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Meta Quest 3『マーベル デッドプール VR』発表、Twisted Pixel開発で「想像できることは実行可能」

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-09 15:09 by admin

Meta傘下のTwisted PixelとOculus Studiosが開発する『マーベル デッドプール VR』が2025年後半にMeta Quest 3および3S専用タイトルとして発売されることが発表された。本作はニール・パトリック・ハリスがデッドプールの声を担当し、完全新作のオリジナルストーリーが展開される。

『マーベル デッドプール VR』は6月6日に開催されたSummer Game Fest 2025でMetaが発表したVRアクションゲームである。開発はTwisted PixelとOculus StudiosがMarvel Gamesとのコラボレーションにより制作している。

本作の声優には『ハウ・アイ・メット・ユア・マザー』や『ドギー・ハウザー』で知られるニール・パトリック・ハリスが起用され、従来の映画版ライアン・レイノルズとは異なる新たなデッドプール像を提示する。公開されたレッドバンドトレーラーではテイラー・デインの1987年のヒット曲「Tell it To My Heart」が使用されている。

ストーリーはデッドプールがポータルを通じてモジョワールドに引き込まれ、金儲けのチャンスを見つけて怪しい契約書にサインすることから始まる。プレイヤーはS.H.I.E.L.D.のヘリキャリアを含むマーベルユニバース各地を訪れ、レディ・デスストライクやオメガレッドなどの有名な悪役から無名な敵まで様々なヴィランと戦闘を繰り広げる。

ゲームプレイは双剣と拳銃を駆使したアクション要素が中心となっている。プレイヤーは各肩に装備された刀と腰の拳銃を自由に組み合わせて戦闘を行い、敵に武器を投げつけたり、切断された腕を武器として使用したりといった創造的な戦闘が可能である。ウォールランやダブルジャンプなどのパルクール要素も含まれており、敵の顔をプロペラに押し付けるなど、デッドプールらしい過激で創造的な戦闘システムが実装されている。

特徴的なのは、ゲーム開始時にプレイヤーがデッドプールの切断された頭の視点から始まり、自分の身体を操作して頭部と再結合するという演出である。これはデッドプールの第4の壁を破る特性をVRに適用した表現となっている。

敵キャラクターには兵士、悪魔の犬、奇怪な人型トカゲ、不気味なワーム状の生物など多様な敵が登場し、それぞれに対応した創造的な倒し方が用意されている。手榴弾を持ちながら敵を殴ったり、切断された自分の腕を敵に投げつけたりといった、従来のゲームでは不可能だった表現が実現されている。

開発チームは「プレイヤーが想像できることは大抵実行可能」という設計思想を採用し、従来のVR格闘ゲームの制約を超えた自由度の高い戦闘体験を目指している。また、VR酔いを軽減するための広範囲なコンフォートオプションも用意されている。

本作は2024年にリリースされた『バットマン:アーカム・シャドウ』に続くMeta Quest専用の大型スーパーヒーロータイトルとして位置づけられている。発売時期は2025年後半が予定されているが、具体的な発売日と価格は未発表である。

公式トレーラー

from:
 - innovaTopia - (イノベトピア)Hands-On: Deadpool VR Shoves Meta Head-First Into The Future Of Gaming | UploadVR

【編集部解説】

VRゲーム市場において、Meta Quest 3専用の大型タイトルが相次いで発表される中、『マーベル デッドプール VR』の登場は特に注目に値します。本作は単なるキャラクターゲームの域を超え、VR技術の可能性を大きく押し広げる重要な意味を持っています。

最も興味深いのは、開発を手がけるTwisted PixelがMeta傘下となって以降、初の大型リリースとなる点です。同スタジオは過去に『Splosion Man』シリーズや『LocoCycle』などのコメディゲームで実績を積み重ね、VR専門開発チームとして再編されました。これまで培った技術力とユーモア表現のノウハウを、今回はマーベルという巨大IPと組み合わせることで、VRゲーミングの新たな地平を切り開こうとしています。

技術的な観点から見ると、本作が実現しようとしている「想像できることは大抵実行可能」という設計思想は、従来のVRゲームが抱えていた制約を根本的に覆すものです。多くのVRアクションゲームでは、物理演算の限界や操作性の問題から、プレイヤーの行動が制限されがちでした。しかし、Quest 3の処理能力とTwisted Pixelの技術力により、切断された腕を武器として投げつけたり、敵の頭をプロペラに押し付けたりといった、従来では不可能だった表現が実現されています。

