OpenAI、GPT-6.1 Terraを公開|API料金はSolの半額、画面操作と図の読解に強み

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OpenAIの発表の図で、新モデルGPT-6.1 TerraはAgents’ Last Examの推論量mediumで57.6%を出しました。最上位のGPT-6 Astraと同じ点数で、1作業あたりの費用は0.29ドルと4.82ドル。それでもOpenAI自身は、最も難しいコーディングには上位モデルを薦めています。点数の高さより、何を任せるかで選ぶモデルです。


OpenAIは10月26日、「GPT-6.1 Terra」を公開した。GPT-5.6 Terraの後継で、視覚的な推論、コンピューター操作、文章の作成を得意とする。PlusやBusinessなどのChatGPT WorkとCodexに順次提供し、APIでも使える。APIの標準料金は100万トークンあたり入力1ドル、出力5ドルで、GPT-6.1 Solの半額、GPT-5.6 Terraより入力は50%、出力は約58%安い。

Agents’ Last Examでは推論量mediumでGPT-5.6 Terraを15ポイント上回り、費用は約3分の1だった。誤りを誘う社内の問題では、推論量lowの誤り率が53.6%から16.7%に下がった。同社はサイバーセキュリティの能力をCriticalとして扱う。

From: 文献リンクIntroducing GPT-6.1 Terra

【編集部解説】

GPT-6.1 Terraは、OpenAIのモデルの中で最も賢いモデルではありません。発表文そのものが、最も複雑なコーディングにはGPT-6.1 SolとGPT-6 Astraを薦めています。Terraの役どころは、画面を読んで手を動かす仕事を、安く、速く、何度でも回すことです。ここでは、どの仕事をどのモデルに任せるかという視点で、発表のグラフを読んでいきます。

4段のモデルの、上から3段目

9月末のDevDay 2026でGPT-6.1 Solが出て、今回はTerraが新しい世代に移りました。APIの標準料金(100万トークンあたり、短い文脈の場合)を並べると、位置関係がよく分かります。

  • GPT-6 Astra:入力10ドル、出力50ドル
  • GPT-6.1 Sol:入力2ドル、出力10ドル
  • GPT-6.1 Terra:入力1ドル、出力5ドル
  • GPT-6 Luna:入力0.10ドル、出力0.50ドル

前身のGPT-5.6 Terraは入力2ドル、出力12ドルでした。料金表どうしで比べると、入力は50%、出力は約58%下がっています。GPT-6.1 Solとの比較では、入出力とも半額です。文脈長は105万トークンで、入力は文字と画像に対応します。ただし入力が27万2,000トークンを超えると、リクエスト全体に対して、入力とキャッシュの料金が2倍、出力の料金が1.5倍になります。

画面を読んで、手を動かす

Terraが前面に出すのは、文字だけでなく画面や図を読み取り、そのまま操作に移る力です。発表は用途として、技術図面の読解、フォームへの入力、届いた請求書を読んで会計ソフトに入力する作業を挙げています。

専門職の作業を集めたAgents’ Last Examでは、推論量mediumで57.6%。GPT-5.6 Terraの42.6%から15ポイント伸び、1作業あたりの費用は0.84ドルから0.29ドルに下がりました。同じmediumのGPT-6 Astraも57.6%で、こちらは4.82ドルです。同じ点数を、およそ17分の1の費用で出している計算になります。

デスクトップアプリの操作を測るOSWorld 2.1では、mediumで66.7%。GPT-5.6 Terraが最大の設定で出した57.1%を、0.50ドルで上回りました。画像を読む力を測るMMMU-Proは83.7〜85.5%で、同じ推論量のGPT-6 AstraやGPT-6.1 Solとの差は2ポイント以内です。

安さが効くのは、回数が多い仕事

1作業あたりの差が小さく見えても、毎日数千件の請求書や申請書を処理すれば、月の費用は大きく変わります。Terraが狙うのは、この同じ型の作業を大量に繰り返す領域です。発表は、GPT-6 AstraやGPT-6.1 Solより3倍以上速く作業を終えるとしており、待ち時間の短さも回数の多い仕事に効きます。

比較の相手には、AnthropicのClaude Opus 5.5も入っています。Agents’ Last Examの最大設定で、Opus 5.5は63.2%、8.82ドル。Terraは60.0%、1.01ドルでした。点数はOpus 5.5が上で、費用はTerraが約9分の1という位置関係です。最高点を取りにいくモデルと、十分な点数を安く積み重ねるモデルは、役割が違います。

