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ガソリンスタンドが変わる。出光興産、小型モビリティ「mibot」の販売拠点に

[更新]2026年1月18日

ガソリンスタンドが変わる。出光興産、小型モビリティ「mibot」の販売拠点に - innovaTopia - (イノベトピア)

ガソリンスタンドが、小型EVの販売・整備拠点へ。出光興産とKGモーターズの提携が示すのは、既存インフラの再定義という新しいモビリティ戦略です。駅から自宅までの「ちょっとした距離」を埋める移動手段が、身近な場所から広がり始めます。


出光興産株式会社とKGモーターズ株式会社は2026年1月16日、小型モビリティ「mibot」の納車・点検整備等に関する業務提携契約を締結した。2026年4月から東京都および広島県の出光興産系列サービスステーション「apollostation」の一部店舗で、購入サポート、納車、登録代行、保険取扱い、点検整備・部品交換のトライアルを開始する。

トライアル後、全国展開を順次進める。mibotは一人乗り電動ミニカーで、全長2,485mm、全幅1,140mm、全高1,470mm、車両重量約470kg。バッテリー総容量は7.68kWh、航続距離は約100km、電気代は1kmあたり約1.82円である。家庭用100Vまたは200Vコンセント、200V普通充電が利用可能。道路運送車両法では第一種原動機付自転車に分類され、車検は不要。走行時にCO₂を排出しない。

From: 文献リンク出光興産と KG モーターズ、次世代モビリティ分野での協業を開始 小型モビリティ「mibot」で環境負荷低減と地域社会への貢献を両立

【編集部解説】

今回の出光興産とKGモーターズの提携は、日本の超小型モビリティ市場にとって重要な転換点となる可能性があります。

広島県東広島市のベンチャー企業であるKGモーターズは、2024年8月に予約受付を開始してから1ヶ月で1000台を超える注文を集め、同年12月には年間10万台の生産能力を持つ「Mibot Core Factory」を設立しました。しかし、ベンチャー企業が抱える最大の課題は、販売網と整備網の構築です。どれほど優れた製品を開発しても、顧客が購入しやすく、安心して使い続けられるインフラがなければ、市場への普及は困難です。

一方、出光興産は2021年から「スマートよろずや構想」を推進しており、全国約6000のアポロステーションを「地域の生活支援基地」へと転換しようとしています。ガソリン車からEVへのシフトが進む中、エネルギー企業にとって既存のガソリンスタンド網をどう活用するかは死活問題です。出光は既に飛騨高山と館山で超小型EVカーシェアを展開しており、モビリティサービスへの関心は高いと言えます。

この提携は、両社の課題を相互に解決する可能性を秘めています。KGモーターズは全国規模の販売・整備網を獲得でき、出光興産は脱炭素時代における新たな事業の柱を得られます。特に注目すべきは、ガソリンスタンドという既存インフラを活用できる点です。アポロステーションは全国に展開しており、顧客との接点も豊富です。

超小型モビリティは日本で10年以上前から推進されていますが、普及は進んでいません。トヨタのC+podは2024年夏に生産を終了しており、価格と実用性のバランスが課題とされてきました。mibotは車両価格100万円程度、車検不要、保険料も安価という点で、軽自動車よりも経済的です。1kmあたり約1.82円という電気代は、ガソリン車と比較して圧倒的に低コストです。

ラストワンマイル問題も深刻化しています。過疎化と高齢化が進む地域では、公共交通の維持が困難になっており、自家用車を運転できなくなった高齢者の移動手段確保が課題です。mibotのような小型EVは、買い物や駅までの往復といった日常の短距離移動に特化しており、こうした社会課題の解決策となる可能性があります。

ただし、課題もあります。まず、トライアルが成功するかどうかは未知数です。また、2026年4月からのトライアルは東京都と広島県の一部店舗に限定されており、全国展開までには時間がかかります。さらに、最高速度60km/h、航続距離100kmという制約があるため、用途は限定的です。

