Reed Smith「Aquarius」がMiCA規制対応を自動化。EU登録CASPは280社へ、ESMAは検査開始

弁護士に規制対応を頼めば、時間あたりで請求書が積み上がる——その常識に、大手法律事務所が自ら風穴を開けた。しかも自動化する対象は、記載を誤れば損害賠償の根拠になる法定書類の生成である。書類の中身を機械が組み立て、値段は成果物ごとに透明化する。責任は、いったい誰の手に残るのだろうか。


国際法律事務所 Reed Smith が、EUの暗号資産市場規制(MiCA/MiCAR)への対応を自動化するプラットフォーム「Aquarius」を発表した

開発したのは同事務所のテクノロジー部門 Reed Smith Legal Solutions である。公式発表は2026年7月13日付。Aquarius が自動化するのは、暗号資産の分類、法定ホワイトペーパーの生成、ESG対応、デューデリジェンス、そしてLEI(法人識別子)とDTI(デジタル・トークン識別子)の生成。一方、リーガルオピニオン、法律相談、個別助言は弁護士が担う。MiCA対応の全体を自動化するものではなく、自動化部分と弁護士主導部分を分けたモジュール型の設計をとる。主たる対象は取引所やカストディアンではなく、トークンの発行者とオファラーである。同事務所は今後、英国、UAE、香港、シンガポールの規制ロジックを追加する方針を示している。

発表の背景には、2026年7月1日のMiCA経過措置(グランドファザリング)終了がある。この日以降、MiCA上の認可や通知など適法な根拠を持たない事業者は、限定的なリバース・ソリシテーションと顧客保護に必要な秩序ある終了処理を除き、EU域内で通常の営業や新規勧誘を行えなくなった。ESMAの登録簿に掲載される事業者は、6月26日版の243件から7月3日版の280件へ増加。7月8日にはESMAが、カストディ業務を対象とする共通監督行動(CSA)の開始を発表している。

From: Global law firm launches MiCA compliance tool as crypto companies navigate new EU rules

【編集部解説】

今回のニュースは、一見すると「規制対応が面倒だからツールが出た」という業界内輪の話に見えます。しかし公式発表をたどると、Aquarius を開発したのは Reed Smith のテクノロジー部門である Reed Smith Legal Solutions であることがわかります。法律事務所が、自らの内部に技術部門を抱え、そこから製品を出した。

そして機能一覧のなかに、報道ではあまり詳しく触れられていない項目が二つ含まれています。LEI(法人識別子)と DTI(デジタル・トークン識別子)の生成です。

LEI は ISO 17442、DTI は ISO 24165 で標準化された、機械可読の識別子です。そしてMiCAは、ホワイトペーパーの提出にiXBRLという機械可読形式を求めています(2025年12月23日から適用)。分類に必要なデータを機械可読にするための技術基準(委任規則 (EU) 2025/421)も、すでに整備されました。

つまり、規制当局が求めているのは、もはや人間が読む「書類」だけではありません。当局のシステムが読み取れる構造化データです。コンプライアンスが文書作成の営みから、データ生成の営みへと移りつつある——編集部は、この流れのなかにこそ今回のローンチの意味があると読んでいます。

弁護士の「時間」以外の物差しが、大手事務所から出てきた

Aquarius が自ら差別化要因として掲げているのは、機能でもAIでもなく「アフォーダビリティ(価格の手頃さ)」です。自動化された機能については、透明で競争力のある価格を提示し、コストの予測可能性を高めるとしています。

法律事務所のビジネスは長らくタイムチャージ、すなわち「弁護士の時間」を売る商売でした。そこに、稼働時間だけを物差しにしない価格設計が混ざり込む。しかも、それを大手事務所が自前でやる。なお、具体的な課金単位や定額制の有無は公表されていません。

これは、リーガルテック企業が外から法律事務所を侵食する構図ではありません。法律事務所が、自らのサービスの一部を自分の手で商品化しにいっている構図です。同じ道を監査法人やコンサルティングファームがたどるとすれば、専門職サービス産業の値付けの前提そのものが動く——これは編集部の見立てです。

誰のためのツールなのか、を正確に見ておく

もう一点、実務上とても重要な区別があります。

7月1日に終了した経過措置と、ESMA の監督行動が対象にしているのは、CASP(暗号資産サービスプロバイダー)、つまり取引所やカストディアンです。一方、Aquarius が主たる対象として掲げるのは、暗号資産の発行者(issuer)とオファラー(offeror)。MiCAR上、法定ホワイトペーパーの作成義務を負う側です。

