Bigme HiBreak Dual 2|「読む」と「操作する」を分ける5Gスマホ。電子ペーパー+LCDのデュアル画面とは

[更新]2026年7月2日

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スマートフォンを1日に何度手に取っているか、数えたことはありますか。明るく鮮やかな画面は便利さの象徴であると同時に、目や気持ちがなんとなく疲れる原因にもなっています。かといって、電子書籍リーダーのような目にやさしい端末は、地図やアプリの操作にはもどかしい。結局、多くの人が「読むための道具」と「操作するための道具」のあいだで、小さな我慢を続けてきました。

Bigmeが発表した「HiBreak Dual 2」は、その我慢に正面から向き合った1台です。1つの端末に性質のまったく違う2枚の画面を積むという、少し無茶にも思える発想。それが実際にどんな体験をもたらすのか、まだ完成品を誰も手にしていない今だからこそ、その狙いと引っかかりどころを一緒に見ていきます。


Shenzhen Dawo Cloud Reading and Writing Technology Co., Ltd.は2026年6月29日、5Gスマートフォン「Bigme HiBreak Dual 2」をKickstarterでクラウドファンディング開始予定だと発表した。

同機は6.13インチの電子ペーパー(カラー版・モノクロ版)と5インチのLCDを1台に搭載する。チップはDimensity 8300で、AnTuTuスコアは約160万点を見込む。前世代のDimensity 1080搭載機HiBreak ProやB7 Proは約70万点クラスだった。Bigmeはカラー電子ペーパーモニター「B251 Pro」を発表予定、AI電子ペーパーフォトフレーム「F13」を発売予定としている。

From: 文献リンクカラー電子ペーパー+LCDの大型デュアルスクリーン5Gスマートフォン「Bigme HiBreak Dual 2」がKickstarterに登場

※アイキャッチはShenzhen Dawo Cloud Reading and Writing Technology Co., Ltd. PRTIMESより引用

Shenzhen Dawo Cloud Reading and Writing Technology Co., Ltd. PRTIMESより引用

【編集部解説】

スマートフォンの画面はこの十数年、より明るく、より色鮮やかで、より高精細な方向へと一直線に進化してきました。今回 Bigme が「HiBreak Dual 2」で提示したのは、その潮流にあえて逆らう発想です。私たちが注目したいのは、電子ペーパーという「引き算の技術」を、スマートフォンという「足し算の道具」の中心に据えようとしている点にあります。

なお、配信元の Shenzhen Dawo Cloud Reading and Writing Technology Co., Ltd. は、電子ペーパー製品ブランド「Bigme」に連なる企業です。英語の一次情報では Bigme Cloud Literacy Technology Co., Ltd. という表記も確認できます。いずれも Bigme ブランドに連なる主体ですが、両者の法的な関係は公開情報からは明確ではありません。

電子ペーパー(E Ink)は、画面が自ら光を放つ液晶や有機ELと違い、外光を反射して文字を映します。紙に近く、目が疲れにくく、消費電力も小さい一方で、書き換えが遅く、動画やカラー表示を苦手としてきました。HiBreak Dual 2 は、この弱点を埋めるために電子ペーパーをLCDで「補う」のではなく、6.13インチの電子ペーパーと5インチのLCDを役割の異なる2枚として並置しました。

ここが前世代との決定的な違いです。Notebookcheck は、初代 HiBreak Dual のLCDが比較的小さかったのに対し、Dual 2 では2枚の画面がほぼ同等のサイズになり、設計思想そのものが大きく見直されたと指摘しています。初代のLCDは1.85インチの小型円形ディスプレイ(360×360)で、時計や通知のような簡単な用途に向いて見えるとされ、Dual 2では両画面がほぼ同じ大きさで同程度に実用的に使えるよう、Bigmeはコンセプトを大幅に改めたという見立てです。

性能面の数字は、読者の誤解を招きやすいので補足します。AnTuTu の約160万点は、あくまで Bigme による公称・予測値であり、第三者の実測ではありません。確かに前世代の約2倍超ですが、搭載される Dimensity 8300 は最新世代のチップではありません。これは2023年第4四半期に発表されたチップで、それでも一定の性能的な余裕は見込める、というのが Notebookcheck の評価です。読書端末としては明らかに過剰なほどの処理能力であり、その余力はLCD側のアプリ操作や残像制御に振り向けられると読み解くのが自然でしょう。

