MicrosoftがSurface Duoより前に、一般的な一枚板型のSurface Phoneを検討していた可能性が浮かび上がりました。Nokia買収と重なる開発時期をたどると、同社のモバイル戦略が別の道を選んだ背景が見えてきます。
Microsoftが2013〜2014年ごろに開発していたとされるSurfaceブランドのスマートフォン試作機が明らかになった。端末はWindows Phone 8.1、720pディスプレイ、物理ナビゲーションキー、Qualcomm製の詳細不明なチップを搭載していたとされ、シルバーの筐体は2013年のSurface 2に近い意匠を持つ。
Microsoftは2013年9月にNokiaのDevices and Services事業買収を発表しており、Android Authorityはこれが計画中止につながった可能性を指摘する。その後、Surfaceブランドのスマートフォンは2020年のSurface Duoまで登場しなかった。
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Microsoft almost made a Surface phone we actually wanted
【編集部解説】
今回見つかった試作機で興味深いのは、MicrosoftがSurface Duoとはまったく異なる形で、Surfaceブランドのスマートフォンを検討していた可能性が見えてきたことです。
Windows Centralによると、この試作機は2013〜2014年ごろに開発されたとされ、開発途中のWindows Phone 8.1、720pディスプレイ、Qualcomm製の詳細不明なチップを搭載していたと報じられています。シルバーの筐体やWindowsロゴなど、同時期のSurface 2を思わせるデザインも確認できます。つまり、折りたたみ端末でもデュアルスクリーン端末でもなく、当時一般的だった一枚板型スマートフォンにSurfaceのデザインを持ち込んだ端末だったと考えられます。
Nokia買収と重なる開発時期
この試作機が製品化されなかった理由については注意が必要です。Android AuthorityとWindows Centralはいずれも、MicrosoftによるNokiaの携帯電話事業買収が影響した可能性を指摘していますが、Microsoft自身が「Nokia買収を理由にSurface Phoneを中止した」と公表した事実は確認できません。
ただし、時系列を見ると両者が重なっていたことは確かです。Microsoftは2013年9月3日、NokiaのDevices & Services事業の大部分を54億4000万ユーロで取得する計画を発表しました。対象にはMobile PhonesとSmart Devices事業、設計チーム、生産設備、販売・マーケティング部門などが含まれ、Lumiaブランドと製品もMicrosoft側へ移る計画でした。
つまり、Microsoftが自社でSurface Phoneを検討していたとされる時期に、同社は並行してNokiaのスマートフォン開発能力そのものを取り込もうとしていました。すでにLumiaというWindows Phone製品群と、Nokiaのハードウェア設計・製造・販売体制を獲得するのであれば、別系統のSurface Phoneを製品化する優先度が下がったとしても不自然ではありません。ただし、ここは公開された時系列から読み取れる可能性であり、中止理由として断定することはできません。
MicrosoftがSurfaceブランドを冠したモバイル端末としてSurface Duoを発売したのは2020年です。しかし、今回の試作機とは製品思想が大きく異なります。
Surface Duoは2枚のディスプレイを360度回転するヒンジで接続し、2つのアプリを並べて利用することなどを重視したAndroid端末でした。Microsoft自身も発表時に、単一画面のスマートフォンを改良するのではなく、ポケットに入るデバイスの使い方そのものを考え直す製品として位置づけています。米国での発売価格は1,399ドルからでした。
これに対して、2013〜2014年の試作機は、少なくとも外観や確認されている仕様を見る限り、既存のWindows Phone市場にそのまま投入できそうな通常型スマートフォンでした。少なくとも今回報じられた試作機を見る限り、Microsoftは一時期、一枚板型のSurface Phoneも検討していた可能性があります。
もちろん、この試作機が発売されていれば成功したとは判断できません。720pディスプレイなどの仕様だけでは、当時の競合製品に対する価格やカメラ性能、バッテリー性能、販売地域などを評価できず、製品化された場合の仕様も不明です。今回分かったのは、MicrosoftがSurface Duoより約6年前に、より一般的なスマートフォンの形でSurfaceブランドをモバイルへ広げる選択肢を持っていた可能性がある、というところまでです。
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Hisenseのデュアルスクリーン型スマートフォンを扱った記事。Surface Duoが採った2画面構造と、現在のスマートフォンにおける別のアプローチを比較できる。
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MicrosoftがWindowsとSurfaceの開発体制を再統合し、AI PC戦略を進める動きを扱った記事。現在のSurfaceブランドが重視する領域を確認できる。
【編集部後記】
Microsoftが生み出すハードウェアには、Appleとはまた違った方向のクールさを感じます。万人に受け入れられる完成形を目指すというより、ときには大胆な設計を選び、その形を実際の製品として世に出そうとする覚悟があります。
Surface Duoもそうでしたし、今回明らかになったSurface Phoneの試作機にも、その姿勢の一端が見えるように思います。必ずしもすべての挑戦が成功するわけではありません。それでも、まだ存在しない使い方を形にしようとするMicrosoftの製品には、実物を一度手に取って確かめてみたくなる魅力があります。
【用語解説】
Windows Phone 8.1
Microsoftがスマートフォン向けに提供していたWindows Phoneのバージョン。今回報じられたSurface Phone試作機に搭載されていたとされるOS。
Surface
Microsoftが展開する自社ハードウェアブランド。現在はSurface ProやSurface LaptopなどPCを中心に展開。
Surface Duo
Microsoftが2020年に発売した、2枚のディスプレイを備えるAndroidモバイルデバイス。2つの画面を開いて複数のアプリを利用できる構造が特徴。
Lumia
Nokiaが展開し、その後Microsoftが携帯電話事業の買収によって引き継いだスマートフォンブランド。
【参考リンク】
Microsoft Surface(外部)
MicrosoftのSurface公式サイト。Surface ProやSurface Laptopなど、現在展開されているSurfaceシリーズの製品情報を確認できる。
Surface Duo(第1世代)の機能と仕様|Microsoft Support(外部)
初代Surface Duoの公式仕様ページ。2画面構造やAndroid OS、Microsoft 365アプリとの統合など、製品の仕様と機能を確認できる。
【参考記事】
Microsoft to acquire Nokia’s devices & services business, license Nokia’s patents and mapping services|Microsoft(外部)
Microsoftが2013年9月に発表したNokiaのDevices & Services事業買収に関する一次資料。Surface Phone試作機が開発されていたとされる時期のMicrosoftのモバイル戦略を確認できる。
Microsoft officially welcomes the Nokia Devices and Services business|Microsoft(外部)
2014年4月25日の買収完了を伝えるMicrosoft公式発表。Lumiaスマートフォンを含むNokiaの携帯電話事業がMicrosoftへ統合されたことを確認できる。
Is this Microsoft’s canceled Surface Phone from 2014? Mysterious Windows Phone prototype appears in new photos|Windows Central(外部)
今回報じられた試作機について、開発時期、Windows Phone 8.1、720pディスプレイ、Qualcomm製チップ、Surface 2を思わせる筐体などを詳しく伝えた記事。

