とはいえ、この提携が成功すれば、他のガソリンスタンドチェーンや小型EVメーカーにも波及効果をもたらすでしょう。エネルギー企業が持つ全国規模の拠点網と、ベンチャー企業の革新的な製品を組み合わせるモデルは、他の業界にも応用可能です。

innovaTopiaが注目するのは、この提携が示す「既存インフラの再定義」という視点です。ガソリンスタンドは単なる給油所ではなく、地域モビリティのハブへと進化しつつあります。技術は人間の進化を加速させる道具であり、その真価は既存の社会インフラとどう融合するかにかかっています。

【用語解説】

超小型モビリティ
自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れた1人から2人乗り程度の車両。国土交通省は「長さ2.5m、幅1.3m、高さ2mを超えない、最高時速60km以下の軽自動車のうち、高速自動車国道等を運行しない車両」と定義している。日本では2013年から認定制度が創設されたが、価格や利便性の問題から普及は進んでいない。

第一種原動機付自転車(ミニカー)
道路運送車両法における車両区分の一つ。定格出力0.6kW以下のモーターを搭載し、車検が不要。ただし、道路交通法上は普通自動車に区分されるため、運転には普通自動車免許が必要で、交通ルールも自動車と同じ。高速道路は走行不可。

ラストワンマイル
直訳すると「最後の1マイル(約1.6km)」。最寄り駅やバス停から自宅、あるいは目的地までの短距離移動を指す。過疎化や高齢化が進む地域では、この区間の移動手段確保が社会課題となっている。物流分野でも、配送拠点から各家庭までの最終区間を指す用語として使われる。

スマートよろずや構想
出光興産が2021年から推進する事業構想。全国約6000のアポロステーションを「地域の生活支援基地」へと転換し、多様なエネルギー供給、幅広い移動手段の提供、暮らしを豊かにするコミュニティづくりなど、多様なサービスを展開する。脱炭素社会の実現と地域課題の解決を目指している。

【参考リンク】

mibot(KGモーターズ)(外部)
KGモーターズが開発する一人乗り小型電動モビリティの公式サイト。車両スペック、予約方法、よくある質問などが掲載されている。

出光興産株式会社(外部)
石油精製・販売を手がけるエネルギー企業。全国約6000のサービスステーション「apollostation」を展開。

apollostation(アポロステーション)(外部)
出光興産のサービスステーションブランド。給油やカーケアに加え、EV充電、モビリティサービスなども提供。

国土交通省 超小型モビリティについて(外部)
超小型モビリティの認定制度、導入ガイドブック、過去の取組などを掲載。3つの車両区分について解説している。

【参考記事】

KGモーターズのパーソナルEV『mibot』先行試乗/販売開始へ着々と前進中 | EVsmartブログ(外部)
mibotの主要スペックや、2025年秋の販売開始に向けて1900台を超える予約が集まっている状況を報告。試乗レポートも含む。

KGモーターズ、小型モビリティmibotの量産拠点「Mibot Core Factory」を設立 | DRONE(外部)
予約開始から1ヶ月で1000台を超える予約を獲得。年間10万台の生産能力を持つ新工場を設立した。

未来の大事な移動手段「超小型モビリティー」はなぜ普及しないのか? | webCG(外部)
トヨタC+podが2024年夏に生産終了した背景を分析。超小型モビリティ普及の課題を論じている。

超小型モビリティの一般公道の走行を解禁へ 国交省 | レスポンス(外部)
2020年9月、国土交通省が最高速度60km/h以下の量産用超小型モビリティの一般公道走行を可能にする法改正を公布。

出光興産、新SSブランド「apollostation」本格稼働へ | Car Watch(外部)
2021年4月からapollostationブランドの展開を開始。環境省との連携による超小型EVカーシェアも展開中。

【編集部後記】

みなさんの街のガソリンスタンドは、どんな姿に変わっていくと思いますか。

駅から自宅までの「ちょっとした距離」、スーパーまでの「微妙に遠い道のり」。私たちの日常には、車を出すほどでもないけれど歩くには遠い、そんな移動がたくさんあります。この提携は、そうした小さな不便を解消する一歩になるかもしれません。

トライアルが始まる2026年4月以降、もしお近くのアポロステーションでmibotを見かけたら、ぜひ注目してみてください。エネルギー企業とベンチャーが手を組んだこの挑戦が、日本のモビリティをどう変えていくのか。私たちも一緒に見守っていきたいと思います。

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Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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