同じ「MiCA対応」という言葉でくくられていても、義務の中身も、期限も、名宛人も違います。トークンを出す側と、それを預かる側。今回のプロダクトが解こうとしているのは前者の課題であり、ESMA が動いたのは後者に対してです。ただし、同一法人がCASPと発行者を兼ねる場合もあり、両者は完全に排他的ではありません。

規制の「発効」ではなく、規制の「運用」が始まった

MiCAは段階的に適用されてきました。ステーブルコイン(ART・EMT)に関する規定は2024年6月30日から、CASP規制を含む残りの部分は2024年12月30日から。2026年7月1日に終わったのは、各加盟国が最長で設定できた経過措置(グランドファザリング)です。ドイツやフランスのように、より短い期間を設定した国もあります。EU全域が一律に7月1日まで猶予されていたわけではありません。

この日以降、MiCA上の認可、通知、その他の適法な根拠を持たない事業者は、EU域内で通常の営業や新規勧誘を行えなくなりました。残された道は、顧客の完全に自発的な要請による限定的なリバース・ソリシテーションと、顧客保護のために必要な秩序ある終了処理(ウィンドダウン)だけです。

ここで一点、見落とされがちな例外があります。銀行や投資会社といった既存のEU金融機関は、MiCA第60条の通知制度を用いて暗号資産サービスを提供できます。すべての事業者が第63条の新規認可を取得しなければならない、というわけではありません。

数字を見ると、この移行の実質がわかります。ESMA登録簿の掲載件数は、6月26日版の243件から、7月3日版の280件へ増えました。ただし、この登録簿は随時更新されるスナップショットであり、第60条の通知を行った金融機関の記録なども含まれうるため、280という数字がそのまま「認可CASP280社」を意味するわけではありません

個別の動きは明快です。7月6日にはルクセンブルクのCSSFが Ripple にCASP認可を与え、パスポート制度により30か国のEEA全域で、認可されたサービスを提供できるようになりました。Standard Chartered、FalconX、Sygnum Europe も新たに名を連ねています。

そして7月8日、ESMA は共通監督行動(CSA)の開始を発表します。対象はCASPのカストディ業務における、デジタル・オペレーショナル・レジリエンス。ガバナンス、鍵と保管の管理、取引統制、インシデント検知と対応、スマートコントラクトのリスク、そして第三者プロバイダーへの依存

注意しておきたいのは、7月8日に立入検査が始まったわけではないという点です。実査は各国所管当局(NCA)が、リスクベースで抽出した対象に対して、2026年後半から2027年前半にかけて行います。最終報告書がESMA理事会(Board of Supervisors)へ上がるのは2027年後半。MiCAの枠組み下で初の協調的な監督行動だと報じられています。

免許は入り口にすぎない、というのはこういうことです。

自動化された「法定開示」の責任は、誰が負うのか

ここに、編集部が最も注視している緊張があります。

MiCARのホワイトペーパーは、パンフレットではありません。内容、届出、公表、更新までを規則が定める法定文書です。不正確・不公正・不明確・誤解を招く記載や、重要情報の欠落によって生じた損害については、民事責任の規定が置かれています。

手続はトークンの類型で異なります。ART(資産参照型トークン)の発行には認可が必要で、ホワイトペーパーは所管当局の承認対象です。一方、ART・EMT以外のTitle II暗号資産のホワイトペーパーは届出制であり、当局の事前承認を受けません。この場合、内容の正確性を担保する責任は、より重く作成側に残ります。

その生成を自動化するとき、最終的に誰が責任を負うのか。

Reed Smith は、自動化される機能(分類、ホワイトペーパー生成、ESG、識別子生成、デューデリジェンス)と、弁護士が担う機能(リーガルオピニオン、個別助言)をモジュールとして明確に分けています。この分離が、実務上どのように責任配分へ翻訳されるのかは公表されていません。ただ、プラットフォームを使ったからといって、MiCA上の責任が発行者、オファラーその他の法定責任主体から当然に移転するわけではない——この点は動かないはずです。

