AI検索エンジンのスタートアップPerplexity AI(パープレキシティAI)が、2025年1月18日土曜日、TikTokの米国事業との合併を提案した。
提案の主なポイント
- Perplexity AI、TikTok米国事業、新規資本パートナーを統合した新組織の設立を目指す
- ByteDanceの既存投資家の大半が株式保有を維持可能
- 取引額は500億ドル(約7.4兆円)以上と予想される
背景
- TikTokは2025年1月19日(日)までに米国での事業売却か停止を迫られている
- 米国内のTikTokユーザー数は約1億7000万人
- Perplexity AIの企業価値は2024年初めの約5億ドルから年末には約90億ドルまで成長
今後の展開
- 次期大統領ドナルド・トランプ氏は1月20日の就任後、TikTokに90日間の追加猶予を与える可能性を示唆
- TikTokのショウ・ジー・チュー最高経営責任者は、トランプ氏の就任式に出席予定
- バイデン政権は規制執行を次期政権に委ねる方針を表明
他の買収候補
- イーロン・マスクへの売却も中国政府が検討中
- フランク・マッコート氏とケビン・オリアリー氏による買収コンソーシアムも約200億ドルの現金での買収を提案
from:Perplexity AI makes a bid to merge with TikTok U.S.
【編集部解説】
Perplexity AIによるTikTok米国事業との合併提案は、米国でのTikTok規制をめぐる複雑な状況を反映しています。バイデン政権下で成立した法律により、ByteDanceは2025年1月19日までにTikTok米国事業を売却するか、サービスを停止しなければならない状況に追い込まれていました。
この状況下で登場したPerplexity AIの提案は、単なる買収ではなく「合併」という形を取ることで、ByteDanceの懸念に対応しようとする新しいアプローチです。
テクノロジーの融合
Perplexity AIは、OpenAIやGoogleと競合するAI検索エンジンのスタートアップとして知られています。2024年の1年間で企業価値を5億ドルから90億ドルまで急成長させた注目企業です。
この合併が実現した場合、AIによる検索機能とTikTokの動画コンテンツプラットフォームが融合することになります。これは、次世代のソーシャルメディアプラットフォームの形を示唆する可能性があります。
市場への影響
TikTokの推定価値は500億ドル以上とされており、これは日本円にして約7.4兆円という巨額な規模です。この取引が実現すれば、テクノロジー業界における2025年最大級のM&Aとなる可能性があります。
政治的な要因
トランプ次期大統領は就任後90日間の猶予期間を与える可能性を示唆しており、これによって合併交渉のための時間的余裕が生まれる可能性があります。
今後の展望
この合併提案は、米中テクノロジー摩擦の中で新たな解決策を示す可能性があります。ByteDanceの既存投資家の権益を維持しながら、米国の安全保障上の懸念にも対応する方法として注目されています。
ただし、TikTokのアルゴリズムの扱いについては課題が残されています。新しい組織体制では、アルゴリズムを再構築する必要があるとされており、これがサービスの質にどのような影響を与えるかは不透明です。
リスクと課題
合併後のガバナンス構造や、データプライバシーの保護、コンテンツモデレーションの方針など、解決すべき課題は多く残されています。また、中国政府の承認も必要となる可能性が高く、これが大きな不確定要素となっています。