SpaceX社のStarlinkが2024年11月26日にFCCから衛星直接通信サービスの認可を取得し、T-Mobileとの独占パートナーシップで米国市場での展開が決定した。
AST SpaceMobileは、AT&TとVerizonの両社と提携し、850MHz帯を共有して米国全土のカバレッジを目指す。Verizonからは1億ドルの投資を受け、AT&Tからは2,000万ドルの収益保証を獲得している。
主要な展開状況
– Starlink:7,500基の第2世代衛星での運用をFCCが承認
– AST SpaceMobile:最初の5基の商用衛星を2024年7-8月に打ち上げ予定
– サービス開始:テキストメッセージから開始し、順次音声通話とデータ通信に拡大
from:Will 2025 be the year satellite-to-smartphone services truly take off?
【編集部解説】
T-MobileとStarlinkの提携は、2022年8月に発表されて以来、着実に進展を見せています。2024年12月にはベータテストの登録を開始し、2025年初頭からテキストメッセージングサービスを提供する予定です。
注目すべきは、この技術が特別な端末を必要としない点です。既存のスマートフォンでそのまま利用できることから、普及の障壁が極めて低くなっています。
技術的な特徴
Starlinkの衛星直接通信システムは、現在100機以上の専用衛星を軌道上に配備しています。これらの衛星は低軌道(LEO)に位置し、地上との通信遅延を最小限に抑えています。
AST SpaceMobileは、さらに野心的なアプローチを取っています。同社は「史上最大の商用通信衛星」を低軌道に配備する計画を持っており、この巨大なアンテナアレイは「宇宙の基地局」として機能します。
市場競争の展望
現在、米国市場では3つの主要な陣営が形成されています:
- T-Mobile + Starlink
- AT&T/Verizon + AST SpaceMobile
- Amazon Project Kuiper(開発中)
特筆すべきは、AT&TとVerizonが850MHz帯の周波数を共有する形でAST SpaceMobileと提携している点です。これにより、米国本土全体をカバーする統合的なネットワークの構築が可能となります。
今後の展望と課題
このサービスは、当初はテキストメッセージングから始まり、段階的に音声通話やデータ通信へと拡大される予定です。しかし、衛星通信には天候や地形による制約があることも忘れてはいけません。
また、約3.5億人とされる通信インフラにアクセスできない人々への接続手段として、大きな期待が寄せられています。特に災害時の緊急通信手段としても注目されており、実際にT-MobileとStarlinkは2024年10月のハリケーン時に試験的にサービスを提供しました。
このように、衛星直接通信は通信インフラの新たな選択肢として確実に進化を遂げています。しかし、周波数の干渉問題や宇宙空間の混雑化など、解決すべき課題も残されています。