ESMA が今回のCSAで第三者プロバイダーへの依存を検査対象に挙げたことは、示唆的です。対象はあくまでカストディCASPであり、開示書類の作成サービスが監督対象になるという発表はありません。それでも同じ論理を延長するなら、規制対応を外部プラットフォームに委ねること自体が、いずれ監督の視野に入る可能性がある——これは編集部の予測です。コンプライアンスの自動化は、リスクをゼロにするのではなく、その所在を移動させます。

ルールが固まる前に、ツールが先に来る

もう一つ、皮肉な事実があります。

MiCAの見直し議論は、経過措置が終わるより前に、すでに始まっていました。欧州委員会は2026年5月20日、MiCA見直しに関する意見募集を開始しています。当初の期限は8月31日でしたが、6月29日に1か月の延長が発表され、現在の締切は2026年9月30日です。

その結果は、二つの報告に反映されます。一つは第140条に基づくMiCA適用状況の報告で、最終報告の提出期限は2027年6月30日。立法提案を伴う可能性があります。もう一つは第142条に基づく、MiCAが扱っていない領域(DeFi、暗号資産のレンディングなど)に関する報告です。こちらは別建ての枠組みで、すでにEBAとESMAの共同報告が公表されています。

論点は、単純な「ドル建て規制」ではありません。EUと第三国にまたがる複数発行モデル、準備資産、償還権、第三国制度との同等性評価、そしてトークン化された預金や決済の扱い。トークン化金融商品をMiFIDに残すのかMiCAに寄せるのか、という境界線の問題も含まれます。ターゲット協議の質問票は、4つの領域にわたる86問に及びます。

背景には、米国のGENIUS Act(2025年7月18日成立、Public Law 119-27)と、ステーブルコインの圧倒的多数がドル建てであるという現実があります(比率は集計時点や指標により異なり、報道では95〜97%とされます)。ECBのラガルド総裁は、ドル建てステーブルコインが銀行預金を吸い上げ、金融主権を損ないうると繰り返し論じてきました。ただし、欧州委員会の公式資料はGENIUS Actだけを見直しの原因とはしていません。

Taylor Wessing のミロスラフ・ドゥリッチ氏は、具体的な立法提案が2028年より前に採択される可能性は低いと見ています。

つまり事業者はいま、「まだ動くかもしれないルール」に対して、確定的な対応コストを払わなければならない。法改正に合わせてロジックを更新し続けるプラットフォームという商品形態は、この不確実性そのものに応えるかたちで成立している、と言うこともできます。

日本の読者にとって、これは他人事ではありません

ここが最も重要な補助線です。

日本でも、暗号資産の規制は資金決済法から金融商品取引法へ移管されようとしています。改正法案は2026年4月10日に国会へ提出され、6月11日に衆議院を通過。そして2026年7月14日、参議院財政金融委員会が賛成多数で可決しました。あわせて、与野党共同提案による14項目の附帯決議が全会一致で採択されています。

残るステップは参議院本会議の採決のみ。通常国会の会期末である7月17日までの成立が見込まれています。成立・公布すれば、暗号資産に関する規定は公布日から起算して1年以内に施行されるため、2027年中の新制度導入が視野に入ります。

その柱の一つが、情報公表規制の整備です。発行権限を特定の者だけが持つ暗号資産を「特定暗号資産」と定義し(金商法第2条第50項)、その発行者に法定の情報公表義務を課す。虚偽記載には損害賠償責任と課徴金、そして10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科という罰則が用意されています。インサイダー取引規制の新設も含まれます。

これは、法律上「ホワイトペーパー制度」と呼ばれてはいませんが、MiCAの法定ホワイトペーパーに相当する制度です。義務主体も公表内容も手続も同一ではありませんが、金融審議会のワーキング・グループ報告は、現行のホワイトペーパーには記載が不明確な例や、記載内容と実際のコードに差がある例が多いと指摘していました。

そして Reed Smith が Aquarius の追加対応先として挙げたのは、英国、UAE、香港、シンガポール。日本は含まれていません。

欧州で立ち上がった「規制対応のプロダクト化」というモデルが、いずれ日本の制度にも接続されるのか。それとも、日本語と日本法の障壁が、国内のリーガルテックに参入余地を残すのか。内閣府令の内容と実務需要に左右されますが、2027年に向けた事業機会になり得ます。

見るべきは、ツールではなく「規制が読み取り可能になる」流れです

規制が世界中で林立し、互いに参照し合い、書き換え合う時代に入りました。日本の金商法改正も、金融庁の説明資料がIOSCOの勧告と欧州での法制化を背景として明示しています。ルールは、もはや単一の国家の内側で完結しません。

