NTTドコモが2026年5月27日から、特殊詐欺対策を大幅に強化した「あんしんセキュリティ 詐欺対策プラス」シリーズの提供を開始します。月額999円から利用でき、迷惑電話の自動拒否、AIによる詐欺メッセージのチェック、ディープフェイク画像の判別という3つの新機能を搭載。2025年の特殊詐欺・SNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額が過去最悪の3,257.4億円に達するなか、通信キャリアが自ら詐欺対策のインフラを担う時代が、いよいよ本格的に始まろうとしています。
株式会社NTTドコモは、セキュリティサービス「あんしんセキュリティ」に新たな2プラン「あんしんセキュリティ スタンダードプラン 詐欺対策プラス」と「あんしんセキュリティ トータルプラン 詐欺対策プラス」を、2026年5月27日から提供開始する。料金はスタンダードプラン 詐欺対策プラスが月額999円(税込)、トータルプラン 詐欺対策プラスが月額1,815円(税込)である。
新プランには、トビラシステムズ株式会社提供の「迷惑電話の拒否機能」、F-Secure Inc.提供の「詐欺チェック機能」「フェイク画像診断機能」の3機能が追加される。詐欺チェック機能はAIが9種類の詐欺の可能性を判定する。これに伴い「あんしんセキュリティ トータルプラン」は2026年5月27日に新規受付を停止する。対応OSはAndroid 10.0以上、iOS 17.0以上、iPadOS 17.0以上である。あわせて2026年5月27日から9月30日まで、抽選で計1,900名にdポイントを進呈する記念キャンペーンを実施する。
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「あんしんセキュリティ トータルプラン 詐欺対策プラス」「あんしんセキュリティ スタンダードプラン 詐欺対策プラス」の提供を開始 | お知らせ | NTTドコモ
【編集部解説】
NTTドコモが2026年5月27日から提供を開始する「あんしんセキュリティ 詐欺対策プラス」シリーズは、単なる料金プランの追加ではなく、特殊詐欺という社会課題に対するキャリア事業者からの本格的なアンサーと位置づけられます。
警察庁の確定値によると、2025年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は43,000件(前年比37.5%増)、被害総額は3,257.4億円(前年比63.6%増)に達し、被害額は過去最悪の水準となりました。特殊詐欺では電話、とくに被害者本人の携帯電話への着信を起点とする手口が増加しています。今回ドコモが「電話の自動拒否」「AIによる詐欺チェック」「ディープフェイク画像診断」を3本柱に据えたのは、まさにこの実態を踏まえた設計と言えるでしょう。
注目すべきは、この新プランがバックエンドで2社の専門技術を統合している点です。迷惑電話・SMSのデータベースは利用規模の大きいトビラシステムズ株式会社が提供し、警察・外部機関・利用者から収集した情報を独自に統合した迷惑情報データベースを活用しています。同社の公表値では2025年1〜12月集計で迷惑電話を約99%、詐欺の恐れがあるSMSを約97%検知しているとされ、検知精度の高さが新プランの基盤を支えます。一方、詐欺チェックとフェイク画像診断機能は、フィンランドのサイバーセキュリティ大手F-Secure Inc.が提供します。国内のリアルタイムな電話番号情報と、海外勢が強みを持つAI解析技術を組み合わせる構成は、キャリアならではの「総合プラットフォーム化」と捉えることができます。
技術面で踏み込んで見ると、ディープフェイク画像診断のハードルの高さも理解しておく必要があります。米国NIST(国立標準技術研究所)も、検出器は既知の生成手法には高精度で対応できる一方、未知の生成ソフトに対しては精度が大きく低下し得ると指摘しています。ドコモの新機能が3段階で結果を表示する仕様にしているのは、「白黒つけない、参考情報として提示する」という姿勢の表れであり、過信は禁物だという読み方もできます。
ポジティブな側面としては、これまで個人のリテラシーに依存していた詐欺対策が、キャリアレベルで「インフラ化」される意義は大きいといえます。特に高齢者や、生成AIで巧妙化したロマンス詐欺・投資詐欺に晒される若年層にとって、月額999円〜1,815円という負担は被害額(警察庁の令和7年確定資料によれば、SNS型投資詐欺の1件あたり既遂平均被害額は1,358.2万円、SNS型投資・ロマンス詐欺全体では1,213.3万円)と比べれば極めて低コストです。日常使うキャリアアプリの中で完結する点も、外部セキュリティアプリへの抵抗感を持つ層には強い訴求力を持つでしょう。
一方で潜在的リスクも見ておくべきです。詐欺チェックや画像診断は利用者が自らスクリーンショットをアップロードする「能動的な利用」が前提となっており、「怪しい」と気づける利用者にしか届きません。最も騙されやすい瞬間は、被害者が信じ込んでいる時です。今後はパッシブな検出(受信時の自動スキャン)への進化が課題となるでしょう。また、アップロードした画像データがどう扱われるかというプライバシー面の透明性も、ユーザー側がチェックしておきたいポイントです。
長期的視点では、今回の動きはキャリア各社の「セキュリティ競争」を本格化させる契機になると見られます。iOSではOSの仕様上、迷惑電話の発信時拒否ができないなど、プラットフォーム側の制約も残ります。Apple、Googleといったプラットフォーマーがどこまでキャリア機能を受け入れるかという、より大きな構造的議論にも繋がる話です。
