VirtualGo|ヘッドセット1台からMR多人数プレイへ、リモートVR参加システムをAWEで披露

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MRになぜキラーアプリが存在しないのか。専門家はその理由の一つに、体験を共有できないマルチプレイヤーの弱さを挙げ、普及にはなお数年単位を要するとの見方を示していました。その見立てから1年足らずで、一つの実装例が姿を見せています。動いたのは所有台数ではなく、参加の条件です。


VirtualGoは、Hauntifyのプレイ空間をVRとして再現し、遠隔地のプレイヤーがホストのスキャン済みの部屋にVRで参加できるミクストリアリティ(MR)向けマルチプレイヤーシステムを開発している。同社CEOのDavid Montecalvo氏はAWE(Augmented World Expo)の場で取材に応じ、リモートプレイヤー側のレイテンシは無視できる水準だと説明した。

このシステムはホラーやシューティングに限らず、コージーゲームやRPGなど幅広いジャンルに対応する予定で、Hauntify、MissionRift、FPS Enhanced Realityのマルチプレイヤーアップデートは2027年を予定している。3タイトルはいずれもMeta Quest向けに配信中である。

Hauntify公式プロモーションビデオ

From: 文献リンクVirtualGo’s Mixed Reality Multiplayer System Lets People Join Your Session As VR

【編集部解説】

VirtualGoが示したのは、ミクストリアリティ(MR)のセッションに、リモートの友人がVRヘッドセットで参加できるようにする仕組みです。ホスト側がスキャンした自宅の空間はゲーム内アセットへと変換され、リモートのプレイヤーはその変換済みの空間にVRとして入り込み、ホストと同じ場所を共有しているかのように振る舞えると、VirtualGoは説明しています。

この仕組みが解決しようとしている問題は明確です。MRの協力プレイはこれまで、Resolution GamesのDemeoやSpatial Opsのように、同じ部屋に複数のヘッドセットを用意する「コロケーション」型が主流でした。しかし一般家庭にXRヘッドセットが複数台あるケースは珍しく、この方式を主力機能として大規模に展開するのは難しいというのが実情です。VirtualGoのアプローチは、この「同じ部屋に複数台」という前提そのものを外し、リモートの参加者をVR側に回すことで、MRの体験を1台のヘッドセットからでも始められるようにしています。

ただし、ここは注意が必要です。今回の仕組みは、XRデバイスの所有台数を減らすものではありません。リモートで参加する側も、結局はVRヘッドセットを1台持っている必要があります。変わったのは、参加者全員が同じ部屋に物理的に集まる必要がなくなったという点です。オンラインマルチプレイヤーゲームであれば当たり前の、離れた場所からでも遊べるという性質を、これまで基本的に自分の部屋の中で完結する体験だったMRというジャンルに持ち込んだ、という言い方の方が実態に近いかもしれません。

技術的な土台として見逃せないのは、Hauntifyが2025年時点で、Meta公式のルームスキャン機能に頼らないcontinuous scene meshingという手法をすでに採用している点です。これは開発者Julian Triveri氏がQuest 3の深度センサーAPIを使って実装した技術で、部屋のスキャンを事前に済ませておく必要がなく、家具の移動なども含めてリアルタイムに空間を認識し続けられるというものです。今回のリモートVR参加機能が、変換された実空間をリアルタイムで見せると謳えるのは、こうした常時更新型の空間認識がすでに土台としてあるからだと考えられます。ただし、この技術基盤とリモート参加機能を結びつける具体的な実装、つまりホスト側の空間データをどのようにネットワーク越しに同期し、リモート側のVRレンダリングに反映しているかについては、元記事でも説明がなく、現時点では不明です。

レイテンシは無視できる水準というVirtualGo CEOのDavid Montecalvo氏の発言も、公開の場でのデモを見た記者の印象に基づくものであり、記者自身が実際に体験して確認したものではありません。ネットワークの状況や部屋の複雑さによって体験の質は変わりうるため、この評価は開発元の主張として受け止めるべきもので、独立した検証を経た数値ではないという点は明記しておく必要があります。

