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Android 16でスマホ・タブレットがPCに変身:モバイルの手軽さとデスクトップの生産性を両立

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-23 14:15 by admin

以前Googleは2024年10月31日のAndroid開発者ブログで、次世代モバイルOS「Android 16」を従来の秋頃のリリースサイクルから大幅に前倒しし、2025年第2四半期(4~6月)に正式リリースすると発表していた。リリース日は2025年6月3日が有力視されており、同日にPixelシリーズ向けにはOTA配信が行われる見込みである。

この異例の早期リリースの背景には、「エコシステム全体のデバイス発売スケジュールに合わせて、より多くのデバイスがAndroidのメジャーリリースをより早く入手できるようにするため」という戦略的な狙いがある。従来のスケジュールでは、10月から11月にかけて登場する最新チップセット搭載スマートフォンが発売時点で1世代古いOSを搭載せざるを得ない状況が発生していた。

今後は第2四半期に新メジャーバージョンの正式版をリリースし、第4四半期にもAndroid APIリリースする年2回のAPIリリースサイクルに変更される。2025年5月13日の「The Android Show: I/O Edition」イベントで発表されたAndroid 16では、Android 12以来4年ぶりとなる大規模なデザイン刷新「Material 3 Expressive」と、Samsung DeXを基盤としたデスクトップウィンドウイング機能の強化が最大の注目点となっている。

特に革新的なのは、Android 16搭載デバイスが外部ディスプレイに接続された際にデスクトップスタイルのインターフェースを表示できる機能で、複数のアプリを同時に実行し、並べたり切り替えたりして表示でき、タスクバーやウィンドウの最大化・最小化などの操作が可能となる。Android 16はコードネーム「Baklava」と名付けられ、2024年11月から開発者プレビューが開始されており、2025年4月17日にはプラットフォーム安定版のBeta 4がリリースされている。

References:
文献リンクAndroid Show: I/O Edition における最新の発表のご紹介 | Google Japan Blog
文献リンク16 things to know for Android developers at Google I/O 2025 | Android Developers Blog
文献リンクGoogle says Android 16’s new desktop mode builds on ‘the foundation of Samsung DeX’ | 9to5Google
文献リンク「Android 16」は例年より早い2025年第2四半期にリリース予定 | GIGAZINE
文献リンク最初のベータ版「Android 16 QPR1 Beta 1」リリース【Google I/O 2025】| Jetstream BLOG
文献リンクAndroid 16の正式リリースは2025年6月3日を予定 | ガジェログ

【編集部解説】

マルチウィンドウ生産性機能の強み

Android 16で最も注目すべきは、デスクトップウィンドウイング機能の大幅な進化です。この機能は既にAndroid 15 QPR1でPixel Tablet向けに開発者プレビューとして導入されていましたが、当初は最小化ボタンがなく、アプリを隠すには完全に閉じる必要がありました。しかし、Android 16 Beta 3では最小化ボタンが追加され、従来のデスクトップ体験により近づきました。

この機能により、例えば料理のレシピを確認しながらメモアプリで買い物リストを作成し、同時にカレンダーで翌日のスケジュールを調整するといった、複数のタスクを同時並行で処理する現代的なワークフローに最適化されています。アプリは既定でフルスクリーン表示されますが、画面中央上部のハンドルを長押ししてドラッグするとデスクトップウィンドウモードへ移行でき、直感的な操作で生産性モードに切り替えられます。

開発者がアプリを「Desktop windowing」に対応させるには、大画面アプリの品質ガイドラインを満たし、自由なウィンドウのサイズ変更を考慮する必要があります。サイズに合わせてデザインを適化させるアダプティブレイアウトに対応させることも重要で、ウィンドウのサイズ変更のたびに設定変更が発生する点も注意が必要です。

モバイルとデスクトップの差をどう埋めるか

従来、スマートフォンやタブレットは「コンテンツ消費デバイス」として位置づけられ、デスクトップPCは「コンテンツ制作デバイス」という暗黙の役割分担がありました。しかし、Android 16のデスクトップウィンドウイング機能は、この境界線を曖昧にします。

GoogleはSamsungと協力し、Samsung DeXの基盤の上に構築して、Android 16でより強力な生産性ワークフローのための拡張されたデスクトップウィンドウイング機能をもたらしています。外部ディスプレイに接続されたタブレットなどのデバイスでは、デスクトップセッションが両ディスプレイ間で拡張され、ウィンドウやコンテンツ、カーソルが2つのディスプレイ間を自由に移動できる連続したシステムとして機能します。

