Last Updated on 2025-05-04 09:12 by admin
Googleは、スマートフォンをデスクトップコンピュータのように使えるAndroidの次世代デスクトップモードを開発している。Android Authorityのシニアテクニカルエディター、Mishaal Rahmanが2025年5月2日に報告したところによると、この新機能はAndroid 16のベータ版で確認された。
新しいデスクトップモードの特徴は以下の通りである:
- 画面下部に本格的なタスクバーとステータスバーが配置される
- アプリはデスクトップOSのようにサイズ変更、移動、タイリングが可能になる
- アプリ間でのドラッグ&ドロップに対応予定
- ピン留めしたアプリや最近使用したアプリにアクセスできるタスクバーを提供
- 外部ディスプレイ設定ページでは、ミラーリング、表示サイズ、回転、解像度の変更が可能
当初「Desktop View」と呼ばれていたこの機能は、最新のベータ4では「desktop windowing」という表現に変更されている。このインターフェースはAndroidタブレットのUIやChrome OSに似ており、サムスンのDeXに類似した機能を提供する。
Rahmanによれば、この機能はAndroid 16の安定版リリース(2025年6月3日予定)には間に合わない可能性が高く、Android 16の四半期リリースか、2026年のAndroid 17で正式リリースされる見込みである。
from:Android’s desktop mode for phones is taking shape, and it looks familiar
【編集部解説】
Androidのデスクトップモード開発は、モバイルとPCの境界を曖昧にする重要な進化です。GoogleはAndroid 16ベータでSamsung DeXに似た本格的なデスクトップモードを開発中であることが確認されました。
この機能は当初「Desktop View」と呼ばれていましたが、最新のベータ4では「desktop windowing」という表現に変更されています。これはGoogleが単なる表示モードではなく、本格的なウィンドウ管理システムとして位置づけていることを示唆しています。
注目すべきは、この機能がAndroid 16の安定版リリースには間に合わない可能性が高いという点です。Android Authorityの報告によれば、四半期アップデートで開発者オプションとして提供されるか、2026年のAndroid 17で正式リリースされる見込みとのことです。
現在のPixelデバイスの外部ディスプレイ接続時の表示は非常に基本的なものですが、新しいデスクトップモードでは、タスクバーとステータスバーが追加され、アプリの検索機能も強化されています。これにより、スマートフォンを本格的な作業環境として活用できる可能性が広がります。
この動きは、Googleが長年にわたりChrome OSとAndroidの統合を模索してきた流れの延長線上にあると考えられます。両OSの強みを活かした統合プラットフォームの構築は、MicrosoftのWindows 11やAppleのmacOS/iOSエコシステムに対抗する戦略と見ることができるでしょう。
デスクトップモードの実用化により、ビジネスユーザーや学生にとって、スマートフォン1台で外出先での作業が完結できるようになります。特に新興国市場では、高価なPCを購入せずともスマートフォンとディスプレイ、キーボード、マウスの組み合わせで十分な作業環境を構築できる可能性があります。
一方で課題も存在します。アプリ開発者はデスクトップモードに最適化したUIを考慮する必要が生じ、開発コストが増加する恐れがあります。また、バッテリー消費の増加や熱問題も懸念されます。
長期的には、クラウドコンピューティングとの組み合わせにより、スマートフォンがあらゆるデバイスの中心となる「ハブ」として機能する未来も見えてきます。GoogleがAndroidのデスクトップモードを強化することで、コンピューティングの概念そのものが変わる可能性を秘めているのです。
【用語解説】
デスクトップモード:
スマートフォンを外部ディスプレイに接続した際に、PCのような操作環境を提供する機能。ウィンドウ操作やマルチタスクが可能になる。
タスクバー:
画面の端(多くは下部)に表示される帯状のインターフェース要素で、起動中のアプリケーションやよく使うアプリへのアクセスを提供する。
Samsung DeX:
サムスン電子が提供するデスクトップエクスペリエンス機能。対応するGalaxy端末を外部ディスプレイに接続することで、PCライクな操作環境を実現する。2017年にGalaxy S8シリーズから導入された。
Android 16:
2025年6月3日に正式リリース予定の次期Androidバージョン。現在はベータ4まで公開されている。コードネームはまだ公表されていない。
Chrome OS:
Googleが開発したオペレーティングシステムで、主にChromebookで使用される。Webアプリケーションを中心とした軽量OSである。近年はAndroidアプリやLinuxアプリも実行可能になっている。
desktop windowing:
Android 16ベータ4で確認された新しいデスクトップモードの名称。以前は「Desktop View」と呼ばれていた。
【参考リンク】
Android 公式サイト(外部)
Android OSの公式サイト。最新情報や機能の詳細を確認できる。
Samsung DeX 公式ページ(外部)
サムスンのDeX機能の詳細や対応デバイス、使用方法などを紹介している。
【参考動画】
【編集部後記】
皆さんは普段、スマートフォンとPCをどのように使い分けていますか?Androidの新しいデスクトップモードが実現すれば、外出先でもスマホ一台でPC並みの作業環境が手に入ります。出張や旅行中にドキュメント編集が必要になったとき、カフェで急な資料作成が必要になったとき…どんなシーンで活用したいですか?また、この機能があれば、あなたのガジェット構成はどう変わるでしょうか?SNSでぜひ皆さんのアイデアやユースケースをシェアしてください。