが加速することが期待されます。
【用語解説】
【参考リンク】
Vast Space公式ウェブサイト(外部)
Haven-1およびHaven-2の詳細な技術仕様と開発状況を確認できる公式サイト
SpaceX Starship(外部)
Haven-2の打ち上げに使用予定の次世代ロケットシステムの詳細情報