仕様の確度についても、区別して捉えておく必要があります。公式ページで確認できる主要仕様は、6.13インチの電子ペーパー、5インチのLCD、Dimensity 8300、Android 16、デュアル5G、スタイラス対応です。12GBのRAMと256GBのストレージは、Good e-Reader などの報道が伝えていますが、現時点の公式ページ本文では直接確認できていません。80fpsという数値も、前世代機で達成された実績として発表されたものであり、Dual 2については「高フレームレート表示のさらなる向上」がうたわれている段階です。そして価格、バッテリー容量、カメラ仕様、画面解像度といった核心部分は、いずれも未公表のままです。

ここで一点、表現に注意を促しておきます。プレスリリースやKickstarterのページに掲げられた「世界初(world’s first)」という言葉は、あくまで Bigme 自身による主張であり、独立した第三者の認定ではありません。海外で多数見られる関連記事の大半も、同じプレスリリースをほぼそのまま転載したものであり、報道の「数」が事実の「裏付け」を意味しないことは、読者と共有しておきたい視点です。

その上で、この製品が拓く可能性は小さくありません。通知の洪水から距離を置きながら、必要なときだけ色と速度のあるLCDに切り替える。1台で「集中して読む/書く」時間と「素早く操作する」時間を物理的に分ける設計は、近年関心が高まる「デジタル・ウェルビーイング」に対し、ハードウェアの側から示された一つの回答と位置づけられます。

潜在的なリスクも率直に挙げておきます。本件は製品の正式発売ではなく、Kickstarter での資金調達を予告する段階にすぎません。クラウドファンディングには、出荷遅延や仕様変更、最悪の場合は計画頓挫の可能性が常に伴います。Bigmeは電子ペーパー製品で実績を重ねてきた一方、大手スマートフォンメーカーほど長期の実績が見えにくく、長期的なサポートを過度に期待しにくいという指摘もあります。2枚の画面の使い分けがソフトウェア上どれだけ滑らかに実現できるかは、実機が出てから慎重に見極める必要があります。

規制や長期的な観点では、過度な画面注視と健康をめぐる議論、とりわけ子どもや学習現場での目への配慮という文脈で、電子ペーパー端末の存在感は今後増していく可能性があります。発光の少ない表示は、ブルーライトや光害への社会的関心とも接続します。Bigme が同時に予告する25.3インチのカラー電子ペーパーモニターや13インチのAIフォトフレームは、この技術が「読む」道具から「働く・暮らす」基盤へと広がりつつあることの証左でしょう。

性能競争とは別の軸で「画面とどう付き合うか」を問い直す――それは、派手な数字の裏側にある思想を見極めることかもしれません。それこそが、未来のデバイスを選ぶ私たちに求められる視座だと考えます。

【用語解説】

電子ペーパー(E Ink)
画面が自ら発光せず、外光を反射して文字や画像を映す表示技術である。紙に近い見えかたで目が疲れにくく、消費電力も小さい。一方、書き換えが遅く、動画やカラー表示を苦手とする。発光する液晶(LCD)や有機ELとは原理が異なる。

リフレッシュレート(fps)
画面が1秒間に何回書き換わるかを示す数値で、frames per second の略。数値が高いほど動きが滑らかになる。電子ペーパーは構造上この値が低くなりがちで、80fpsは電子ペーパー端末としては高水準にあたる。

Dimensity 8300/Dimensity 1080
いずれもスマートフォン向けの頭脳にあたるチップ(SoC)の名称である。Dimensity 8300は1080より新しく高性能だが、市場全体で見れば最新世代ではない。HiBreak Dual 2には8300が、前世代のHiBreak ProやB7 Proには1080が搭載されている。

AnTuTu(アンツツ)
スマートフォンの総合的な処理性能を点数で示すベンチマーク(性能測定)アプリである。数値が高いほど高性能とされる。ただし実際の使い心地を完全に反映するものではなく、目安の一つにすぎない。