その複雑さは、いずれ人間の可処分時間を超えます。MiCAがホワイトペーパーにiXBRLを求め、分類データの機械可読化まで技術基準で定めはじめたことは、法が構造化データとして表現されていく方向を、制度の側から裏づける事実です。

問われるのは、その先です。規制対応が安く速くなったとき、規制が本来守ろうとしていた投資家保護は、同じだけ強くなるのか。 それとも、書類は整うが実態は追いつかない、という新しい形の空洞化が生まれるのか。

2027年後半に出るESMAの報告書は、カストディのオペレーショナル・レジリエンスに関するものです。投資家保護そのものへの答えではありません。それでも、各国当局が個別に得てきた監督上の知見が、初めてMiCAの枠組みで横断的に整理されます(個別事業者名を含む比較結果が公表されるかは、明らかにされていません)。編集部は、この検査結果を引き続き追いかけます。

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【編集部後記】

Aquariusが吐き出すLEIとDTIは、人が読むための情報ではありません。当局のシステムが機械的に照合するための識別子です。ここに、この製品の本当の狙いが透けて見えます。

法が構造化データを求め、それに応える形で対応が自動化されます。この流れが行き着く先で問われるのは、たぶん一点だけです。開示書類の生成が誰にでも安く速く手が届くようになったとき、投資家保護という本来の目的は、書類の完成度と同じ速さで満たされていくのでしょうか。それとも、整った書類の内側で、実態との距離だけが静かに広がっていくのでしょうか。ESMAが2027年後半に出す検査結果は、その最初の手がかりになります。

【用語解説】

MiCA / MiCAR(暗号資産市場規制)
EUが定めた暗号資産に関する包括的な規制枠組み。正式名称は Regulation (EU) 2023/1114。2023年6月29日に発効し、トークンの発行・開示、取引、カストディなどを規律する。「MiCA」と「MiCAR」は同一の規則を指す略称であり、法律実務では後者が使われることが多い。

グランドファザリング(経過措置)
新しい規制の施行時に、既存事業者へ一定期間だけ従来ルールでの営業を認める仕組み。MiCAでは第143条第3項に基づき各加盟国が最長18か月まで任意で設定でき、2026年7月1日、または認可の可否が決定される時点まで継続可能だった。ドイツやフランスはより短い期間を設定している。

CASP(暗号資産サービスプロバイダー)
取引所、ブローカー、カストディアンなど、暗号資産に関するサービスを業として提供する事業者。MiCAのもとでは加盟国当局の認可が必要であり、認可を得ればパスポート制度によりEU・EEA域内で、認可されたサービスの範囲内で営業できる。

MiCA第60条の通知制度
銀行、投資会社、電子マネー機関など、すでに他のEU法で認可を受けている金融機関が、新たなCASP認可を取らずとも、所管当局への通知によって一定の暗号資産サービスを提供できる仕組み。「認可がなければ一切営業できない」わけではない根拠となる。ESMAの登録簿には、こうした通知を行った金融機関の記録も含まれうる。

リバース・ソリシテーション
顧客が完全に自発的な意思で、域外の事業者へ接触してサービスを求める場合を指す(MiCA第61条)。極めて狭く解釈され、事業者側からEU顧客への勧誘や広告が介在する場合は原則として認められない。ESMAは個別の事情を総合的に判断するとしている。

発行者(issuer)/オファラー(offeror)
トークンを発行する主体と、それを公衆に提供する主体。MiCAでは、CASPとは別の義務体系が課される。義務主体はトークンの類型により異なり、ART・EMTでは発行者が中心となる一方、その他の暗号資産ではオファラーや取引プラットフォーム運営者が義務を負う場合もある。

ホワイトペーパー(MiCA上の)
一般的な技術解説文書ではなく、MiCAが内容・届出・公表・更新までを定める法定文書を指す。ART(資産参照型トークン)については所管当局による承認手続が存在する一方、ART・EMT以外のTitle II暗号資産については届出制であり、事前承認を受けない。いずれの場合も、不正確・不公正・不明確・誤解を招く記載や重要情報の欠落により生じた損害については、民事責任の規定が置かれている。提出には機械可読形式(iXBRL)が求められる。

iXBRL
人間が読める文書と、機械が読めるタグ付きデータを一つのファイルに同居させる形式。EUでは有価証券報告関連の開示で先行して使われており、MiCAのホワイトペーパーにも導入された。