難しい仕事は、上の段へ

グラフを細かく見ると、Terraの得意な範囲も見えてきます。OSWorld 2.1では、どの推論量でもGPT-6.1 SolがTerraを上回り、1作業あたりの費用の差は0.4ドルに満たない程度です。最大設定ではSolが78.0%で1.15ドル、Terraが74.2%で1.19ドルでした。同じ図には、xhighで81.0%のClaude Sonnet 5.5も載っています。Terraが上位モデルと肩を並べたのは、Agents’ Last Examのほうです。

科学研究の作業を測るTerminal-Bench-Science 0.1でも、性格がはっきり出ます。Terraは推論量xhighまで43.4%にとどまり、maxで58.3%に跳ね上がって、GPT-6.1 Solの57.0%を上回りました。費用は1.72ドルから4.15ドルに増えます。推論量の設定ひとつで、Terraは「安い作業員」にも「粘る研究補助」にもなるということです。

コーディングのTerminal-Bench 4.0は最大設定で50.3%。前身の公表値21.5%の2倍超ですが、最も複雑なコーディングには、OpenAIは上位2モデルを薦めています。なお、ここで読んだ値はOpenAIの発表に載った評価値です。Agents’ Last Examは現在v1.1が公開されており、発表の図はv1の値です。版や課題、エージェントを動かす仕組み、採点の条件が違えば点数の意味も変わるため、他社の発表と並べるときは条件を確かめる必要があります。

間違いの少なさは、任せられる範囲を広げる

請求書の金額を読み違えたまま会計ソフトに入力すれば、後で人が直す手間が増えます。画面操作を任せるモデルにとって、事実の誤りの少なさは速さと同じくらい重要です。

誤りを誘う社内の問題で、推論量lowの誤り率は53.6%から16.7%に、最大設定では22.3%から4.3%に下がりました。最大設定の値は、GPT-6.1 Solの4.4%、GPT-6 Astraの4.2%とほぼ並びます。社内の問題集による測定ですが、下位のモデルでも上位と同じ水準まで誤りを減らしたことは、任せる仕事の幅を広げる材料になります。

安いモデルにも、最上位の守り

OpenAIは、自社の準備態勢の評価で、Terraのサイバーセキュリティの能力を「Critical」、生物・化学の領域を「High」として扱っています。これは能力とリスクに応じた対応の区分です。Terraには、GPT-6 AstraやGPT-6.1 Solと同じ保護の仕組みを、Terraに合わせて更新したうえで適用しています。安く大量に使われるモデルだからこそ、上位モデルと同じ守りを載せたと読めます。

画面を操作するモデルには、もう一つ大事な守りがあります。Webページやメールに仕込まれた指示に従ってしまう、プロンプトインジェクションへの耐性です。発表は強い耐性を示したとし、システムカードはGPT-6 AstraやGPT-6.1 Solと同程度としています。届いた書類を読んで手を動かす用途では、ここが導入の判断を左右します。

日本の職場で、どこから任せるか

紙やPDFで届く請求書、取引先ごとに違う申請画面、システム間の転記。事務の現場には、画面を読んで手を動かす仕事が少なくありません。Terraは、こうした仕事の一部をAIに任せるときの利用料を下げる選択肢になります。日本語の帳票や自社の画面でどこまで任せられるかは、人による確認や例外の処理にかかる手間も含めて、試しながら見極めることになるでしょう。

ChatGPTのリリースノートによると、TerraはPlus、Pro、Business、Enterprise、Eduに順次提供されます。Businessでも、ChatGPT WorkとCodexでモデルの一覧から選べるようになります。利用上限は変わりません。

最上位のモデルが「どこまでできるか」を広げる一方で、Terraのようなモデルは「どこまで任せられるか」を広げます。大量の定型作業はTerra、判断の難しい仕事はSolやAstraへ。仕事の性格に合わせてモデルを使い分ける設計が、AIを職場に根づかせる次の段階になりそうです。

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【編集部後記】

ChatGPTのリリースノートには、発表文にない一行がありました。Workの既定の設定で、一部のPlusとProのユーザーには、これまでのGPT-6.1 Sol(Light)の代わりに、GPT-6.1 Terra(Medium)が表示されることがあるそうです。

使い分けを考える前に、モデルのほうが入れ替わっていることもあるわけです。皆さんがいまWorkやCodexに任せている作業は、どのモデルの、どの推論量で動いているでしょうか。一度、設定の画面を開いてみてください。


