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「ROG Xbox Ally」シリーズ発表 – 50TOPS AI搭載の次世代携帯ゲーム機、2025年ホリデーシーズンに登場

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-09 16:16 by admin

マイクロソフトとASUSが共同開発した携帯ゲーム機「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」が6月8日(現地時間、日本時間6月9日)のXbox Games Showcaseで発表された。2025年ホリデーシーズンに日本を含む27か国で発売予定である。

ROG Xbox AllyはAMD Ryzen Z2 Aプロセッサー、16GB LPDDR5X-6400メモリ、512GB M.2 2280 SSD、60Whバッテリーを搭載し、重量は670gである。上位モデルのROG Xbox Ally XはAMD Ryzen AI Z2 Extremeプロセッサー、24GB LPDDR5X-8000メモリ、1TB M.2 2280 SSD、80Whバッテリーを搭載し、重量は715gとなる。

両モデルとも7インチ1080p 120Hz IPS液晶ディスプレイ、FreeSync Premium、Corning Gorilla Glass Victus保護ガラス、DXC反射防止コーティングを採用している。ROG Xbox Ally XにはインパルストリガーとUSB4ポート(Thunderbolt 4対応)が搭載され、通常モデルはホールエフェクトアナログトリガーとUSB 3.2 Gen 2 Type-Cポートを装備する。

操作系はXboxワイヤレスコントローラーと同じ設計思想に基づく輪郭グリップ、ABXY配置、非対称アナログスティック配置を採用している。Windows 11 Homeを搭載し、Xbox Game Pass、Steam、Battle.net、Ubisoft Connectなど主要PCゲームプラットフォームに対応する。Xbox Play Anywhereにより1000種類以上のゲームがプレイ可能で、Xbox Game Pass向けには「Hollow Knight: Silksong」が発売日から提供される。

from:
 - innovaTopia - (イノベトピア)I Played With the Xbox ROG Ally, the Upcoming Xbox Handheld | CNET

【編集部解説】

マイクロソフトとASUSによる「ROG Xbox Ally」シリーズの発表は、携帯ゲーム機市場における戦略的転換点を示しています。この製品は単なるハードウェアの進化を超えて、ゲームエコシステム全体の統合という野心的な試みを体現しています。

従来の携帯ゲーム機は、任天堂のような独自プラットフォームか、Steam DeckのようなPC互換機という二つの方向性に分かれていました。しかし、ROG Xbox Allyは「手で持てるXbox」というコンセプトのもと、XboxとWindowsの両方の利点を融合させた第三の選択肢を提示しています。これにより、ユーザーはXbox Game Pass、Steam、Battle.net、Epic Games Storeなど、複数のプラットフォームに単一デバイスからアクセス可能となります。

技術的な観点から見ると、AMD Ryzen Z2 AとRyzen AI Z2 Extremeプロセッサーの採用は戦略的な選択です。特に上位モデルのAlly Xに搭載される50TOPS性能のNPUは、MicrosoftのCopilot+ PC規格に対応し、AI支援機能の活用が期待されます。24GB LPDDR5X-8000メモリと1TB SSDの組み合わせは、現世代のAAA級タイトルの快適な動作を可能にします。

ROG Xbox Ally Xの重量715gは、Steam Deck OLED(640g)より重いものの、Xboxワイヤレスコントローラーの設計思想を取り入れた輪郭グリップにより、重量分散が最適化されています。インパルストリガーの搭載は、通常モデルとの明確な差別化要素となり、より没入感の高いゲーム体験を提供します。

バッテリー性能では、ROG Xbox Allyの60WhからROG Xbox Ally Xの80Whへの容量増加が注目されます。これは高性能プロセッサーの電力消費増加を相殺し、実用的なプレイ時間を確保するための配慮と考えられます。

マイクロソフトが開発したXboxフルスクリーン体験は、この製品の最も革新的な側面の一つです。Windows 11のバックグラウンドタスクを最小化し、システムリソースをゲームに集中させることで、PCゲーミングの複雑さを排除しながら性能を最大化しています。

市場への影響を考えると、この製品は任天堂の携帯ゲーム機市場における独占的地位に対する本格的な挑戦状と言えます。Nintendo Switch 2との直接比較では、ROG Xbox Allyの方が明らかに高性能ですが、価格帯や対象ユーザー層は大きく異なります。既存のROG Allyシリーズが599-799ドルで販売されていることを考慮すると、ROG Xbox Allyシリーズも同様の価格帯になる可能性が高く、より本格的なゲーマーをターゲットとしています。