LEI(法人識別子)
ISO 17442で標準化された、法的主体を一意に識別する20文字の英数字コード。金融取引の報告実務で広く用いられる。

DTI(デジタル・トークン識別子)
ISO 24165で標準化された、デジタルトークンを一意に識別する9文字の英数字コード。トークンと、それが存在する分散台帳・技術実装を結び付けることで、同名トークンの取り違えやチェーンをまたいだ同定の問題に対処する。

共通監督行動(CSA:Common Supervisory Action)
ESMAが共通の手法を設計し、各国所管当局(NCA)が自国内で同時並行的に実施する監督プロジェクト。ESMA自身が全社に直接立入検査を行う制度ではない。加盟国間で監督水準を揃えることを目的とする。

DORA(デジタル・オペレーショナル・レジリエンス法)
金融機関に対し、システム障害やサイバー攻撃への耐性と復旧能力を求めるEUの規則。MiCA認可を受けたCASPも適用対象に含まれる。今回のCSAで求められるレジリエンス水準は、DORAが銀行等に課すものと整合的だと報じられているが、ESMAの公式発表はDORAとの関係を明示していない。

GENIUS Act
2025年7月18日に米国で成立した、決済用ステーブルコインに関する連邦法(Public Law 119-27)。正式名称は Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act。

MiCA 2.0
MiCAの見直し議論を指す非公式な呼称であり、正式な法令名でもプロジェクト名でもない。複数発行モデル、第三国発行者との同等性、トークン化預金、DeFiなどが論点とされる。

特定暗号資産/情報公表規制(日本)
2026年4月に国会提出された金融商品取引法改正法案で新設される概念(金商法第2条第50項)。発行権限を特定の者だけが持つ暗号資産を「特定暗号資産」と定義し、その発行者に募集・売出し前の情報公表と継続的な情報公表を義務づける。MiCAの法定ホワイトペーパーに相当する制度にあたる。

【参考リンク】

Reed Smith LLP(公式)(外部)
北米・欧州・アジアに30以上の拠点を持つ国際法律事務所。暗号資産部門を「On Chain」として展開する。

Reed Smith|Aquarius ローンチのプレスリリース(外部)
本件の一次情報。自動化機能と弁護士主導機能の切り分け、価格方針、対象法域が明記されている。

ESMA|MiCA特設ページ・登録簿(外部)
CASP登録簿を公開する。経過措置の根拠条文(第143条第3項)や簡易認可手続の解説も掲載。

ESMA|カストディに関する共通監督行動の開始(外部)
2026年7月8日付の公式発表。鍵管理、取引統制、第三者依存などが検査項目として示される。

欧州委員会|MiCA見直しに関するターゲット協議(外部)
公式の意見募集ページ。締切は2026年9月30日23時59分(CEST)。86問の質問票が公開されている。

参議院|金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案(外部)
閣法第57号の議案情報ページ。委員会・本会議の議決状況と施行日が随時更新される。

金融庁|金商法・資金決済法改正法案 説明資料(PDF)(外部)
暗号資産規制の金商法移管に関する公式資料。情報公表規制と罰則の強化が図解されている。

【参考記事】

Reed Smith Legal Solutions launches Aquarius, the market-leading legal services platform for the crypto-asset industry(外部)
Reed Smith 自身によるローンチ発表。自動化される機能として、暗号資産の分類、ホワイトペーパー生成、ESG対応、LEIおよびDTIの生成、デューデリジェンスを列挙する一方、リーガルオピニオン、法律相談、個別助言は弁護士主導(lawyer-led)と明記する。「アフォーダビリティが主要な差別化要因」であるとし、自動化部分については透明で競争力のある価格を提示するとする(具体的な料金は非公表)。追加対応先として英国、UAE、香港、シンガポールを挙げる。Aquarius を主導するパートナーのタリク・ラシード氏は、2026年7月1日のグランドファザリング終了により、対応しない市場参加者は執行措置に直面しうると述べている。