【用語解説】

推論量(reasoning effort)
モデルが答えを出す前に、どれだけ考えるかを指定する設定。GPT-6.1 TerraはAPIでnone、low、medium(既定)、high、xhigh、maxから選べる。上げるほど点数は伸びやすいが、時間と費用も増える。

コンピューター操作(computer use)
AIが画面を読み取り、クリックや文字の入力でアプリやWebサイトを操作する機能。フォームへの入力や、書類の内容を別のソフトへ転記する作業に使われる。

Agents’ Last Exam
カリフォルニア大学バークレー校のRDIによる研究プロジェクトで、専門職の実務に近い作業をAIエージェントにやらせて成否を判定するベンチマーク。現行版はv1.1で、OpenAIの発表の図はv1の値を使っている。

OSWorld
パソコンのデスクトップアプリを操作して、複数の手順にまたがる作業を終えられるかを測るベンチマーク。OpenAIの発表はOSWorld 2.1のオフラインセットの値を載せている。

MMMU-Pro
図や写真を含む、多くの専門分野の問題に答える力を測るベンチマーク。画像を読み取って推論する力をみる。

Terminal-Bench
AIエージェントが、コマンドラインの操作でソフトウェア開発などの課題を解けるかを測るベンチマーク。科学研究の作業に絞ったTerminal-Bench-Scienceもある。

プロンプトインジェクション
Webページやメール、書類などに仕込んだ指示で、AIを本来の作業からそらす攻撃。画面や書類を読んで動くエージェントでは、とくに重要な脅威になる。

準備態勢の評価(Preparedness Framework)
OpenAIが、サイバーセキュリティや生物・化学などの領域で、モデルの危険な能力を段階で判定する社内の枠組み。判定に応じて、適用する保護を決める。

システムカード
モデルの安全性の評価結果や、適用した保護をまとめてAI企業が公開する文書。GPT-6.1 Terraのシステムカードは2026年10月26日付。

文脈長(コンテキストウィンドウ)
モデルが1回のリクエストで扱える文字量の上限を、トークンの数で表したもの。GPT-6.1 Terraは105万トークン。

キャッシュ入力
以前のリクエストと共通する前半部分を再利用することで、安く計算される入力のトークン。GPT-6.1 Terraでは通常の入力の5%の単価になる。

ChatGPT Work
ChatGPTの、仕事の作業に向けた利用画面。GPT-6.1 Terraは、ChatGPT WorkとCodexで提供される。

【参考リンク】

OpenAI(外部)
ChatGPTやGPTシリーズを開発する米国のAI企業。GPT-6.1 Terraの発表元で、Sol・Astra・Lunaも提供している。

GPT-6.1 Terra モデルページ(OpenAI API)(外部)
API名gpt-6.1-terraの仕様と料金のページ。推論量の選択肢、文脈長、長い入力のときの料金の条件も載っている。

API料金(OpenAI API)(外部)
OpenAIのAPI料金の一覧ページ。Astra、Sol、Terra、Lunaの標準単価や、BatchやFlexの料金を比べられる。

Codex(OpenAI)(外部)
OpenAIのコーディング向けエージェント「Codex」の公式ページ。ChatGPT Workと並ぶGPT-6.1 Terraの提供先。

Agents’ Last Exam(外部)
カリフォルニア大学バークレー校のRDIが運営する、専門職の作業でAIエージェントを評価するベンチマークの公式の順位表ページ。

【参考記事】

GPT-6.1 Terra System Card(OpenAI、2026年10月26日)(外部)
Terraの安全性評価。サイバーをCritical、生物・化学をHighとして扱い、Sol・Astraと同じ保護を更新して適用した。

ChatGPT release notes(OpenAI Help Center、2026年10月26日の項)(外部)
10月26日の項で、GPT-6.1 TerraをPlus、Pro、Business、Enterprise、Eduに順次提供すると案内。

GPT-5.6 Terra Model(OpenAI API)(外部)
前身のGPT-5.6 Terraの仕様と料金のページ。API料金は100万トークンあたり入力2ドル、出力12ドルと示している。

Introducing GPT-6.1 Sol(OpenAI)(外部)
DevDay 2026で公開されたGPT-6.1 Solの発表。API料金は100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルで、提供先も示す。

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山本 達也 代表社員
合同会社デジタルの窓口 代表。ウェブ解析士。生成AI・サイバーセキュリティ・ 宇宙開発領域を中心に執筆。

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