多くのSNSがAI機能を後から付け足してきたのに対し、設計の最初からAIエージェントの利用を前提に据えたSNSが現れました。日本発の新サービス「MiraiPage(ミライページ)」です。記事の執筆、有料販売、オンラインサロンまでをひとつに束ね、AIが投稿・読解に関われる仕組みを掲げています。
一般社団法人健全AI教育協会(HAIIA)は2026年5月、新型国産SNS「MiraiPage(ミライページ)」を正式リリースした。HAIIAが主催するMiraiLabプロジェクトの第二弾で、開発元は株式会社ウォーカー(代表取締役CEO・伊東雄歩、所在地は東京都文京区湯島)である。
MiraiPageは設計段階から公開API(v1)とMCP(Model Context Protocol)サーバを搭載し、ChatGPTやClaudeなどから操作できる。記事執筆機能とオンラインサロン機能を備え、有料記事、サブスクリプション、チップ、Stripe Connect連携による報酬受け取りに対応する。
主要技術はNext.js 16、Supabase、Stripe、Vercel Fluid Compute。リリースを記念し、先着1,000名にプレミアムプラン(通常価格は月額2,980円)を永久無料で提供する。
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AI時代の新型国産SNS「MiraiPage(ミライページ)」リリース

【編集部解説】
本記事の作成にあたり、編集部はMiraiPage本体(公開サイト)、公開APIドキュメント、運営団体HAIIAおよび開発元・株式会社ウォーカーの実在を確認しました。そのうえで、プレスリリースに見られる表記の揺れや日付の不整合、検証を要する機能表現については、公平な視点から本文中で補正しています。
AIが「人間に代わってWebを操作する」存在になりつつある——この変化を、SNSという最も身近な場所で形にしようとした試みが今回のリリースです。対話型AIは、文章を返すだけの段階から、外部サービスに直接アクセスして投稿や取得を実行する段階へと移りつつあります。これは「AIエージェント時代のWebはどう設計されるべきか」という、大きな問いの実例と言えるでしょう。
まず用語を整理しておきましょう。リリースの核にある「MCP」とは Model Context Protocol の略で、AIと外部ツールを接続するための共通規格です。Anthropicが2024年11月に公開したオープン仕様で、いわばAIにとっての「共通の差込口」にあたります。「API/MCPネイティブ設計」という表現は、AIによる利用を後付けの機能ではなく前提として組み込んだ、という設計思想の主張だと理解すると分かりやすいでしょう。
実際にできることも具体的です。公開API(v1)を使えば、外部のプログラムやAIエージェントが記事の作成・取得・予約投稿を実行でき、公開投稿に関する閲覧数やいいね数などのメトリクスも取得できます。MiraiPageの公開APIドキュメントは整備されており、トークン認証やWebhook通知を備えたREST APIとして機能する設計が確認できました。書き手やクリエイターが自動投稿パイプラインを組んだり、外部CMSと連携させたりする余地は十分にあると言えます。
ただし、編集部として慎重に補正すべき点もあります。リリースは「MCPサーバ搭載」「ChatGPT・Claudeから直接操作可能」を前面に押し出していますが、現時点で公開されているAPIドキュメントに記載があるのはREST APIとWebhookであり、MCPサーバ自体の仕様は確認できませんでした。MCP対応は今後の実装・拡充段階にある可能性があり、読者は「すでに完成した機能」と「構想・予定」を切り分けて受け取るのが賢明です。あわせて、リリース日が本文「2026年5月」・サービス概要欄「5月11日」・配信日「5月19日」と一致しない点、サービス名や団体名の表記が複数揺れている点も指摘しておきます。また「自動E-E-A-T評価」という機能名についても、E-E-A-TはGoogleが品質評価の枠組みとして示す概念であり、公式な数値スコアが存在するわけではないため、解釈に幅がある表現です。
それでも、この設計が示す方向性には意義があります。創作・収益化・コミュニティをひとつの場に統合し、決済連携によって個人が「発信から収益まで」を完結できる構造は、クリエイター経済の実装としては理にかなっています。海外発のプラットフォームが主流のなかで、国産かつAIエージェント前提という旗を掲げた点も、注目に値するでしょう。
一方で、潜在的なリスクからも目をそらすべきではありません。AIが読み書きする場が広がると、AIが生成した文章をAIが読んで評価する「閉じたループ」が生まれ、人間の発信が埋もれていく懸念があります。自動量産されたスパムや、本人になりすました投稿への対策も欠かせません。「先着1,000名に永久無料」という設計は初期ユーザー獲得策として一般的ですが、恒久的な無償提供が運営の体力とどう両立するのかは、今後の透明性ある説明が求められる部分です。
規制・ガバナンスの観点でも論点は多くあります。AIが本人に代わって投稿する時代には、発信の責任の所在、ボットと人間を区別する表示、なりすまし防止が制度的な課題として浮上します。EUのAI規制やプラットフォーム規制の議論ともつながるテーマであり、AIガバナンスを掲げる団体が運営に関わっている点は、その意味で筋が通っているとも言えます。
長期的に見れば、「人間のためのWeb」と「AIのためのWeb」をどう接続するかは、これからの10年を貫く主題になっていくはずです。MiraiPageが描く未来像が正しかったかどうかは、最終的にはユーザー数と運用の誠実さが決めることでしょう。AIを最初から「読者」であり「書き手」として想定する設計思想そのものは、私たちWebメディアにとっても決して他人事ではありません。今後の動向も注意深く見守っていきたいと思います。
【用語解説】
MCP(Model Context Protocol)
