欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡Euclidが、銀河NGC 6505において、完璧な形状のアインシュタインリングを発見した。
この発見は、2023年9月にEuclidが試験観測中に撮影した画像の中で、ESAのEuclid アーカイブサイエンティストのブルーノ・アルティエリ氏によって最初に確認された。
アインシュタインリングは、NGC 6505の中心部を取り巻く光の輪として観測された。この現象は、NGC 6505の背後にある44.2億光年離れた銀河からの光が、重力レンズ効果によって歪められることで生じている。
総予算14億ユーロのEuclidは、地上望遠鏡の4倍の解像度を持ち、2024年2月14日から本格的な観測を開始した。今後6年間の観測期間中に、宇宙の3分の1以上を観測し、約10万個の重力レンズ現象の発見が期待されている。
from:https://phys.org/news/2025-02-euclid-stunning-einstein.html
【編集部解説】
今回のアインシュタインリング発見は、宇宙物理学における画期的な進展を示しています。
この成果は2025年2月に「 Euclid: A complete Einstein ring in NGC 6505, Astronomy and Astrophysics (2025). 」にて掲載されました。
特筆すべきは、シミュレーションによると、この距離での発見確率はわずか0.05%とされており、極めて稀少な発見であることです。これまでこの距離で発見された重力レンズは5例のみでした。
NGC 6505は1884年から知られていた銀河であり、140年もの間、多くの天文学者が観測してきたにもかかわらず、このリングが発見されなかったという事実は、Euclidの驚異的な観測能力を示しています。
この発見により、宇宙の膨張速度の測定、ダークマターやダークエネルギーの検出、そして通常では観測できない遠方の銀河の研究が可能になります。
【用語解説】
重力レンズ効果
重い天体の近くを通過する光が進路を曲げられる現象です。トランポリンの上にボウリングの球を置いたときのように、空間が歪むことで光が曲がります。
Euclid宇宙望遠鏡
– 打ち上げ:2023年7月1日
– 位置:ラグランジュポイント2(地球から150万km)
– 口径:1.2m
– 解像度:地上望遠鏡の4倍