Last Updated on 2025-05-01 11:19 by admin
Meta Platforms(本社:米国カリフォルニア州)は、2025年4月29日付でRay-Ban Metaグラスのプライバシーポリシーを改定した。主な変更点は2つある。
1つ目は、音声コマンド機能「Hey Meta」をオフにしない限り、グラス上でMeta AI with camera機能が常時有効となる点だ。ただし、撮影した写真や動画はユーザーのスマートフォンのカメラロールに保存され、Metaが直接AIトレーニング用途で利用することはない。これらのデータをMeta AIやクラウドサービス、サードパーティ製品に共有した場合は、そのサービスのポリシーが適用される。
2つ目は、音声記録のクラウド保存をユーザーがオプトアウト(無効化)する選択肢が廃止されたことだ。今後は音声コマンド利用時の録音が自動的にMetaのクラウドに保存される。保存期間は最長1年で、誤作動による記録は90日以内に削除される。録音データは設定から手動で削除が可能。
これらの変更は、AIモデルのトレーニングや製品改善のために多様なデータを収集することを目的としている。Ray-Ban Metaスマートグラスの現行モデルは299ドル(約4万5,000円)から販売されており、2025年後半には約1,000ドル(約15万円)の上位モデルが発売予定と報じられている。2025年4月にはライブ翻訳機能が追加され、4月30日にはスマートフォン向けのMeta AI単独アプリも公開された。
from Meta tightens privacy policy around Ray-Ban glasses to boost AI training
【編集部解説】
今回のプライバシーポリシー改定は、AIアシスタントの進化に不可欠な多様な音声・画像データの収集体制を強化するものです。Metaは「Hey Meta」機能を通じて、ユーザーの音声コマンドや一部の写真・動画データをAIトレーニングに活用することで、より高度なAI体験の実現を目指しています。
この仕様変更は、Amazon Echoなど他社スマートデバイスのクラウド処理義務化と同様、利便性向上と引き換えにユーザーのプライバシーリスクが増す流れといえます。Metaは「Hey Meta」発話後のデータのみを収集対象としていますが、日常的な利用ではユーザーがどこまでデータ収集を管理できるかは限定的です。音声データや画像データは最大1年間保存され、手動で削除しない限りMetaのサーバーに残ります。
一方で、AI機能を使わなければMetaにデータが送信されない点や、撮影データがスマートフォンのカメラロールに保存される点は、ユーザーのコントロール余地として重要です。今後は、AIによる利便性とプライバシー保護のバランスをユーザー自身がどこまで許容するかが問われる時代となるでしょう。
Ray-Ban Metaグラスは、ライブ翻訳やリアルタイム情報提示など、現実世界とデジタルをシームレスにつなぐ新たな体験を提供します。旅行やビジネス、日常生活での活用シーンは今後さらに広がるでしょう。一方で、個人情報保護規制やデータの透明性確保が、企業にとってますます重要な課題となります。
【用語解説】
Meta AI:
Metaが開発するAIアシスタント。Ray-Ban Metaグラスでは「Hey Meta」と呼びかけることで、写真・動画の内容説明や翻訳、情報検索などができる。
オプトアウト:
特定のサービスやデータ収集から自分だけ除外してほしいと申し出ること。今回の変更で音声記録のクラウド保存はオプトアウト不可となった。
【参考リンク】
Meta Platforms公式サイト(外部)Meta社の公式ホームページ。企業情報や製品、AI・メタバース事業を紹介。
Meta Japan Ray-Ban Meta Glassesページ(外部)日本語でRay-Ban Metaスマートグラスの特徴やラインナップを紹介。