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SpaceX Starship第9回テスト飛行、5月20日に実施へ – 再利用ロケットの新時代を切り拓く

SpaceX Starship第9回テスト飛行、5月20日に実施へ - 再利用ロケットの新時代を切り拓く - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-11 18:56 by admin

SpaceXは次世代ロケット「Starship(スターシップ)」の第9回テスト飛行に向けた準備を進めている。2025年5月10日、SpaceXはテキサス州ボカチカにあるStarbase施設でロケットの上段部分(Starship)が発射台に向けて移動される様子の映像を公開した。今後数日間のエンジンテスト後、Starshipは第一段のSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースターの上に設置される予定である。

具体的な打ち上げ日は公式発表されていないが、米国沿岸警備隊の通知によると5月19日、またはNET(No Earlier Than)として5月20日が有力視されている。

今回のテスト飛行では、Ship 35と再利用されるBooster 14(B14-2)が使用される予定である。Starshipは全長約121m、直径9mの巨大ロケットで、Super Heavyブースターは発射時に約1700万ポンド(約770万kg)の推力を生み出す世界最強のブースターである。SpaceXは2025年3月初めに実施した第8回テスト飛行で、Super Heavyブースターを「チョップスティック」と呼ばれる巨大アームで捕捉することに成功したが、上段部分(Ship)は打ち上げから10分以内に爆発した。

米連邦航空局(FAA)は2025年5月6日、SpaceXがテキサス州のStarbase施設からのStarshipロケットの年間打ち上げ回数を現行の5回から25回に増加することを承認した。これにより、SpaceXは月に数回の打ち上げが可能となる。

Starshipは将来的にNASAのアルテミス計画における月面着陸船として使用される予定で、早ければ2027年に実施されるアルテミスIIIミッションで2人の宇宙飛行士を月面に着陸させる計画がある。さらに2030年代には火星への有人ミッションにも使用される可能性がある。

References:
文献リンクWatch SpaceX’s Starship on its way for 9th test flight

【編集部解説】

SpaceXのStarshipプログラムは、宇宙開発の新時代を切り拓く重要なマイルストーンとなっています。第9回テスト飛行に向けた準備が進む中、私たちinnovaTopiaの編集部では、この壮大なプロジェクトの最新状況と意義について解説します。

検索結果によると、第9回テスト飛行は5月19日または20日(NET)に実施される可能性が高いようです。SpaceXはまだ公式に日程を発表していませんが、5月9日のStarbaseでの道路閉鎖や、ロケットの準備状況から判断すると、5月中旬から下旬にかけての打ち上げが見込まれています。

今回のテスト飛行では、Ship 35と再利用されるBooster 14(B14-2)が使用される予定です。5月1日には上段部分の静的燃焼テストが成功しており、NASASpaceflight.comの報告によれば、6基のエンジン全てを使用したテストも実施されました。これらの準備段階は、実際の飛行前に機体の安全性と性能を確認するための重要なステップとなっています。

先週、米連邦航空局(FAA)がSpaceXに対して年間25回のStarship打ち上げを許可したことは、このプログラムにとって大きな前進です。これまでの制限が5回だったことを考えると、5倍の打ち上げ頻度が認められたことになります。この決定により、SpaceXは月に2回程度の頻度でStarshipを打ち上げることが可能になり、設計の最終段階に向けた開発を加速させることができるでしょう。

FAAは環境評価において、SpaceXの拡大された打ち上げ計画が周囲の環境に「重大な影響はない」と結論づけています。しかし、South Texas Environmental Justice Networkのクリストファー・バサルドゥ氏は「史上最大のロケットが環境に影響を与えないというのは不可能」と指摘し、海洋生物への悪影響や、リオグランデ川の汚染リスク、騒音や夜間作業による混乱などを懸念しています。

Starshipの開発は2023年4月の初統合飛行以来、8回のテスト飛行を経て着実に進展しています。しかし、第7回と第8回のテスト飛行では、Super Heavyブースターの回収には成功したものの、上段部分(Ship)は両回とも打ち上げから10分以内に爆発するという課題が残されています。

Starshipが実用化されれば、NASAのアルテミス計画における月面着陸船として使用される予定です。早ければ2027年に実施されるアルテミスIIIミッションでは、1972年以来初となるNASAの有人月面着陸が計画されています。さらに2030年代には火星への有人ミッションも視野に入れています。

興味深いのは、SpaceXが並行してFalcon 9ロケットの打ち上げも加速させていることです。2024年5月初旬の時点で既に45回以上の軌道打ち上げを完了しており、年末までに150回以上の打ち上げを目指しています。これは2023年の98回(世界記録)から大幅な増加です。2023年には世界の軌道打ち上げ約223回のうち、SpaceXだけで約44%を占めていました。

Starshipの成功は、宇宙へのアクセスコストを劇的に削減し、月や火星への持続可能な探査ミッションを可能にする鍵となります。しかし、その実現には技術的課題と環境への配慮のバランスを取ることが不可欠です。innovaTopiaでは、今後もStarshipの開発状況を注視し、宇宙開発の最前線からの情報をお届けしていきます。

【用語解説】

Starship(スターシップ):
SpaceXが開発している完全再利用型の超大型ロケットシステム。上段部分(宇宙船)と下段部分(Super Heavy)から構成され、全長約120メートル、直径9メートルの巨大ロケットである。従来のロケットと比較すると、東京タワー(333m)の約3分の1の高さに相当する。

Super Heavy(スーパーヘビー):
Starshipシステムの第一段ブースター。33基のRaptorエンジンを搭載し、約1700万ポンド(約770万kg)の推力を生み出す世界最強のブースターである。

FAA(連邦航空局):
アメリカの航空輸送の安全維持・確保を図るための政府機関。民間航空機の設計、製造、整備、修理の審査・検査を担当するほか、SpaceXのようなロケット打ち上げの許可も管轄している。

チョップスティック:
SpaceXのStarbase施設にある巨大な機械アームのこと。Super Heavyブースターを「キャッチ」するために使用される。日本の箸(チョップスティック)のように2本のアームで挟み込む形でロケットを捕捉することからこの名前がついた。

アルテミス計画:
NASAが主導する月探査計画。2025年9月に有人で月の周りを飛行し、2026年9月以降に人を乗せての月への着陸を目指している。Starshipは同計画の月着陸船として採用されている。

NET(No Earlier Than):
宇宙開発業界で使用される用語で、「この日より前には実施されない」という意味。打ち上げ日程の目安として使用される。

【参考リンク】

SpaceX公式サイト(外部)
SpaceXの公式ウェブサイト。Starshipを含む同社のロケットや宇宙船に関する最新情報を提供している。

Starlink公式サイト(外部)
SpaceXが運営する衛星インターネットサービス「Starlink」の公式サイト。日本でも利用可能なサービス内容や料金プランを確認できる。

sorae(宇宙メディア)(外部)宇宙開発に関する最新ニュースを日本語で提供している宇宙専門メディア。Starshipの詳細情報や飛行試験の結果などを確認できる。

【参考動画】

【編集部後記】

宇宙開発の歴史的瞬間を、私たちは今リアルタイムで目撃しています。SpaceXのStarshipが実現すれば、月や火星への旅が夢物語ではなくなる日も近いかもしれません。皆さんは宇宙旅行に行くとしたら、どこを訪れたいですか?また、宇宙開発の進展によって、私たちの日常生活はどう変わると思いますか?SNSでぜひ皆さんの想像や期待を聞かせてください。宇宙の未来を一緒に考えていきましょう。

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TaTsu
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