3Dコンテンツを新しく用意しなくても、普段見ている映像やゲームをそのまま立体化できるとしたら、ディスプレイの使い方はどう変わるのでしょうか。ViewXのLiberとImmerは、AIによる2D→3D変換と裸眼3D表示を組み合わせ、その可能性をKickstarter製品として提示しています。
2026年8月25日、ViewXは、メガネ不要のSpatial AI 3Dディスプレイ「Liber」15.6インチと「Immer」27インチのKickstarterキャンペーンを開始した。8月26日の発表によると、開始30分で資金調達目標の1,000%に達し、同日には1,880%まで拡大した。
両製品は4K UHD、高速アイトラッキング、AIによる2D→3D変換、ディスプレイ内3D処理を搭載し、2D表示と裸眼3D表示を切り替えられる。ViewXは100以上のゲームへの対応や、Tencent Gamesとの協業も明らかにしている。
From:
ViewX Liber and Immer Officially Launch on Kickstarter, Reach 1,000% of Funding Goal in 30 Minutes
【編集部解説】
ViewXのポイントは「3Dコンテンツを用意しなくてもいい」こと
Liber / Immerで注目したいのは、単に専用メガネなしで3D映像を見られることだけではありません。既存の2D映像やゲームを、AIによる深度推定を使ってリアルタイムに3D表示へ変換できる点が、この製品の特徴です。
ViewX Liberは、液晶レンズ技術とアイトラッキングを組み合わせ、利用者の目の位置に合わせて立体映像を調整します。公式FAQによれば、通常の2D表示では3840×2160の4K UHD、3D表示では片目あたり1920×2160で表示し、2Dと3Dはいずれも60Hzです。最適な視聴距離は40〜70cmとされています。
この仕組みの意味は、3D専用に制作されたコンテンツだけに利用範囲を限定しないことです。YouTubeやローカルに保存した一般的な2D動画もAIで深度を生成して3D化でき、ゲームについても、専用対応していないタイトルではディスプレイ側のリアルタイム変換を利用できます。
「100以上のゲーム対応」とAI変換は同じものではない
ただし、「100以上のゲームに対応」という説明と、「既存ゲームをAIで3D化できる」という説明は分けて考える必要があります。ViewXはSpatialGateway、DepthTransformer、3D Playgroundなどを使ったエコシステムで100以上のゲームをサポートしています。対応タイトルでは専用ソフトウェアを使ったステレオ3D表示が可能です。
一方、正式対応していないゲームでは、ディスプレイ内のNPUを利用したリアルタイム2D→3D変換を使用できます。このモードではホストPCのGPUを3D変換に使用しない一方、AI処理によって約100〜150msの遅延が発生するとViewXは説明しています。対戦型FPSやリズムゲームのように応答速度が重要な用途では、この差は無視できません。対応ゲームのネイティブ3Dモードでは、ViewXは遅延を「ほぼ追加されない」と説明しています。
つまり、既存コンテンツを広く3D化できることと、すべてのコンテンツを同じ品質・遅延で3D化できることは別です。ゲームによってはDLSSやFSRを無効にする必要があり、Frame Generation、オーバーレイ、MODによってUI表示に問題が生じる場合も案内されています。
ヘッドセットなしで「空間的な画面」を使う選択肢
もう一つの特徴は、頭部に機器を装着する必要がないことです。VR/MRヘッドセットのように視界全体を仮想空間へ置き換える製品ではなく、普段使うディスプレイそのものに奥行きを持たせる方向を選んでいます。これは同じSpatial Computingという言葉で語られていても、体験の設計が異なります。
Liberは15.6インチで携帯性を重視し、Immerは27インチの大型画面を想定しています。ViewXはゲームや動画だけでなく、クリエイティブ作業、エンジニアリング、医療可視化、教育なども用途として挙げています。
