Clicks Power Keyboard、今夏出荷開始|スマホに物理QWERTYを追加、MagSafe・Qi2対応

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スマートフォンで長文を打つなら、画面のソフトウェアキーボードより物理キーを選びたい人もいるでしょう。ClicksのPower Keyboardは、その願いを幅広い端末でかなえる一方、180gの追加重量という明確な代償も抱えます。便利さと携帯性は両立できるのでしょうか。


Clicks Technologyの「Power Keyboard」は、MagSafeまたはQi2でスマートフォンに装着し、Bluetooth接続で使うスライド式物理キーボードだ。現在の公式ストアではUS$139、現行仕様では2,300mAhのバッテリーと5Wのワイヤレス充電機能を備える。

iPhoneやPixelなど複数サイズの端末で利用できる一方、本体重量は180gあり、大型スマートフォンでは縦持ち時の重量バランスと携帯性が課題となる。TechCrunchは打鍵感やカスタマイズ性を評価しつつ、快適性では物理キーボード一体型のClicks Communicatorへの期待を示している。

From: 文献リンクClicks’ Power Keyboard brings BlackBerry-style typing to any phone — with some compromises

【編集部解説】

専用ケースから「汎用キーボード」へ

Power Keyboardで重要なのは、単にスマートフォンへ物理キーボードを追加したことではありません。従来のClicks Keyboardは特定のiPhoneなどに合わせたケース一体型でしたが、Power KeyboardはBluetooth接続と磁力による装着を採用し、スマートフォン本体からキーボードを切り離しました。

MagSafeやQi2に対応するスマートフォンなら背面へ取り付けられ、対応していない端末でもMagSafe/Qi2対応ケースや接着式リングを利用できます。公式情報ではiPhone Air、iPhone 17 Pro/Pro Max、iPhone 16 Pro、Pixel 9、Galaxy Foldなどでテスト済みとされています。外付けBluetoothキーボードとしては、スマートTVやApple Vision Proなどでも動作確認が行われています。

つまり、スマートフォンを買い替えるたびに専用キーボードケースを買い直すのではなく、1台のキーボードを複数の機器で使う方向へ製品の性格が変わっています。現行仕様では最大9台のBluetooth機器とのペアリングに対応しています。

汎用性の代償は180gの重量

一方、この汎用性を実現するために避けにくいのが重量です。Power Keyboard本体は119.7×76.6×15.2mm、重量180gです。

TechCrunchの実機レビューでは、iPhone 17 Pro MaxやPixel 10 XLのような大型スマートフォンと組み合わせると、縦向きでは上部が重くなり、保持しにくかったと報告されています。厚めの保護ケースを装着したiPhoneでは入力しづらく、ケースを外すと改善したものの、大型端末との組み合わせそのものには扱いにくさが残ったとしています。横向きでは比較的使いやすかったとの評価です。

ここがPower Keyboardを選ぶ際の最大の判断材料になりそうです。小型、軽量のスマートフォンであれば物理キーボードの利点を得やすい一方、大型端末ではスマートフォンとキーボードの合計重量を常に手で支えることになります。

また、180gという重量だけでなく、ポケットへ収納した際にキーボード部分が引っ掛かったり、意図せずスライドしたりする可能性もTechCrunchは指摘しています。

そのため、一般的な薄型スマートフォンケースのように常時装着して使うというより、長文入力など物理キーが必要な場面で取り付けるアクセサリーとして考えた方が、製品の特徴には合っています。

キーボードだけではなく、モバイルバッテリーとしても使える

重量が増える一方、その内部には2,300mAhのバッテリーが搭載されています。スマートフォンへの5W Qiワイヤレス充電にも対応し、キーボード用に一定容量を確保したり、ワイヤレス充電自体を無効にしたりする設定もClicks Appから変更できます。

なお、TechCrunchの記事では内蔵バッテリーを2,150mAhと記載していますが、現行のClicks公式仕様では2,300mAhとなっています。本記事では、現在公開されている公式仕様を優先します。

Power Keyboardを180gの「キーボード」とだけ考えると重さが目立ちますが、物理キーボードと小型モバイルバッテリーを一体化したアクセサリーと考えれば見方は変わります。ただし、ワイヤレス充電は公式仕様で5Wのため、急速充電器の代替というより、外出中にスマートフォンの電池を補うための機能と考えるのが適切です。

日本向け出荷は開始済み、公式価格はUS$139

日本向けの出荷も始まっています。Clicksは2026年6月18日に日本向けに必要なTELEC認証を取得したと発表し、6月22日には日本向け注文の出荷開始を案内しています。2026年8月3日の更新では、第1バッチの75%を出荷済みとしています。

価格について、TechCrunchは8月10日の記事で99ドルと報じています。一方、2026年8月12日時点のClicks日本向け公式ストアでは、通常価格US$159から20ドル割引されたUS$139と表示されています。なお、同日時点の公式製品ページでは在庫切れ表示となっているため、購入時には在庫状況と最新価格を確認する必要があります。

向いているのは「物理キーを使う理由」が明確な人

Power Keyboardは、スマートフォンのソフトウェアキーボードを完全に置き換える製品というより、物理キーを必要とするユーザーに選択肢を追加する製品と考えた方が分かりやすいでしょう。

