Last Updated on 2025-05-16 14:16 by admin
Ray-Ban MetaグラスとBe My Eyesが提携し、視覚障害者向けの機能が大幅に強化された。2024年9月のMeta Connectで発表された「Call a Volunteer」機能により、ユーザーは音声操作でボランティアと直接つながり、スマートグラスのカメラを通じて周囲の状況を共有できるようになった。この機能は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、アイルランドのユーザー向けに無料で提供されている。
また、Ray-Ban Metaグラスは改良されたAI機能により、Meta AIとの会話がより自然でスムーズになった。「Hey Meta」と言うだけで会話を開始でき、その後は毎回コマンドを繰り返す必要なく連続して質問ができる。視覚的な内容を自動で認識する機能も強化され、見ているものに対する質問が簡単にできるようになった。
さらに、間もなくリアルタイム音声翻訳機能が追加され、スペイン語、フランス語、イタリア語を話す人との会話が英語に翻訳される。また、Spotify、Amazon Music、Audible、iHeartとの連携も強化され、音声コマンドで音楽やオーディオブックの検索・再生が可能になった。
なお、Metaは2025年後半に次世代Ray-Ban Metaスマートグラスを発売予定で、ヘッドアップディスプレイ(HUD)とLlama 3 AIが搭載される見込みである。
References:
Government-built AI tool reviews consultation responses for first time | BBC News
【編集部解説】
Ray-Ban MetaグラスとBe My Eyesの提携は、ウェアラブルテクノロジーが社会的包摂にどう貢献できるかを示す重要な一歩です。「Call a Volunteer」機能により、視覚障害者や弱視者は770万人を超えるボランティアネットワークに簡単につながり、日常生活のさまざまな場面でサポートを受けられるようになりました。
特筆すべきは、このスマートグラスがハンズフリーで操作できる点です。視覚障害者が自らの手を使う必要がないため、例えば買い物中に商品を手に取りながらボランティアの説明を聞いたり、料理をしながら食材の確認をしたりといった、複数のタスクを同時に行うことが可能になります。
また、AIの進化により、Meta AIとの会話がより自然になったことも注目に値します。以前は「Hey Meta, look and tell me what this is」のように複雑なコマンドが必要でしたが、現在は「Hey Meta」と言った後に「What’s this?」と簡単に質問できるようになりました。こうした操作性の向上は、テクノロジーの障壁を下げ、より多くの人々がアクセスしやすくなることを意味します。
リアルタイム翻訳機能の追加は、言語の壁を越えたコミュニケーションを可能にし、特に海外旅行時の不安を軽減する助けになるでしょう。現在は英語、フランス語、イタリア語、スペイン語のみの対応ですが、将来的にはさらに多くの言語がサポートされる予定です。
一方で、2025年後半に発売予定の次世代Ray-Ban Metaグラスは、ヘッドアップディスプレイを搭載することで、視覚的なフィードバックも可能になります。これにより、テキストメッセージの確認やビューファインダー機能など、より直感的な操作が実現するでしょう。
このような進化は、Metaが研究用ARグラス「Aria Gen 2」で培った技術の応用とも考えられます。Aria Gen 2では、視覚障害者向けナビゲーションシステムの開発が進められており、空間的な「ビーコン」音を使用して室内移動を支援する技術が研究されています。
テクノロジーの進化が単なる便利さを超え、社会的課題の解決に貢献する時代が到来しています。Ray-Ban Metaグラスの事例は、企業が社会的責任を果たしながらも、魅力的な製品を開発できることを示しています。
【用語解説】
Be My Eyes:
視覚障害者と晴眼者ボランティアをライブビデオで繋ぐアプリ。現在は約770万人のボランティアが登録しており、150カ国以上で利用されている。視覚障害者が日常生活で困ったときに、ボランティアが目の代わりになって手助けする。
Meta AI:
Metaが開発した会話型AIアシスタント。Ray-Ban Metaグラスに統合され、音声コマンドで操作できる。「Hey Meta」と呼びかけることで起動する。
Llama 3:
Metaが開発した大規模言語モデル。次世代Ray-Ban Metaグラスに搭載予定で、より高度な自然言語処理能力を持つ。
ヘッドアップディスプレイ(HUD):
ユーザーの視界に情報を投影する技術。次世代Ray-Ban Metaグラスに搭載予定で、テキストメッセージの確認やビューファインダー機能などが可能になる。
Aria Gen 2:
Metaが開発した研究用ARグラス。ヘッド、アイ、ハンドトラッキング機能や各種センサーを搭載し、視覚障害者向けナビゲーションシステムの開発にも活用されている。
【参考リンク】
Meta公式サイト(Ray-Ban Metaグラス)(外部)MetaとRay-Banが共同開発したスマートグラスの公式サイト。製品情報や購入方法を提供している。
Be My Eyes公式サイト(外部)視覚障害者と晴眼者ボランティアをつなぐアプリの公式サイト。150カ国以上で利用可能。
Meta Questブログ(Aria Gen 2)(外部)Metaの研究用ARグラス「Aria Gen 2」に関する詳細情報を提供している公式ブログ。