Last Updated on 2024-02-01 08:10 by admin
米国でのビットコインETF認可も終わり、次の大きな話題と言えば、ビットコイン半減期でしょう。
現在、ビットコインの価格は、年が明けてから、38000ドルから49000ドル当たりを推移するといった、ビットコインにしてはボラリティが大きい状態が続いています。

ビットコインの価格が不安定な今、市場はこれからどう動くのでしょうか?さらに、どのような影響をもたらすのか解説していきます。
半減期とは?
ビットコインについての詳細な解説は、こちらをご確認ください。
ビットコインは、その性質として、コンピューターのリソースを使用し、マイニング(採掘)を行うことでビットコインを発行しています。
半減期とは、ビットコインのマイニングにおいて、マイナーに支払われる報酬が半分に減少する期間を指します。ビットコインのシステムは、約4年ごと(具体的には210,000ブロックごと)にマイナーへの報酬を半分に減らすよう設計されています。
このプロセスは、ビットコインの発行量を制限することにより、ビットコインを発行しすぎることによるインフレーションを防ぎ、ビットコインの価格を維持するために行われています。
ビットコインのマイニング報酬は、新しいビットコインの発行と、トランザクションの確認作業に対する報酬として機能します。当初、ビットコインの報酬は1ブロックにつき50BTCでしたが、最初の半減期が2012年に到来し、報酬は25BTCに減少しました。その後、2016年と2020年にも半減期が訪れ、それぞれ報酬は12.5BTCと6.25BTCに減少しています。
そして、次回の半減期が2024年の4月ごろに訪れます。この後は、ビットコインは1ブロックにつき3.125BTCしか発行されないようになります。
半減期の必要性
なぜ半減期があるのか? と疑問に思った人も多いでしょう。ここでは、なぜ半減期が必要なのかを詳細に解説していきます。
供給量の制御
まず、半減期の必要性として、供給量の制御が挙げられます。供給量の制御を、銀行のような中央集権的なやり方ではなく、システムによって制御することにより、世界中の誰もがフェアに取引やトレードを行えます。
実際、ビットコインの創設者であるサトシ・ナカモトは、ビットコインの最初のブロックに以下のような文章を書き込んでいます。
Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks
https://mempool.space/ja/tx/4a5e1e4baab89f3a32518a88c31bc87f618f76673e2cc77ab2127b7afdeda33b
これは、イギリスの新聞である「The Times」の2009年1月3日の記事の見出しからとられています。
日本語訳すると、「首相は銀行への2度目の救済措置の瀬戸際」です。
これを刻んだ意図は今になっては分かりませんが、中央集権的な銀行に対するサトシ・ナカモトなりの批判だったのかもしれません。
インフレーション防止
限定された供給と、徐々に少なくなっていく発行速度は、既存の通貨と違い、インフレーションを防止することができます。
中央集権的な銀行等の場合、銀行が通貨を刷り過ぎた際にインフレーションが発生する場合があります。ですが、ビットコインは、徐々に発行量が減っていくように設計されており、インフレーションが起こりません。
そのため、ビットコインはインフレーションに対するヘッジ(リスク回避)として投資されることがあります。
価値の安定化と成長促進
インフレーションを防止することにより、ビットコインの価格をある程度安定させることができます。
そして、単純な「供給と需要の法則」に基づいて考えると、供給よりも需要が多くなった場合価格は上がります。
半減期でビットコインの供給が減り、新しくビットコインの需要が増えることにより、ビットコインの価格の成長が見込めます。
採掘インセンティブの調整
マイニングによる報酬減少は、マイニングの難易度を調整する効果もあります。
報酬が減少すると、マイニングにかかるコストとマイニングからの収益が再調整され、コストパフォーマンスが悪いマイナーはおのずとマイニングから撤退します。
これにより、ビットコインネットワークはより効率的かつ持続可能な形で成長を続けることができます。
半減期後の価格への影響
半減期は、ビットコインにどのような影響をもたらすのでしょうか?
まずは、ビットコインの価格のグラフを見ていきましょう。

月単位で見た場合、ビットコインの大幅な価格変動は、数か月後に起こっているのが分かります。
ビットコインの半減期がきても、すぐに需要と供給のバランスが変わるわけではないからです。
ビットコインのマイナーも、マイニングで手に入れたビットコインをすぐ売るわけではないので、ビットコインの供給が急に減らないからだとわたしは推測しています。
また、半減期が話題になり買う人たちが増え価格が上昇する中、これまでにビットコインを買っていた投資家が「事実売り」のような形で利益を確定するためすぐには供給が減らないせいではないかとも思っています。
実際、仮想通貨投資家の界隈では、アノマリー(相場の理論では説明ができないものの、習慣的に観測される値動きのこと)として、ビットコイン半減期の翌年はビットコインの強気相場が来るというものがあります。
はたしてこのアノマリーは継続するのか? それを考えながら待つのもよいかもしれません。
これからのビットコイン
アメリカでのビットコインETFが承認され、ビットコインの半減期も近づいてきている今年ですが、価格に大きな変動があるのであれば今年の後半〜来年辺りではないかと筆者は睨んでいます。
理由としては、上記で述べた通りにビットコインの半減期後にすぐに供給が減るわけではないこと、ビットコインETFは承認されたばかりで投資する投資家が少なく需要がまだ増加していないことが挙げられます。ただし、現在のビットコインに警鐘を鳴らす人もいます。
上記のダイジェストにも書かれている通り、元BitMEX(有名な仮想通貨取引所) CEOであり、有名なビットコインマキシマリストであるアーサー・ヘイズ氏は、ビットコインの所持者がビットコインの派生商品に移行することにより、ネットワーク上での取引量が低下し、ネットワーク上の取引の際の手数料からも収入を得ているマイナーがマイニングを行わなくなるのではないか、と発言しています。
2009年に最初のブロックがマイニングされてから15年、サトシ・ナカモトは何を思い4回目の半減期を迎えるのか。そんなことに思いをはせながら筆者はビットコインの半減期を待ち望んでいます。