Last Updated on 2025-06-03 17:40 by admin
Googleは2025年5月20日(現地時間、日本時間同日)に開催されたGoogle I/O 2025で、最新のAI動画生成モデル「Veo 3」を発表した。
Veo 3はテキストや画像のプロンプトから最大8秒の高精細動画を生成し、映像と同期した音声や効果音、キャラクターの対話も自動生成可能である。720p解像度を基本とし、実験的に4K出力にも対応し、物理法則に基づく自然な動きや光の表現を再現する。現在は米国限定で、GoogleのAI Ultraサブスクリプション(月額約250ドル)加入者向けに提供されている。映像制作や教育、広告分野での活用が期待される一方、ディープフェイク技術の悪用リスクや倫理的課題も指摘されている。GoogleはAI生成コンテンツの識別技術「SynthID」などの対策も進めている。
from:AI video just took a startling leap in realism. Are we doomed? | Ars Technica
【編集部解説】
Googleの「Veo 3」はAI動画生成技術における画期的な進歩を示しています。映像と音声を同時に生成し、シネマティックなカメラワークやキャラクターの一貫性を保つなど、従来の技術を大きく超えた表現力を実現しています。特に4K解像度対応や物理法則に基づく自然な光と動きの再現は、映像制作の現場に新たな可能性をもたらします。
これにより、映画や広告、教育コンテンツの制作コスト削減や効率化が期待される一方で、ディープフェイクの悪用リスクも高まっています。Googleは「SynthID」というAI生成コンテンツの透かし技術を導入し、偽情報拡散防止に取り組んでいますが、技術的対策だけでなく法的整備も不可欠です。
また、Veo 3の普及はクリエイターの役割を「技術者」から「コンセプトデザイナー」へと変える可能性があります。AIが映像制作の下地を担い、人間はより創造的な企画や演出に集中できる未来が見えてきました。今後は技術と社会の調和を図りながら、持続可能なクリエイティブ環境の構築が求められます。
【用語解説】
シネマティックカメラワーク:
映画的なカメラの動きやアングルをAIが再現する機能。ズームやパン、ドリーショットなどを含む。
プロンプト:
AIに生成内容を指示するためのテキストやキーワード。詳細なプロンプトでより正確な生成が可能。
ディープフェイク:
AIを用いて実在しない映像や音声をリアルに作り出す技術。悪用による偽情報拡散が社会問題となっている。
【参考リンク】
Google(外部)
世界最大のIT企業。検索エンジンやクラウド、AI技術の研究開発を行う。
Google DeepMind(外部)
Google傘下のAI研究機関。強化学習や画像認識など先端AI技術を開発。
Veo 3 Video Generator(RecCloud)(外部)
Veo 3の機能や特徴を解説するレビューサイト。
Google AI Ultra サービス(公式情報)(外部)
GoogleのAI関連最新技術やサービスの公式ブログ。
【参考動画】
【参考記事】
Veo 3 Video Generator: Key Features You Should Know | RecCloud
Veo 3の特徴や機能、使い方を詳細に解説。シネマティックな動画生成や音声同期などの技術的ポイントを紹介。
【編集部後記】
非常に高いクオリティで動画が生成されており、Veo3の持つ技術と可能性には目を見張るものでした。繰り返しよく見てみると服のシワや陰影、激しい動きを行っている時の描写加減などに違和感は見受けられますが、それでも初見で見抜くのは難しいレベルの高精度の動画生成ツールです。
素晴らしい技術に胸が躍る反面、ディープフェイクなど偽情報が深刻な問題として取り上げられやすいと思われます。そのための透かし技術である「SynthID」の対応にはより力を入れてほしいと思いました。
そしてデリケートな部分ですが、今回Veo3のような技術が普及すると、クリエイターを助ける存在となると思いました。その反面、基礎や補助によって経験を積む部分がAIが担ってしまうと新たなクリエイターが育たなくなってしまうという懸念もあります。
今後クリエイターに求められるものが変わる。もしくは、より尖ったワンオフの発想力がないとクリエイターの需要が瘦せ細ってしまうのではないかと、色々と考えさせられる内容でした。