ただし、現時点ではKickstarterで展開される製品です。公式FAQでは15.6インチ60HzモデルのEarly Bird価格を1,099ドル、27インチ60Hzモデルを1,199ドルとしており、27インチ60Hz版は2026年第3四半期から2027年第1四半期の提供予定とされています。最初のViewX製品の支援者向け出荷は2026年第3四半期開始予定です。
ViewXは世界各国への配送に対応するとしていますが、公式情報では日本向けの一般販売価格や国内販売体制は確認できません。送料はViewX側が負担する一方、輸入時の関税や税金は支援者側の負担となります。
Liber / Immerの価値を判断するうえでは、「裸眼3D」という言葉そのものよりも、これまで蓄積されてきた大量の2Dコンテンツをどこまで自然に3Dへ持ち込めるかが重要になります。専用コンテンツを待つのではなく、既存コンテンツ側をAIで変換するという設計は3Dディスプレイの利用範囲を広げますが、ゲームでは遅延や互換性という条件も残っています。
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【編集部後記】
裸眼3Dは昔から何度も登場してきましたが、今回はAIによる2D→3D変換があることで、少し違って見えます。専用コンテンツを待つのではなく、今あるゲームや映像をそのまま立体化できるのはかなり面白いです。 個人的には、ヘッドセットを着けずに「普通の画面」が空間的になる方向には、かなり可能性を感じています。
一方で、100〜150msの遅延や対応状況を見ると、まだ何でも自然に3D化できる段階ではありません。それでも、空間コンピューティングが必ずしも頭に何かを装着する形だけではない、という選択肢が増えるのは歓迎したいところです。
数年後、私たちが当たり前に見ているディスプレイそのものが、平面ではなくなっているのかもしれません。
【参考リンク】
ViewX 公式サイト(外部)
ViewXの裸眼3Dディスプレイ、対応ゲーム、AI処理、対応機器などを案内する公式サイト。
ViewX Liber 15.6 公式製品ページ(外部)
15.6インチLiberの4K UHD表示、AI 2D→3D変換、アイトラッキング、HDMI / USB-C接続などの主要仕様を掲載。
ViewX Knowledge Base(外部)
初期設定、対応機器・ゲーム、AI 2D→3D、GPU要件、トラブルシューティングなどをまとめた公式サポート情報。
ViewX Kickstarterキャンペーン(外部)
Liberと27インチモデルの支援、リワード、キャンペーン情報を確認できる公式Kickstarterページ。
【参考記事】
ViewX Liber公式製品ページ|ViewX(外部)
AIによる深度再構成、リアルタイムアイトラッキング、2D→3D変換、15.6インチ・4K UHDなど、Liberの主要機能と仕様を掲載。
ViewX Liber FAQ|Kickstarter(外部)
2D・3D時の解像度、60Hz表示、AI変換時の約100〜150msの遅延、対応機器、価格、出荷時期、配送条件などを説明。
【用語解説】
裸眼3D(グラスレス3D)
専用の3Dメガネやヘッドセットを装着せず、左右の目に異なる映像を届けることで立体感を生み出す表示方式。ViewX Liberでは液晶レンズとアイトラッキングを組み合わせ、利用者の目の位置に応じて映像を調整する方式。
アイトラッキング
カメラやセンサーを使って利用者の目・視線の位置を追跡する技術。ViewXでは、利用者の位置が変化しても左右の目へ適切な映像を届けるために利用。
2D→3D変換
通常の平面映像から物体や背景までの距離を推定し、左右の目に対応する視差を持った映像を生成する処理。ViewXはディスプレイ内のAI処理を利用し、動画や非対応ゲームなど既存の2Dコンテンツをリアルタイムで3D化。
NPU(Neural Processing Unit)
ニューラルネットワークなどのAI演算に特化したプロセッサ。ViewXのリアルタイム2D→3Dモードではディスプレイ側のNPUが深度処理を担うため、ホストPCのGPUを3D変換処理に使用しないと説明されている。
ステレオスコピック3D
左右の目に少し異なる映像を表示し、その視差を脳が奥行きとして認識する立体映像方式。ViewXでは正式対応ゲームで専用ソフトウェアによるステレオ3D表示を利用可能。


