スタイラス
画面に直接書き込むためのペン型入力デバイスを指す。HiBreak Dual 2では電子ペーパー側での手書きメモや注釈に対応する。

【参考リンク】

Bigme HiBreak Dual 2 製品ページ(公式ストア)(外部)
6.13インチ電子ペーパーと5インチLCD、Dimensity 8300、Android 16、スタイラス対応をうたう公式の製品紹介ページ。早期アクセス登録ができる。

Kickstarter プロジェクトページ(外部)
HiBreak Dual 2のクラウドファンディング予告ページ。メール登録で開始通知や早期割引、詳細スペックを先行して受け取れる。

Bigme公式ストア(HiBreak Dual/スマートフォン一覧)(外部)
前世代のHiBreak Dualをはじめ、Bigmeの電子ペーパースマートフォンを購入できる公式オンラインストア。

Bigme Amazon ストア(日本)(外部)
HiBreak Pro等のBigme製品を日本のAmazonで購入できる公式ブランドストアページ。

【参考動画】

【参考記事】

Bigme Hibreak Dual 2 Smartphone will hit Kickstarter soon(Good e-Reader)(外部)
6.13インチ電子ペーパーと5インチLCD、80FPS、Dimensity 8300、12GB RAM、256GBストレージなど数値を多く伝える記事。

Dual-screen smartphone: Bigme Hibreak Dual 2 combines e-ink and LCD(Notebookcheck)(外部)
初代より大型化したLCDと、Dimensity 8300を最新世代ではないと評する点を伝える独立系メディアの記事。

BigMe unveils HiBreak Dual smartphone with a color E Ink screen and a rear display(Notebookcheck)(外部)
初代HiBreak Dualの背面LCDが1.85インチ・360×360だったことを伝える、前世代比較の根拠記事。

Bigme Unveils HiBreak Dual 2: The World’s First Large Dual-Screen Color E-Ink Smartphone(Heyup)(外部)
AnTuTu約160万点や、前世代への「反省と謝罪」を経た開発という背景文脈を伝える記事。

Bigme HiBreak Dual 2 is a dual-screen phone with 6.13 inch E Ink and a 5 inch LCD displays(Liliputing)(外部)
初代LCDの小ささを指摘し、長期サポートへの懸念にも触れる、批判的視点を備えた記事。

Bigme Hibreak Dual 2 Blends E-Ink Calm with LCD Color in a Dual-Screen Smartphone(partofstyle)(外部)
価格やバッテリー、カメラ、解像度などが未公表である段階を整理し、狙いを解説する記事。

MediaTek Dimensity 8300(MediaTek公式)(外部)
搭載チップDimensity 8300の世代・性能を確認できるメーカー公式の製品ページ。

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【編集部後記】

この製品を追いかけながら、ずっと頭にあったのは「引き算」という言葉でした。スマートフォンの進化は、もっと速く、もっと鮮やかに、もっと多機能にという足し算でできています。その流れのなかで、あえて目にやさしい電子ペーパーを主役に据えるのは、時計の針を逆に回すようにも見えます。でも、実際に自分の1日を振り返ると、画面から少し距離を置きたい瞬間は確かにあって、この製品はその感覚をすくい上げようとしているように思えました。

一方で、期待だけで語れないことも正直に感じています。2枚の画面を心地よく行き来できるかは、結局のところ使ってみないと分かりません。価格も、電池のもちも、カメラの実力も、まだ多くが伏せられたままです。クラウドファンディングという形は、応援する高揚感と、届くまでの不確かさが背中合わせになっています。だからこそ、数字の派手さや「世界初」という響きに気持ちを持っていかれすぎないよう、一歩引いて眺める視点も持っておきたいところです。

それでも、こうした「変わり種」が世に問われること自体を、前向きに受け止めたいと思っています。画面とどう付き合うかは、この先ますます一人ひとりの選択になっていきます。すべての人に合う端末ではないでしょう。けれど、選択肢が増えることは、私たちが自分の暮らしを自分で設計できる余地が広がることでもあります。あなたなら、読む時間と動かす時間を、どんなふうに分けたいでしょうか。その問いを、この1台は静かに手渡してくれているのかもしれません。

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omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。