(アイキャッチ画像:Galaxy Book6公式サイトより引用)
サムスンのGalaxy Book6シリーズが2026年3月11日より米国で販売開始される。ラインナップはGalaxy Book6、Galaxy Book6 Pro 14インチ・16インチ、Galaxy Book6 Ultra 16インチの3モデルだ。全モデルにIntel 18Aプロセスで製造されたIntel Core Ultra Series 3プロセッサーを搭載する。
Galaxy Book6 ProはIntel Arcグラフィックスを採用し、Galaxy Book6 UltraはNVIDIA RTX 5060またはRTX 5070 GPUを選択可能だ。ディスプレイはDynamic AMOLED 2X、解像度2,880×1,800ピクセル、最大輝度1,000nits、リフレッシュレート最大120Hzである。バッテリーは最大30時間のビデオ再生に対応する。
接続端子はThunderbolt 4×2、HDMI 2.1×1、USB 3.2 Type-A×1を備え、Wi-Fi 7およびBluetooth 5.4をサポートする。韓国での販売価格はGalaxy Book6 Proが約KRW 260万〜351万、Galaxy Book6 Ultraが約KRW 462万〜491万である。
【編集部解説】
今回の最大の注目点は、プロセッサーにIntelの新世代「Panther Lake」アーキテクチャ(Core Ultra Series 3)を採用したことです。このチップはIntelが18Aプロセスで製造する最新世代であり、AIアクセラレーター(NPU)を強化した設計が特徴です。「Intel製チップを搭載したWindowsラップトップがApple Siliconにどこまで迫れるか」という問いへの、現時点でのIntelとサムスンからの共同回答とも言えます。
CPU性能の現実については、Tom’s Hardwareのレビューが明確な数字を示しています。Geekbench 6のマルチコアスコアで、Galaxy Book6 Ultra(Core Ultra 7 356H搭載)は16,655点を記録。一方、Apple MacBook Pro 16インチ(M4 Pro)は22,822点であり、まだ大きな差があります。Handbrake 4K動画変換テストではSamsungが3分18秒を記録し、Dell 16 Premiumを32秒上回りましたが、MacBook Pro(2分38秒)には40秒の差をつけられており、重負荷処理では依然としてApple Siliconが優位です。
ディスプレイは全モデルにDynamic AMOLED 2X(2,880×1,800、16:10、最大120Hz)を採用。Tom’s Hardwareの実測では輝度451nitsを記録し、Dell 16 Premium(367nits)を大きく上回ります。sRGBカバレッジは121.2%、DCI-P3は85.8%と、映像制作・写真編集用途にも十分応えるクオリティです。なお、QD-OLEDはソニーやDell Alienwareなど別メーカーが採用する方式であり、Galaxy Book6のパネルはAMOLEDです。
バッテリーについては、実使用想定テストで15時間21分を記録。Dell 16 Premium(7時間15分)やFramework Laptop 16(8時間20分)を大幅に上回りますが、MacBook Pro 16インチの21時間超にはまだ届きません。「1日中使えるWindowsラップトップ」という観点では、現実的に十分な水準に達したと言ってよいでしょう。
デザインと携帯性では、Galaxy Book6 Ultraの本体サイズが14.01×9.77×0.46インチ、重量3.5ポンド(約1.59kg)です。MacBook Pro 16インチ(0.66インチ厚・4.67ポンド)より薄く、1ポンド以上軽い。「パワーを持ちながら薄く軽い」という相反する要求に対して、明確な前進を示しています。
長期的な視点で見ると、このシリーズはサムスン単独の製品にとどまらず、IntelのPanther Lake戦略の試金石でもあります。IntelはQualcomm Snapdragonに奪われつつある薄型ノートPC市場でのシェア回復を狙っており、Galaxy Book6シリーズの市場評価がIntelの今後の方針にも影響を与える可能性があります。
【用語解説】
NPU(Neural Processing Unit)
AIの推論処理に特化した演算ユニット。Panther LakeのNPUはMicrosoftのCopilot+認定要件である40TOPSを超える処理能力を持ち、ローカル端末上でのLLM処理やリアルタイム翻訳・画像生成を高効率に行える。
Dynamic AMOLED 2X
サムスン独自のOLEDディスプレイ技術。可変リフレッシュレート(30〜120Hz)に対応し、コンテンツに応じて自動調整することで消費電力を抑えながら滑らかな表示を実現する。
Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)
最新世代の無線LAN規格。理論最大転送速度は46Gbps(Wi-Fi 6Eの約4.8倍)。マルチリンクオペレーション(MLO)により複数の周波数帯を同時利用でき、低遅延・高安定性が特徴。Galaxy Book6シリーズ全モデルに搭載されている。
