AI検索エンジンのPerplexity AI社が、TikTokの米国事業との合併に関する修正提案をByteDanceに提出した。この提案の主なポイントは以下の通り。
提案の概要
- 提出日:2025年1月26日(日)
- 提案企業:Perplexity AI(サンフランシスコ)
- 対象企業:ByteDance社(TikTok親会社、中国)
新会社(NewCo)の構造
- TikTok米国事業とPerplexity AIを統合
- 推薦アルゴリズムを除いたTikTok米国事業を提供
- IPO時の企業価値:最低3,000億ドル
- 想定取引額:500億ドル以上
株式保有
- 米国政府:IPO後に最大50%の株式取得が可能
- ByteDance既存投資家:持分の大部分を維持可能
- 政府保有株式:議決権なし、取締役会席なし
Perplexity AIの企業価値
- 2024年初:約5億ドル
- 2024年末:約90億ドル
関連する動き
- トランプ大統領:30日以内に決定を表明
- 他の買収候補:Microsoft、Oracle、イーロン・マスク
- TikTok CEO ショウ・ジー・チュウ:トランプ大統領との協力に謝意を表明
from:Perplexity AI revises Tiktok merger proposal that could give the U.S. government a 50% stake
【編集部解説】
今回のPerplexity AIによるTikTok米国事業との合併提案は、AIと社会メディアの融合という新しい局面を示す重要な動きとなっています。
Perplexity AIは2022年に設立された比較的新しい企業ですが、検索エンジンとAIチャットボットを組み合わせた革新的なプラットフォームで急成長を遂げました。Amazon創業者のJeff Bezos氏やNVIDIAなど、著名な投資家からの支援を受けており、AI検索市場での存在感を高めています。
合併提案の意義
この合併提案は、単なるビジネス統合以上の意味を持っています。ByteDanceが保有するTikTokの推薦アルゴリズムを除外する形で統合することで、データプライバシーと国家安全保障の懸念に対応しようとしています。
また、米国政府が最大50%の株式を取得できる仕組みを組み込むことで、政治的な課題もクリアしようとする巧妙な提案となっています。
市場への影響
この合併が実現した場合、検索エンジン市場に大きな変化をもたらす可能性があります。Googleが支配的な地位を築いている検索市場に、動画コンテンツと最新のAI技術を組み合わせた新しいプレイヤーが誕生することになります。
特に若年層のユーザーが多いTikTokのプラットフォームと、高度なAI検索技術の組み合わせは、情報検索の新しいパラダイムを生み出す可能性があります。
今後の展望と課題
しかし、この提案には複数の課題も存在します。Wedbushのアナリストが指摘するように、TikTokの評価額が400億ドル以上とされる中で、実現可能性には疑問符が付きます。
また、Microsoft、Oracle、さらにはElon Musk氏も関心を示しているとされ、今後30日以内に予定されているトランプ大統領の決定によって、状況が大きく変わる可能性もあります。
テクノロジー業界への示唆
この提案は、AI技術と社会メディアの統合という新しいビジネスモデルの可能性を示唆しています。特に、OpenAIが最近66億ドルを調達し評価額が1570億ドルに達したことを考えると、AI技術を核とした企業の成長potential(潜在性)の高さが際立っています。