特に注目すべきは、ゲーム開始時の演出です。プレイヤーがデッドプールの切断された頭の視点から始まり、自分の身体を第三者視点で操作して再結合するという斬新なアプローチは、VRならではの没入感とデッドプールの第4の壁を破る特性を見事に融合させています。このような創造的な演出は、VRゲームデザインの新たな可能性を示すものといえるでしょう。

声優にニール・パトリック・ハリスを起用した判断も戦略的です。映画版のライアン・レイノルズとは異なる新たなデッドプール像を提示することで、VR版独自のアイデンティティを確立しようとしています。ハリスの持つコメディ演技の幅広さが、VRという没入感の高いメディアでどのような化学反応を生むのか、業界関係者も注目しているところです。

コンフォート機能の充実も見逃せません。VRゲームの普及を阻む最大の要因の一つが、モーションシックネス(VR酔い)です。本作では「今まで見た中で最も広範囲なコンフォートオプション画面」と評されるほど充実した設定を用意し、様々な体質のユーザーが快適にプレイできる環境を整備しています。これは単に一つのゲームの問題ではなく、VR業界全体の課題解決に向けた重要な取り組みといえるでしょう。

市場への影響という観点では、本作の成功如何がMeta Quest 3の普及速度を大きく左右する可能性があります。『バットマン:アーカム・シャドウ』に続く大型専用タイトルとして、VRゲーミング市場の拡大を牽引する役割が期待されています。特に、従来VRに懐疑的だったコアゲーマー層の取り込みに成功すれば、VR業界全体にとって大きな転換点となるでしょう。

長期的な視点で見ると、本作はVRゲームの表現力向上における重要なマイルストーンとなる可能性があります。物理演算、AI、グラフィックス技術の進歩により、今後さらに自由度の高いVR体験が実現されていくはずです。『デッドプール VR』が示すクリエイティブな戦闘システムは、他の開発者にとっても大きなインスピレーションとなり、VRゲーム全体の品質向上に寄与することが期待されます。

【用語解説】

VR酔い(モーションシックネス):VRヘッドセット使用時に発生する吐き気や眩暈などの症状。視覚情報と前庭感覚の不一致により引き起こされる。コンフォート機能により軽減可能。

第4の壁:フィクション作品において、作品世界と現実世界を隔てる仮想的な壁。デッドプールはこれを破って読者や視聴者に語りかけるキャラクター。

モジョワールド:マーベルコミックに登場する異次元世界。テレビ番組制作者モジョが支配する闘技場的な世界で、様々な次元から集められた戦士が戦闘を繰り広げる。

レッドバンドトレーラー:映画業界で成人向け内容を含む予告編の分類。暴力表現や不適切な言語が含まれるため、年齢制限がある。

【参考リンク】

Meta Quest 3公式サイト(外部)Metaが開発するVRヘッドセットの最新モデル。ミックスドリアリティ対応で、81,400円から販売。高解像度ディスプレイとSnapdragon XR2 Gen 2を搭載。

Twisted Pixel Games公式サイト(外部)2006年設立のゲーム開発スタジオ。現在はMeta傘下でVRゲーム開発に特化。『Splosion Man』シリーズや『Wilson’s Heart』などを手がける。

【参考記事】

Deadpool VR stars Neil Patrick Harris as the merc with a mouth, and its super slick combat has impressed me so far | GamesRadarハンズオン体験レポート。ニール・パトリック・ハリスの声優起用とゲームプレイの詳細について解説。

Deadpool VR Game Brings Chaos to Meta Quest 3 in 2025 | Tech BSBゲームの戦闘システムと創造的な敵の倒し方について詳細に分析。過去のデッドプールゲームとの比較も含む。

【編集部後記】

今回『デッドプール VR』のニュースを追いかけて感じたのは、VRゲーム業界が明らかに新たなフェーズに突入したということです。これまでのVRゲームは「VRだから仕方ない」という妥協が多かったのですが、本作は「VRだからこそできる」表現を徹底的に追求している点が革新的です。特に驚いたのは、開発チームが「プレイヤーが想像できることは大抵実行可能」と豪語していることで、切断された腕を武器として投げつけるなんて発想は普通のヒーローゲームでは絶対に思いつきません。

ニール・パトリック・ハリスのキャスティングも絶妙で、ライアン・レイノルズとは全く違うアプローチでVR版独自のアイデンティティを確立しようとしている戦略が見えます。何より印象的だったのは、体験者が「VR酔いを感じながらも、途中で快適になった」と証言していることで、これはVRゲームの歴史において非常に重要な証言です。2025年後半のリリースが待ち遠しい、まさにVRゲーム史の転換点となる作品になりそうです。

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乗杉 海
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