Galaxy AI
サムスンが提供するAI機能の総称。テキスト要約、ライブ翻訳、サークル・トゥ・サーチなどをOSレベルで統合。Galaxy Book6シリーズではWindows上でこれらの機能が利用できる。
Geekbench 6
Primate Labsが提供するクロスプラットフォームのCPUベンチマークツール。シングルコア・マルチコアの処理能力を数値化するもので、IntelとApple Siliconなど異なるアーキテクチャ間の比較指標として広く使われる。
Copilot+
MicrosoftがWindows 11向けに定めたAI対応PC規格。NPUが40TOPS以上の処理能力を持つことを必須要件とし、Recall(画面記憶・検索)、Cocreator(AI画像生成)などの機能が利用可能になる。
【参考リンク】
Samsung Galaxy Book6シリーズ(米国公式)(外部)
Galaxy Book6シリーズのスペック・価格・購入情報が確認できるサムスン米国公式製品ページ。
Intel Newsroom|Core Ultra Series 3(Panther Lake)発表(外部)
CES 2026でのIntel Core Ultra Series 3公式発表ページ。Intel 18Aプロセス採用の技術詳細を掲載。
Samsung Newsroom US|Galaxy Book6 米国3月11日発売発表(外部)
サムスン米国公式ニュースルームによるGalaxy Book6シリーズ発売日・価格の公式発表ページ。
【参考動画】
Samsung × Intel at CES 2026:Galaxy Book6 w/ Core Ultra Series 3
Galaxy Book 6 Ultra – Hands On!(SamMobile)
Samsung Galaxy Book 6 Pro Review: They NAILED it!(Booredatwork.com)
【参考記事】
Tom’s Hardware|Samsung Galaxy Book6 Ultra review: Premium creator pick(外部)
Geekbench・バッテリー・輝度・Handbrakeなど実測数値を多数掲載。MacBook ProやDellとの比較あり。
Intel Newsroom|CES 2026: Intel Core Ultra Series 3 Debut as First Built on Intel 18A(外部)
LLM処理最大1.9倍・エネルギー効率2.3倍など、Intel公式による性能数値を掲載した発表ページ。
Samsung Newsroom US|Samsung’s Powerful Galaxy Book6 Series Available March 11(外部)
米国発売日・価格帯(Book6:$1,049.99〜、Pro:$1,599.99〜、Ultra:$2,449.99〜)の公式発表。
ASUS Blog|Intel Panther Lake vs Lunar Lake: Core Ultra Series 3がAI PC時代を再定義(外部)
Lunar LakeとPanther Lakeの世代比較。最大16コア・AIワークロードと省電力の両立を解説。
SamMobile|Galaxy Book 6 Pro and Book 6 Ultra have been launched(外部)
韓国での発売情報と価格(Pro:KRW 260万〜351万、Ultra:KRW 462万〜491万)を掲載。
Samsung Newsroom Global|Galaxy Book6 Series Wins Top Reviews for Unmatched Performance(外部)
サムスン公式による主要テックメディアのレビュー評価まとめページ。
【編集部後記】
「MacBookかWindowsか」という問いは、長らくOS好みやエコシステムの話に終始してきました。しかし今回のGalaxy Book6シリーズを見ていると、その構図が少しずつ変わってきていると感じます。
IntelがTSMCへの依存から脱却し、自社プロセス「Intel 18A」で製造したチップをサムスンの看板ノートPCに搭載する。この一点だけでも、PC業界における力学の変化を感じずにはいられません。Apple Siliconの登場以来、「Windowsはバッテリーが持たない」「発熱が多い」というイメージが定着していましたが、実測15時間超のバッテリーと0.46インチという薄さは、その印象を塗り替えるに十分な数字です。
もちろん、GeekbenchのスコアやHandbrakeのエンコードタイムではApple Siliconがまだ優位にあります。「完全に追いついた」と言うのは時期尚早でしょう。ただ、差は確実に縮まっています。そして何より、ソフトウェアの互換性、カスタマイズ性、企業利用でのAD連携など、Windowsという選択肢の幅は依然として大きなアドバンテージです。
みなさんは今、どちらのプラットフォームを使っていますか?あるいは、両方を使い分けていますか?Galaxy Book6の登場を機に、自分の「道具選びの基準」を改めて考えてみるのも面白いかもしれません。








