Googleは外部キーボード、マウス、トラックパッド、ウェブカメラ、マイク、スピーカーのサポートを推奨しており、キーボードショートカットやマウスポインター操作、外部カメラやマイクの正しいサポート、音声出力ルーティングの尊重を開発者に求めています。これにより、Android 16は単なるタッチデバイスではなく、本格的なコンピューティングプラットフォームへの変貌を遂げようとしています。

自宅にいなくても変わらないパフォーマンスが可能になるのか

この問いに対する答えは、条件付きで「Yes」です。Android 16のデスクトップウィンドウイング機能により、カフェや図書館、コワーキングスペースなど、外部モニターとキーボード・マウスさえあればどこでもデスクトップ級の作業環境を構築できるようになります。

特に注目すべきは、Android 16で導入される「ライブアップデート」機能と強化された「Find Hub」です。ライブアップデートはiPhoneのライブアクティビティに類似した機能で、重要と判断された進行中のアクティビティがロック画面に表示され、リアルタイムで状況を把握できます。Find Hubでは、衛星接続に対応した端末とキャリアを対象に、携帯電話の電波が届かない場所でも、友人や家族との連絡が可能になります。

ただし、真の意味での「どこでも同じパフォーマンス」を実現するには、アプリ開発者のエコシステム全体の対応が不可欠です。Android 16のリリース時期が従来より早まることで、多くのOEMメーカーが新機種発売時に最新OSを搭載できるようになり、結果的にデスクトップウィンドウイング対応アプリの普及も早まると期待されます。

【用語解説】

デスクトップウィンドウイング
Androidタブレットで複数のアプリウィンドウを並べ、PCのデスクトップのようなマルチタスクを実現する機能。Android 15 QPR1で開発者プレビューとして登場し、Android 16で本格的に強化される。タスクバーが画面下部中央に固定され、各ウィンドウの上部にはヘッダーバーが設けられて最大化や最小化などの操作が可能。

Material 3 Expressive
Android 16とWear OS 6で導入される新しいデザインシステム。Android 12のMaterial You以来4年ぶりの大型アップデートとして、鮮やかなダイナミックカラー、躍動感あるアニメーション、滑らかな操作性を提供する。弾みのあるアニメーションと透過デザインが特徴で、2025年内にアップデートで適用予定。

Samsung DeX
サムスンがOne UIに組み込んだカスタム機能で、特定のサムスンの携帯電話とタブレットがディスプレイに接続されている間、デスクトップスタイルのインターフェースを表示できる技術。Android 16のデスクトップウィンドウイング機能はこの技術を基盤として開発されており、より広範囲のAndroidデバイスで利用可能になる。

ライブアップデート
Android 16で新たに導入されるロック画面機能。iPhoneのライブアクティビティに類似しており、重要と判断された進行中のアクティビティが監視され、ライドシェアやデリバリー、ナビゲーションの進行状況がロック画面にリアルタイムで表示される機能。

AOSP(Android Open Source Project)
GoogleがリードするAndroidの基本OSのオープンソース版。メーカー各社はAOSPをベースにカスタマイズを行い、独自のユーザーインターフェースや機能を追加してデバイスに搭載する。Android 16は2025年6月3日にAOSPでリリース予定とされている。

【参考リンク】

Android Developers Blog(外部)
Android 16の開発者向け公式情報、API変更点、技術仕様を詳しく解説。最新のベータ版リリース情報や開発ガイドラインも掲載。

Google公式ブログ(Android Show I/O Edition)(外部)
Android 16とMaterial 3 Expressive、Gemini統合に関する公式発表内容。デスクトップウィンドウイング機能の詳細も解説。

Android開発者向けドキュメント(外部)
マルチウィンドウサポート、デスクトップウィンドウイングの実装ガイド。開発者がアプリを対応させるための技術仕様とベストプラクティス。

Jetstream BLOG(外部)
Android 16 QPR1 Beta版の詳細レビューと新機能解説を提供する専門メディア。Google Pixelデバイスの最新情報も充実。

9to5Google(外部)
Android 16のデスクトップモードとSamsung DeXの関係について詳細レポート。Google関連のニュースと深掘り分析で定評。

GIGAZINE(外部)
Android 16のリリーススケジュール変更とPixel 10シリーズとの関係について解説。テクノロジー関連の幅広いニュースを日本語で提供。

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迫地真央
おしゃべり好きなライターです。趣味は知識をためること。
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