Last Updated on 2025-05-08 07:29 by admin
マイクロソフトは2025年5月7日、Windows 11のスタートメニューを大幅に刷新することを正式に発表した。新しいスタートメニューはより広々とした設計になり、アプリのカスタマイズや整理のためのオプションが増加している。
主な変更点
新しいスタートメニューでは、以下の機能が追加・改善される:
「すべてのアプリカテゴリビュー」が追加され、最もよく使用されるカテゴリに基づいて自動的にアプリを分類する
「Phone Link(スマートフォン連携)」用のパネルが統合され、スマートフォンの通話、メッセージ、バッテリー残量などのデバイス情報に簡単にアクセスできるようになる
「おすすめ」セクションを完全に非表示にする設定が可能になる
アプリの表示方法として、名前付きリスト、名前付きグリッド、カテゴリー別フォルダーの3種類から選択できる
AIによる設定変更機能
マイクロソフトはまた、「PCの設定を見つけて変更する」という一般的な不満を解決するためにAIエージェントを導入する。ユーザーは必要な設定を説明するだけで、AIがその設定を見つけ出し、許可を得た上で設定変更を実行することも可能になる。
その他の更新内容
画像の照明コントロール機能(Copilot+ PC必須)
オブジェクト選択機能
メモ帳の更新(プロンプトからテキストを生成する機能の追加)
提供時期
スタートメニューの更新は今後1ヶ月の間にWindows Insiderに提供され、その後より広範囲に展開される予定である。Phone Link機能を含む更新は、4月25日にリリースされたオプションの更新プログラム(KB5055627)に含まれており、2025年5月13日にリリース予定の月例更新プログラムでも提供される。
なお、一部の新機能はCopilot+ PCハードウェアが必要となる。
from:Microsoft updates the Windows 11 Start Menu
【編集部解説】
Windowsのスタートメニューは、ユーザーインターフェースの中でも特に重要な要素です。Windows 11が登場した際、そのスタートメニューは大きく刷新されましたが、多くのユーザーから「使いづらい」「Windows 10の方が良かった」という声が上がっていました。
今回のアップデートは、そうしたユーザーの声に応える形で、より使いやすく、カスタマイズ性の高いスタートメニューを提供するものです。特に注目すべきは「Phone Link」パネルの統合でしょう。スマートフォンとPCの連携は現代のデジタルライフにおいて不可欠な要素となっていますが、これまでは別アプリを立ち上げる必要がありました。
WindowsLatestの報告によると、この機能は4月25日にリリースされたオプションアップデート(KB5055627)に含まれており、5月13日の月例アップデートで一般ユーザーにも提供される予定です。これにより、スマートフォンの通知確認やファイル転送といった操作がWindows キー一つで行えるようになり、デバイス間の連携がよりシームレスになります。
AIエージェントによる設定変更機能も興味深い進化です。Windows Centralによれば、この機能はCopilot+ PC限定となりますが、「マウスポインターが小さすぎる」といった自然言語での指示に応じて適切な設定画面を表示し、ユーザーの許可があれば設定変更も自動で行えるようになります。
しかし、AIによる自動設定変更には潜在的なリスクも存在します。The Registerが指摘するように、AIの判断ミスによる誤った設定変更が行われる可能性も否定できません。ユーザーは提案された変更内容を慎重に確認する習慣を持つことが重要でしょう。
また、メモ帳にAIテキスト生成機能が追加されるなど、Windows全体でAI機能の統合が進んでいます。これはユーザー体験を向上させる一方で、シンプルなツールが複雑化していくという懸念も生じさせています。
長期的に見れば、これらの変更はMicrosoftのAI戦略の一環であり、OSとAIの融合がさらに進むことを示唆しています。特にCopilot+ PCに限定された機能が増えていることから、将来的にはハードウェアの刷新を促す戦略も見て取れます。
ユーザーにとっては、使いやすさの向上とAI機能の恩恵を受けられる一方で、プライバシーや自己決定権のバランスを考慮する必要があるでしょう。テクノロジーの進化とユーザー体験のバランスは、今後も注目すべきポイントとなりそうです。
【用語解説】
Phone Link(スマホ連携):
Windowsパソコンとスマートフォンを連携させるMicrosoft公式アプリ。以前は「Your Phone(スマホ同期)」と呼ばれていた。通知確認、メッセージ送受信、写真共有などができる。
Copilot+ PC:
AIに特化した新世代のパソコン。NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載し、40TOPS以上の処理能力を持つ。AIをローカルで高速処理できる。
TOPS:
Tera Operations Per Secondの略。1秒間に1兆回の演算を行う能力を示す指標。
NPU:
Neural Processing Unit(ニューラルプロセッシングユニット)。AI処理に特化したチップで、CPUやGPUとは異なる役割を持つ。
Windows Insider:
正式リリース前のWindows機能をテストできるMicrosoftのプログラム。一般ユーザーより先に新機能を体験できる。
Phone Link:
スマホとPCの間に架けられた「デジタル橋」のようなもの。この橋を通じて、スマホの情報や機能がPCへと流れる。
AIエージェント:
設定変更の「デジタル秘書」のような存在。「マウスポインターが小さい」と伝えるだけで、適切な設定画面を探し出し、変更方法を教えてくれる。
【参考リンク】
Microsoft Windows 11公式サイト(外部)
Windows 11の機能や特徴を紹介する公式ページ。最新アップデート情報も確認できる
Copilot+ PC公式サイト(外部)
AIに特化したCopilot+ PCの特徴や購入情報を提供。対応モデルや必要スペックを確認できる
【参考動画】
【編集部後記】
皆さんは普段、Windowsのスタートメニューをどのように活用していますか?単なるアプリランチャーとして使っているだけでしょうか、それとも作業の中心として活用していますか?今回のアップデートでスマホとPCの連携がさらに強化されますが、デバイス間のシームレスな連携が実現すると、あなたの作業フローはどう変わるでしょう?また、AIによる設定変更機能は便利そうですが、どんな場面で活用したいと思いますか?ぜひSNSで皆さんの意見をお聞かせください。