Last Updated on 2025-05-09 16:35 by admin
世界中のテクノロジーリーダーが注目する「XR EXPO 2025」が、ドイツ・シュトゥットガルトで開催されます。
XR(拡張現実)やAIの最先端プロジェクトが一堂に集まり、未来の学びや体験、観光の新しい可能性が披露されます。
日本ではまだ知られていない技術や事例も多数登場し、グローバルなイノベーションの潮流をリアルに感じる絶好の機会です。
このイベントから、私たちの社会やビジネスがどのように変わっていくのか、一緒に考えてみませんか?
2025年5月8日から9日にかけて、ドイツ・シュトゥットガルトのポルシェ・アリーナおよびハンス・マルティン・シュライヤー・ハレで「XR EXPO 2025」が開催される。主催はバーデン=ヴュルテンベルク州経済・労働・観光省とVirtual Dimension Center(VDC)で、メタバース・コングレスと合同で行われる。
本イベントでは、欧州委員会の支援を受けたVOXRealityのオープンコールプロジェクト「AIXTRA」と「VAARHeT」が、XR(拡張現実)およびAI分野の最新技術を発表する。
AIXTRAは、複数ユーザー環境でのトレーニングやコミュニケーションを強化するAI活用型VRツールを開発し、意図認識によるトレーニング効率化やAI翻訳・音声合成デモをブースA17(ハンス・マルティン・シュライヤー・ハレ内)で展示する。
VAARHeTは、ラトビアのĀraiši ezerpils考古学公園向けに、AI搭載ARアプリケーションを開発。文化遺産ツアーの没入体験を提供し、ブースB41(同会場内)でデモを実施する。
XR EXPO 2025には、ビジネスや文化、災害対応など多様な分野の専門家や一般来場者が集まり、最新のXR・メタバース技術やAI応用事例を体験できる。
References:
XR EXPO 2025: VOXReality Open Call Projects AIXTRA and VAARHeT to Showcase XR Innovations! 🤩
【編集部解説】
XR EXPO 2025は、ドイツ・シュトゥットガルトで開催される欧州有数のXR(拡張現実・仮想現実・複合現実)専門展示会です。今回は「Metaverse Congress」との合同開催となり、会場も大規模なアリーナへと拡大されました。主催はVirtual Dimension Center(VDC)とバーデン=ヴュルテンベルク州経済・労働・観光省で、産業界や研究機関、行政、文化分野まで幅広い関係者が集うB2Bイベントとして位置づけられています。
注目は、欧州委員会支援プロジェクト「VOXReality」によるAIXTRAとVAARHeTの2つの先端事例です。AIXTRAは、企業向けVRトレーニングの現場で頻出する「多言語対応」「AIトレーニングパートナーの導入」などの課題を解決するため、VR開発ツール「VR Builder」と連携し、AIによる意図認識や自動翻訳、音声合成を組み込んだトレーニング環境を提供します。これにより、グローバルなチーム間での協働や教育の質向上、コスト削減が期待されます。
一方、VAARHeTはラトビアのĀraiši ezerpils考古学公園を舞台に、AIとARを活用した音声対話型の文化遺産ツアーを実現します。来場者は自身のスマートフォンを使い、場所ごとにパーソナライズされた多言語ガイドを体験できます。従来の物理的な展示や季節依存型の運営に比べ、運用コストを抑えつつ、年間を通じて多様な来訪者にリーチできる点が大きな強みです。
XR EXPOは、産業応用から文化・教育分野までXR技術の実用化が進む現状を示しています。特にAIとの連携によるパーソナライズや多言語対応は、グローバル化・多様化が進む社会において不可欠な要素となりつつあります。今回の展示は、単なる技術デモにとどまらず、企業や自治体、文化機関が直面する現実的な課題へのソリューションとして注目されています。
ポジティブな側面としては、XRとAIの融合によって教育や研修、観光体験の質が飛躍的に向上し、言語や地理的な障壁を超えた新たな価値創造が進む点が挙げられます。一方で、個人情報保護やAIによるバイアス、文化的コンテンツの正確性維持といった課題も今後浮上する可能性があります。特に欧州では、AI規制やデータ保護規制(GDPRなど)が厳格化しており、こうした技術実装の際には法規制との適合性も重要な論点となるでしょう。
長期的には、XRとAIの連携が進むことで、産業界のみならず教育・文化・観光分野における体験の質が大きく変わると考えられます。日本国内でも、少子高齢化や人材不足、観光資源の多言語化といった社会課題に対し、これらの先端事例は多くの示唆を与えるはずです。今後の技術進化とともに、どのような社会実装が進むのか注視していきたいところです。
【用語解説】
XR(エックスアール):VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など現実と仮想を融合する技術の総称。現実世界にデジタルの魔法をかけるレンズのようなもの。
VOXReality:欧州委員会が支援する研究開発プロジェクト。AI・NLP・CVを統合し、XR空間で音声や言語インターフェースを開発。
AIXTRA:VOXRealityのオープンコールプロジェクトのひとつ。AIとVR Builderを連携し、多言語対応や仮想トレーナーを備えたVRトレーニングツール。
VAARHeT:VOXRealityのプロジェクトの一つ。ラトビアのĀraiši ezerpils考古学公園向けに、AI・ARを活用した音声対話型の文化遺産ツアーを提供。
Virtual Dimension Center(VDC):ドイツ・シュトゥットガルト地域にある、VRやシミュレーション技術の研究・産業ネットワーク拠点。
VR Builder:MindPort社が開発したUnity向けの無料オープンソースVRアプリ開発プラグイン。
Āraiši ezerpils考古学公園:ラトビアにある、9~10世紀の湖上集落を復元した野外博物館。
【参考リンク】
VOXReality公式サイト(外部)AI・NLP・CVを統合し、XR空間で音声インターフェースを開発する欧州の先端プロジェクト。
AIXTRAプロジェクト(外部)AIとVR Builderを連携し、多言語対応や仮想トレーナーを備えたVRトレーニングツールの紹介。
VAARHeTプロジェクト(外部)AI・ARを活用し、音声対話型の文化遺産ツアーを提供するプロジェクトの公式ページ。