AIと外部のツール・データをつなぐための共通規格。Anthropicが2024年11月25日にオープンソースとして公開した標準で、AIアシスタントをデータが存在するシステムへ接続することを目的とする。機器をつなぐUSB-Cにたとえられることが多い。AIにデータを供給する側をMCPサーバ、AI側をMCPクライアントと呼ぶ。
公開API(v1)/API
API(Application Programming Interface)は、外部のソフトウェアがサービスの機能を呼び出すための窓口である。MiraiPageの公開API(v1)では、公開済みの投稿やランキングなど一部の情報は認証なしで取得できる。一方、外部ツールからの記事作成・予約投稿などの操作には、Premiumプランで発行されるBearer Tokenによる認証が必要とされている。
REST API
APIの設計様式のひとつ。HTTPの標準的な操作(取得・作成・更新・削除)に対応づけてサービスを呼び出す方式で、現在のWebサービスで最も広く使われている。
Webhook(ウェブフック)
あるイベントが起きたとき、登録しておいた外部URLへ自動で通知を送る仕組み。MiraiPageでは投稿の作成・公開・削除などを引き金に外部サービスへ通知でき、自動化に用いられる。
E-E-A-T
Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字。Googleが検索品質の評価基準を説明するために示した概念枠組みであり、明確な数値スコアが公式に存在するものではない。
【参考リンク】
MiraiPage(ミライページ)(外部)
記事投稿やシリーズ連載、オンラインサロン、公開APIを備えた国産SNS。本記事の対象サービスで、API仕様書も公開されている。
一般社団法人 健全AI教育協会(HAIIA)(外部)
MiraiPageの共同運営主体とされる一般社団法人。AI時代の倫理・教育・実装の推進を活動領域として掲げている。
株式会社ウォーカー(外部)
MiraiPageの開発元とされる企業。代表取締役は伊東雄歩で、教育事業やAIシステムの企画・開発などを手がけるとされる。
Anthropic(外部)
対話型AI「Claude」を開発する企業。本記事の中核概念であるMCP(Model Context Protocol)の提唱元でもある。
Model Context Protocol 公式サイト(外部)
MCPの仕様やSDK、サーバ実装例などをまとめた公式ドキュメントサイト。規格の詳細を一次情報として確認できる。
OpenAI(ChatGPT)(外部)
本記事に登場する対話型AI「ChatGPT」を提供するサービス。MiraiPageが連携先として挙げるAIのひとつ。
Stripe(外部)
オンライン決済の基盤サービス。MiraiPageはStripe Connectを用いてクリエイターへの報酬支払いを実装するとしている。
Supabase(外部)
MiraiPageが主要技術として挙げるオープンソースのバックエンド基盤。データベースや認証、ストレージ機能を提供する。
Vercel(外部)
Webアプリのホスティング基盤。MiraiPageは同社のVercel Fluid Computeを採用していると説明している。
Next.js(外部)
MiraiPageが採用するWebアプリ開発フレームワーク。本サービスはバージョン16を主要技術として挙げている。
【参考記事】
Introducing the Model Context Protocol(Anthropic公式)(外部)
MCPを2024年11月25日に公開したことを伝えるAnthropicの発表記事。AIとデータをつなぐ新標準としての位置づけを示す一次情報。
Anthropic releases Model Context Protocol to standardize AI-data integration(VentureBeat)(外部)
MCPの公開を報じた海外メディアの記事。普遍的な標準としての意義と、慎重な見方の両方を伝えている。
What Is the Model Context Protocol (MCP)?(Equinix Blog)(外部)
MCPをUSB-Cにたとえて解説し、AIとデータ・ツールの接続を容易にする規格としての役割と企業への示唆を扱う。
【関連記事】
MCP(Model Context Protocol)が変えるAIの未来:Anthropicが提唱する標準化プロトコルの可能性(innovaTopia関連記事)
MCPの基礎を解説した入門記事。本記事の用語解説を補強する。今回がMCP対応を掲げる具体的なSNS製品を扱うのに対し、こちらは規格そのものを解説している。
AIエージェントがリアルタイムデータと連携する未来┃MCPが拓く開発者革命(innovaTopia関連記事)
MCPサーバを介したAIエージェントの外部システム連携を扱う記事。今回のSNSという題材に対し、こちらは企業システムやCopilot Studio連携を対象としている。
カラーミーショップがMCPサーバーを国内EC初導入—AIとの対話でEC運営が変わる(innovaTopia関連記事)
国内サービスがリモートMCPサーバを実装した先行事例。MiraiPageの「MCP搭載」主張を比較するうえで、MCP実装が公式に確認済みのEC事例として好対照になる。
Model Context Protocol(MCP)の設定ミスで機密データ漏洩リスク、15,000台中数百台が無防備状態(innovaTopia関連記事)
MCPサーバの設定不備によるセキュリティリスクを扱った記事。本記事の編集部解説で触れた潜在的リスクを、実際のインシデント調査の側から裏づける。
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【編集部後記】
AIが「読み手」にも「書き手」にもなる場所が、少しずつ現実になってきました。便利さに心が動く一方で、人の言葉が埋もれてしまわないかと、戸惑いを覚える方もいるかもしれません。私たち編集部も、まだ答えを持っていません。
みなさんは、AIと同じ画面を共有するSNSを使ってみたいと感じますか。それとも距離を置きたいでしょうか。発信する場所を選ぶとき、何を大切にしたいか——よろしければ、その感覚をいっしょに考えさせてください。












