Perplexity社は2025年1月21日、リアルタイムAI検索API「Sonar」および「Sonar Pro」を発表しました。
基本版「Sonar」と上位版「Sonar Pro」の2つのサービス層を提供し、価格は基本版が1,000回の検索あたり5ドル、75万語あたり入出力各1ドル、Pro版が1,000回の検索あたり5ドル、75万語あたり入力3ドル・出力15ドルとなっています。
SimpleQAベンチマークでSonar Proは85.8のFスコアを達成し、すでにZoomのAI Companion 2.0に採用され、ビデオ会議中のリアルタイム検索を実現しています。
from:Perplexity launches Sonar API, taking aim at Google and OpenAI with real-time AI search
【編集部解説】
Perplexityが発表したSonar APIは、AIによる検索機能を企業のサービスに組み込むための画期的なソリューションとなっています。この発表の意義について、innovaTopiaの視点から解説させていただきます。
まず注目すべきは、Sonarの実装がすでにZoomのAI Companion 2.0に組み込まれている点です。これにより、ビデオ会議中にリアルタイムで情報検索が可能となり、会議の生産性が大幅に向上することが期待されます。
Sonarの特筆すべき技術的特徴は、リアルタイムでウェブに接続して最新情報を取得できる点です。これは、トレーニングデータのみに依存する従来のAIモデルとは一線を画しています。この機能により、企業は常に最新の情報に基づいた意思決定が可能となります。
価格設定も非常に戦略的です。基本版のSonarは1,000回の検索あたり5ドル、75万語あたり1ドルという手頃な価格設定となっています。これにより、スタートアップから大企業まで、幅広い企業がAI検索機能を導入できるようになりました。
特筆すべきは、SimpleQAベンチマークでのパフォーマンスです。Sonar Proは0.858のFスコアを達成し、Google、OpenAI、Anthropicの主要モデルを上回る結果を示しています。これは、企業向けAI検索市場における重要な転換点となる可能性があります。
しかし、この技術には潜在的な課題もあります。リアルタイム検索は、決定論的な出力を必要とするアプリケーションでは予測不可能性をもたらす可能性があります。また、著作権の問題も考慮する必要があります。実際に、Wall Street JournalとNew York Postから著作権侵害で提訴されている事例もあります。
長期的な視点では、このような技術の進化により、企業の情報アクセスと意思決定プロセスが大きく変わる可能性があります。特に、医療分野ではDoximityが既にSonarを導入し、医師の臨床判断をサポートしています。
また、Perplexityの成長戦略も注目に値します。2024年12月にはデータ接続スタートアップのCarbonを買収し、Time誌やFortune誌とのレベニューシェアリング契約も締結しています。これは、AIと既存メディアの新しい共生関係を示唆しています。
企業価値評価額が90億ドルに達したことも、この技術への市場の期待の高さを示しています。しかし、GoogleやOpenAIなどの大手企業との競争は今後さらに激化することが予想されます。
今後は、特に日本市場でのSonarの展開が注目されます。日本企業特有の要件や、データプライバシーに関する規制への対応が、普及の鍵となるでしょう。