公開時期についても現時点の情報は限定的です。

Hauntify、MissionRift、FPS Enhanced Realityのマルチプレイヤーアップデートは2027年を予定しているとされていますが、これは今回披露されたのがプリアルファ版のビルドであることを踏まえると、1年以上先の話です。AWE(Augmented World Expo)2026自体の公式発表を見ても、VirtualGoの出展としてはアウトドア型MRシューティングのMissionRiftのプレビューが取り上げられており、今回のリモートVR参加という要素は、主催者側が前面に押し出した目玉というよりも、現場での個別インタビューを通じて明らかになった情報という位置づけに近いと見られます。

MR・ARがVR単体の体験に比べてソーシャル性で後れを取ってきたという指摘そのものは、業界内でしばしば語られてきたものです。

VirtualGoの取り組みは、その溝を埋める一つの試みとして注目に値しますが、現段階では単独の中小デベロッパーによる、一つのカンファレンス取材に基づく発表にとどまります。実機での動作検証も、他の開発者やメディアによる独立した確認も、まだ存在しません。

【関連記事】

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「Spatial Ops」2024年正式リリースへ!世界初のミックスドリアリティシューターが進化
本文中で比較対象として挙げたコロケーション型MRシューター、Spatial Opsの正式リリース時の記事。

【編集部後記】

MRが「一人で完結する体験」から抜け出せるかどうかは、結局のところネットワークや権利関係といった地味な作り込みにかかっています。今回のデモが示したのは可能性であって、完成品ではありません。そもそもHauntify自体、公式のルームスキャンから外部発の常時空間認識技術への乗り換えを経て、今の形にたどり着いた経緯があります。

一つの技術的な節目を越えるたびに「次こそ」という言葉が繰り返されてきたジャンルでもあります。私たちが追うべきなのは、派手なキーワードではなく、2027年に実際に何が動くかという地に足の着いた続報です。中小デベロッパー発の挑戦がどこまで形になるか、静かに見ていきたいと思います。

【用語解説】

ミクストリアリティ(MR):VR(仮想現実)のように視界を完全に覆うのではなく、パススルー映像を介して現実空間にデジタル要素を重ね、干渉させる技術。

コロケーション:複数のプレイヤーが同じ物理空間に集まり、各自のヘッドセットで同一の拡張済み空間を共有してプレイする方式。

Continuous Scene Meshing(常時空間認識):事前のルームスキャンを必要とせず、プレイ中も家具の移動などを含めて周囲の空間形状をリアルタイムに認識し続ける技術。Quest 3の深度センサーAPIを用いて開発者Julian Triveri氏が実装し、後にHauntifyも採用した手法。

【参考リンク】

VirtualGo(外部)
Hauntify、MissionRift、FPS Enhanced Realityを手がける中小デベロッパーの公式サイト。「Hauntify Multiplayer」の2027年リリース予定も掲載されている。

Hauntify Mixed Reality(Meta Questストア)(外部)
VirtualGoのホラー系MRゲームの公式ストアページ。自宅を舞台にした幽霊退治ゲームの概要を確認できる。

Resolution Games(外部)
DemeoやSpatial Opsを手がけるスウェーデンのXRスタジオの公式サイト。コロケーション型MRの主要開発元のひとつ。

Demeo(公式ページ)(外部)
テーブルトップ協力アドベンチャーのMR/クロスプラットフォーム版の公式ページ。

Spatial Ops(公式ページ)(外部)
最大8人のコロケーション対戦に対応するMRシューターの公式ページ。

AWE(Augmented World Expo)(外部)
今回VirtualGoが取材を受けたXR業界最大級のカンファレンスの公式サイト。2026年は6月にロングビーチで開催された。

Meta Quest(外部)
VirtualGoの全タイトルが配信されているMeta社のVR/MRヘッドセットプラットフォームの公式サイト。

【参考記事】

Hauntify On Quest 3 Now Uses Lasertag’s Continuous Scene Meshing|UploadVR(外部)
Hauntifyが2025年、Meta公式のルームスキャンに頼らない常時空間認識技術を採用した経緯を報じた記事。今回のリモートVR参加機能の技術的前提として参照した。

AWE USA 2026 major product launches…|AWE公式ブログ(外部)
AWE 2026における出展・発表をまとめた主催者公式の記事。VirtualGoのMissionRiftプレビューが記載されている一次情報。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。