「詐欺対策はもはやセキュリティソフトの話ではなく、通信インフラそのものの責務になりつつある」――今回のリリースは、その転換点を象徴する一手として記憶されることになるかもしれません。
【用語解説】
特殊詐欺
不特定多数の人に対し電話やSMSなどを使い、対面することなく信頼させて現金やキャッシュレス決済で金銭をだまし取る犯罪の総称。オレオレ詐欺やニセ警察詐欺などが含まれる。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺
SNSやマッチングアプリ上で著名人や公的機関、恋愛相手を装って接近し、投資や送金へ誘導する詐欺手口。被害が高額化しやすく、警察庁の令和7年確定資料では1件あたり1,200万円超の平均被害額が報告されている。
ディープフェイク
深層学習(ディープラーニング)を用いて人物の顔や声を別人と入れ替える、または偽造する技術。SNSのなりすましや、本人になりすました動画通話による詐欺などに悪用される事例が増加している。
迷惑情報データベース
詐欺や勧誘などに使われた電話番号・SMSを集約したデータベース。警察や外部機関、利用者からの通報情報と独自調査を統合して構築される。着信や受信時に照合することで、迷惑通信を判定する基盤となる。
ahamo(アハモ)
NTTドコモが提供するオンライン専用の格安料金プラン。今回の新プランはahamo契約者も対象に含まれる。
dポイント(期間・用途限定)
ドコモが運営する共通ポイントサービスのうち、利用期間と使えるサービスが限定されたポイント。キャンペーン特典などで進呈されることが多い。
【参考リンク】
NTTドコモ あんしんセキュリティ 公式サイト(外部)
ドコモが提供するセキュリティサービスの公式案内ページ。各プランの機能比較や対応機種、申し込み方法を確認できる。
トビラシステムズ株式会社 公式サイト(外部)
迷惑電話・迷惑SMS対策の専門企業。本サービスの迷惑電話拒否機能・警告機能のデータベース提供元として参画している。
F-Secure 公式サイト(外部)
フィンランドに本社を置くサイバーセキュリティ企業。本サービスの詐欺チェック機能・フェイク画像診断機能を提供している。
警察庁 特殊詐欺対策ページ(SOS47)(外部)
特殊詐欺・SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数と被害状況に関する公式統計や注意喚起情報がまとめられている。
ahamo 公式サイト(外部)
NTTドコモが提供するオンライン専用料金プランの公式サイト。新プランはahamo契約者も対象となっている。
dポイントクラブ 公式サイト(外部)
ドコモが運営するdポイントの公式案内サイト。記念キャンペーン特典はdポイントクラブ会員が対象となる。
【参考記事】
令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)(外部)
2025年の認知件数43,000件(前年比37.5%増)、被害総額3,257.4億円(前年比63.6%増)と被害額が過去最悪を更新した警察庁の確定資料。
令和7年11月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁SOS47)(外部)
警察庁特殊詐欺対策ページ。最新の月次集計データと注意喚起情報、被害者の接触手段に関する動向が把握できる。
SNS型投資、ロマンス詐欺被害が過去最悪 「ニセ警察」急増、AI活用で手口巧妙化も(時事ドットコム)(外部)
ニセ警察詐欺の被害額が985.4億円と特殊詐欺全体の約7割を占め、生成AI活用で手口が巧妙化していることを報じる記事。
トビラシステムズのデータベースを活用した迷惑電話・SMS対策機能を搭載(トビラシステムズ)(外部)
新プランへのDB採用と、2025年集計で迷惑電話を約99%、詐欺SMSを約97%検知している実績を伝える公式発表。
NIST Guidelines Can Help Organizations Detect Face Photo Morphs(NIST)(外部)
顔写真改変の検出技術に関する米国NIST解説。未知の生成ソフトでは検出精度が低下し得るという課題を示す。
【警察庁からのお知らせ】SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺にご注意ください(デジタル庁)(外部)
警察庁・デジタル庁による注意喚起。SNS型詐欺の典型手口と接触経路の実態を解説する。
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日本国内のロマンス詐欺の具体例。新プランの「詐欺チェック機能」が想定する手口の典型例。
【編集部後記】
詐欺の手口は、私たちが思っている以上のスピードで進化しています。今回のドコモの新プランは、その変化に通信キャリアが本気で向き合い始めた一例と言えるかもしれません。
みなさんはご自身やご家族のスマートフォンに、どのような備えをされていますか。「自分は大丈夫」と感じていても、AIによる偽画像や巧妙化したメッセージは、誰もが瞬間的に判断を誤る可能性を孕んでいます。月額数百円のセキュリティと、信頼できる人とのちょっとした会話。両方を組み合わせて、自分なりの「安心の設計」を一緒に考えてみませんか。