ESMA launches Common Supervisory Action on CASPs’ digital operational resilience for custody(外部)
2026年7月8日付の公式発表。CASPのデジタル・オペレーショナル・レジリエンスの成熟度を、カストディ業務に重点を置いて評価する。対象はガバナンス、鍵と保管の管理、取引統制、インシデント検知・対応、スマートコントラクトのリスク、第三者プロバイダーへの依存。実施主体は各国所管当局(NCA)であり、リスクベースで抽出したCASPに対し2026年後半から2027年前半にかけて行う。最終報告書は2027年後半にESMAのBoard of Supervisorsへ提出される。

Commission extends deadline for responding to its MiCA review consultation(外部)
欧州委員会は2026年5月20日にMiCA見直しの意見募集を開始し、当初の締切を8月31日としていた。しかし6月29日、Finance News Hub上で回答期限を1か月延長し、2026年9月30日とすることを公表した。公式のターゲット協議ページも、締切を9月30日23時59分(CEST)と表示している。

Markets in Crypto-Assets (MiCA) Regulation Tracker(Latham & Watkins)(外部)
今回の意見募集が、二つの異なる報告に反映されることを整理している。第140条に基づくMiCA適用状況の報告は、中間報告が2025年6月30日、最終報告が2027年6月30日を期限とし、立法提案を伴う可能性がある。第142条に基づく報告は、MiCAの適用範囲外にある領域の最新動向を対象とし、期限は2024年12月30日であった。ホワイトペーパーの分類データを機械可読にするための技術基準(委任規則 (EU) 2025/421)や、信用機関が発行するARTのホワイトペーパー承認手続を定める委任規則 (EU) 2025/296 の存在も確認できる。

EU Securities Regulator ESMA Launches Crypto Custody Review(外部)
経過措置終了後のESMA登録簿の動きを数字で追う。登録簿の掲載件数は6月26日版の243件から、7月3日版の280件へ増加。Standard Chartered、FalconX、Sygnum Europe が新たに掲載され、キプロスが6件で最多。Ripple は2026年7月6日にルクセンブルクCSSFからCASP認可を取得し、30か国のEEA全域での営業が可能となった。スペインのCNMVは期限の延長を認めない方針を示している。

ESMA launches first coordinated MiCA custody review of crypto firms’ operational resilience(外部)
今回の共通監督行動を、MiCAの枠組み下で初の協調的な監督行動として報じる。第三者プロバイダーの例として、サブカストディアン、クラウドサービス、専門のブロックチェーン基盤事業者を挙げ、そこから生じるコンセントレーション・リスク(集中リスク)が特に懸念されているとする。適用されるレジリエンスの期待水準は、DORAのもとで銀行や証券決済機関に課されているものと整合的だと指摘している。

Exclusive: EU to revise crypto rules in 2027 amid Trump’s push for digital assets(Euronews)(外部)
複数のEU外交官の証言をもとに、MiCA再開の見通しを伝えた報道。争点はEU域外に所在するステーブルコイン発行者の扱いであるとする。現行のMiCAは、非EUのステーブルコイン発行者を正面から規律していない。ステーブルコインの取引高は2025年に72%増の33兆ドルに達した(Artemis Analytics)。

暗号資産の金商法改正案が参院委可決──野党は「サナエトークン」等懸念で反対(外部)
2026年7月14日、参議院財政金融委員会が金融商品取引法および資金決済法などの改正案を賛成多数で可決したと報じる。残るステップは参議院本会議での採決のみで、通常国会の会期末である7月17日までの成立が見込まれる。改正案にはインサイダー取引規制の導入、IEO等における基本情報の公表義務化、個人投資家保護を目的とした投資上限の設定が盛り込まれている。与野党共同提案による14項目の附帯決議が全会一致で採択された。日本共産党の小池晃議員は、DEXへの規制が及ばないまま金商法移管を進めることへの懸念から反対を表明した。

2026年金商法等改正案に基づく暗号資産に係る規制の見直しの概要と実務への影響(外部)
日本側の制度変更を詳細に解説する。「特定暗号資産」は金商法第2条第50項で定義され、その該当性は法律の原則的定義と、内閣府令に委任された補充的定義によって構成される。改正法が成立した場合、暗号資産に係る規制の見直しは公布の日から1年以内に施行され、2027年中の新制度導入が見込まれる(無登録業者への罰則引き上げなど一部の規定は、公布から20日を経過した日に先行施行される)。金融審議会ワーキング・グループ報告が、現行のホワイトペーパーについて記載内容の不明確さと、記載内容と実際のコードの乖離を指摘していたことにも触れている

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Ami
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