メールやチャットなどの長文をスマートフォンで頻繁に入力する人、画面をキーボードで隠さずに入力したい人、スマートフォンだけでなくタブレットやテレビなどでも同じキーボードを使いたい人には利点があります。Bluetoothキーボードとして複数機器に利用できることは、専用ケース型にはない強みです。

反対に、スマートフォンでは短文入力が中心の人や、本体の軽さ、薄さ、ポケットへの収納性を優先する人には180gの追加重量が大きな負担になります。特に大型スマートフォンを使っている場合は、TechCrunchのレビューでも確認された保持しにくさを考慮する必要があります。

Power Keyboardが解決しているのは「スマートフォンに物理キーボードを付けられない」という問題です。その代わり、物理キーボードを持ち歩く重量とサイズは消せません。どちらを優先するかが、この製品を選ぶ最大の基準になりそうです。

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Power Keyboardが既存スマートフォンへ物理キーを追加するアクセサリーなのに対し、Minimal Phone 2は物理QWERTYキーボードを端末本体へ組み込んだスマートフォンです。物理キーを現代のモバイル環境でどう残すかという点で比較できます。

物理キーボードを後付けするのではなく、端末そのものに組み込む選択肢もあります。Minimal Phone 2は、OLEDや5Gを採用しながら物理QWERTYキーボードを製品の核として残しています。

Clicks Communicator発表、物理キーボード搭載の「セカンドフォン」が399ドルで2026年後半発売
Power Keyboardと同じClicks Technologyが開発する物理キーボード一体型Androidスマートフォンです。Power Keyboardの汎用アクセサリー方式とは異なり、端末全体を物理キーボードの利用を前提に設計している点が大きな違いです。

Clicks自身も、物理キーボードを前提にスマートフォン全体を設計する「Clicks Communicator」を開発しています。汎用性を重視するPower Keyboardとは異なる、もう一つのアプローチです。

Clicks Keyboard、Best Buyと提携し米国市場に進出:新色と拡張サポートも発表
2024年にClicksが展開していたiPhone専用キーボードケースを扱った過去記事です。特定機種向けのケース型だった従来製品から、複数端末で使えるPower Keyboardへ製品設計がどう変化したかを確認できます。

Power Keyboard以前のClicksは、iPhoneごとに専用設計したキーボードケースを展開していました。現在の汎用型へ至るまでの製品設計の変化も確認できます。

【編集部後記】

MagSafeで物理キーボードをiPhoneに取り付けられるという発想は、かなり面白く感じました。 必要なときだけ装着すれば、現代のiPhoneをBlackBerryのような感覚で使えるようになります。画面タッチが主流になった今だからこそ、物理キーの入力感に魅力を感じる人も少なくなさそうです。 一方で、180gという重量を追加してまで使いたいかは悩ましいところです。
それでも、スマートフォンの使い方をアクセサリーひとつで大きく変えられる点には惹かれます。
実際にiPhoneへ装着して、どの程度BlackBerryに近い感覚で入力できるのか試してみたくなりました。


【用語解説】

MagSafe
AppleがiPhone向けに展開する磁力を利用したアクセサリー・ワイヤレス充電システム。対応アクセサリーをiPhone背面の適切な位置へ磁力で固定できる仕組み。

Qi2
Wireless Power Consortiumが策定したワイヤレス充電規格。Magnetic Power Profile(MPP)を採用し、磁力による位置合わせに対応する規格。

Bluetooth Low Energy(BLE)
Bluetoothの無線方式の一つ。低消費電力でのデータ通信を目的とした方式。Power KeyboardはBLE 5.4を採用。

【参考リンク】

Clicks Technology公式サイト(外部)
Clicksの物理キーボード製品やClicks Communicator、Power Keyboardなどの製品情報を掲載する公式サイト。

Clicks Power Keyboard公式ページ(外部)
Power Keyboardの対応機器、2,300mAhバッテリー、5W Qi充電、サイズ、重量などの現行仕様を掲載する公式製品ページ。

Clicksサポート(外部)
Clicks製品のFAQ、返品、注文、Power Keyboardの出荷状況などを案内する公式サポートページ。

【参考記事】

Which Phones is the Clicks Power Keyboard Compatible With?|Clicks(外部)
iPhone、Pixel、Galaxyなどの装着・ワイヤレス充電対応状況を整理した公式互換性ガイド。磁石を内蔵しない端末で対応ケースが必要になる条件も掲載。

Pre-order Updates – Clicks Power Keyboard|Clicks(外部)
Power Keyboardの製造・出荷状況を更新する公式ページ。2026年6月18日の日本向けTELEC認証完了、6月22日の日本向け出荷開始、8月3日の第1バッチ75%出荷を確認できる。

Clicks Power Keyboard – Built to Last|Clicks(外部)
スライダー10万回超、主要キー20万回超など、Power Keyboardの耐久試験や落下・環境試験について説明する公式記事。

Power Keyboard: June 1 Update|Clicks(外部)
Power Keyboardの量産・出荷状況、各地域での認証作業、ペアリングや機器切り替えなど利用開始時の情報をまとめた公式アップデート。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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