長期的な視点では、この製品はクラウドゲーミングとローカルゲーミングの境界線を曖昧にする重要な一歩となります。Xbox Cloud GamingとRemote Playの統合により、ユーザーは場所や状況に応じて最適なゲーム体験を選択できるようになります。

ROG Xbox Ally Xの真の価値は、XG Mobile対応による拡張性にもあります。USB4ポート経由でNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUまでの外部GPU接続が可能となり、デスクトップ級の性能を携帯デバイスで実現できます。これは、モバイルとデスクトップの境界を曖昧にする革新的なアプローチです。

2025年のホリデーシーズンの発売を控え、この製品がゲーム業界にどのような変化をもたらすか、注目が集まります。

【用語解説】

AMD Ryzen Z2 A:AMDが開発したハンドヘルドデバイス向けプロセッサー。Zen 2アーキテクチャの4コア8スレッドCPUとRDNA 2ベースのGPUを統合している。

AMD Ryzen AI Z2 Extreme:AMDの最新ハンドヘルド向けプロセッサー。Zen 5アーキテクチャの8コア16スレッドCPU、RDNA 3.5 GPU、50TOPS性能のNPUを搭載する高性能チップ。

Copilot+ PC:Microsoftが提唱するAI機能を統合したPC規格。40TOPS以上のNPU性能を要求する。ROG Xbox Ally Xは50TOPSで対応。

インパルストリガー:Xboxコントローラーに搭載される機能。トリガーボタンに振動フィードバックを提供し、ゲーム内の感触をリアルに再現する。ROG Xbox Ally Xにのみ搭載。

ホールエフェクトアナログトリガー:磁気センサーを使用したアナログトリガー。物理的接触がないため耐久性が高い。ROG Xbox Allyに搭載。

LPDDR5X:低電力DDR5メモリの拡張版。従来のLPDDR5よりも高速なデータ転送が可能で、モバイルデバイスに最適化されている。

M.2 2280 SSD:22mm幅、80mm長のM.2規格SSD。ノートPCやコンパクトデバイスで広く使用される高速ストレージ。

FreeSync Premium:AMDの可変リフレッシュレート技術。画面のティアリングやスタッタリングを防止し、滑らかなゲーム映像を実現する。

XG Mobile:ASUSが開発した外部GPU接続システム。USB4経由でNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUまでの高性能グラフィックカードを接続可能。

【参考リンク】

Microsoft Xbox公式サイト(外部)Microsoftのゲーミングブランド公式サイト。Xbox本体、ゲーム、サービスの最新情報を提供している。

ASUS ROG公式サイト(外部)ASUSのゲーミングブランドROGの公式サイト。ゲーミングPC、ノートPC、周辺機器の製品情報を掲載している。

AMD公式サイト(外部)AMDの公式サイト。CPUやGPUの製品情報、技術仕様、最新ニュースを提供している。

Xbox Game Pass公式サイト(外部)Microsoftの定額制ゲームサブスクリプションサービス。月額料金で数百タイトルのゲームが楽しめる。

ROG Xbox Ally公式製品ページ(外部)ROG Xbox AllyシリーズのASUS公式製品ページ。詳細仕様、機能説明、カスタマイズオプションを掲載している。

【参考動画】

【参考記事】

Steam、Xbox、Battle.net搭載の携帯型ゲーム機「ROG XBOX ALLY」が発表 | 電ファミニコゲーマー
ROG Xbox Allyの基本仕様と新機能について詳細に解説。Xbox フルスクリーンエクスペリエンスや統合ゲームライブラリ機能を紹介している。

Xbox初の携帯ゲーム機「ROG Xbox Ally」。Windows 11採用 | AV Watch
ROG Xbox Allyの発表内容と技術仕様を包括的にまとめた記事。日本での発売予定についても言及している。

【編集部後記】

ROG Xbox Allyの発表を受けて、「ついに来たか」という声を挙げました。Steam Deckの登場以降、携帯ゲーム機市場は群雄割拠の時代に突入していましたが、マイクロソフトが満を持して投入してきたこの製品は、単なる「もう一つの選択肢」を超えた存在になりそうです。特に注目したいのは、XG Mobile対応によるRTX 5090 Laptop GPU接続の可能性です。これは「携帯機なのにデスクトップ級」という、これまでの常識を覆すアプローチ。自宅では外部GPUで4K高画質、外出先では内蔵GPUで1080p、という使い分けが現実的になります。また、50TOPS NPUによるAI機能も気になるところ。現時点では具体的な活用例は明かされていませんが、ゲーム内のAIアシスタント機能や、プレイスタイルに応じた自動最適化など、新しいゲーム体験が生まれる可能性を秘めていますね。

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乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!