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Canva Visual Suite 2.0発表:AIスプレッドシートとコーディング機能を追加

Canva Visual Suite 2.0発表:AIスプレッドシートとコーディング機能を追加、オールインワンプラットフォームへ進化 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-11 10:19 by admin

2025年4月11日、オーストラリアの企業Canvaが、新しいビジュアルスイート「Visual Suite 2.0」を発表した。この新バージョンは、AIを活用したスプレッドシート機能やコーディング支援ツールを含む、大規模なアップデートとなっている。

主な新機能は以下の通りである

  • Canva Sheets
    AIを活用したスプレッドシート機能。データの視覚化や分析を容易にする「Magic Insights」や「Magic Charts」機能を搭載している。
  • Canva Code
    AIによるコーディング支援ツール。テキストプロンプトからウィジェットやウェブサイトなどのインタラクティブなコンテンツを生成できる。
  • 新しいAIチャットボット
    写真編集、デザインのリサイズ、テキスト生成などを音声やテキストプロンプトで操作できる「会話型クリエイティブパートナー」。
  • 改良されたPhoto Editor
    背景オブジェクトの自動修正・削除、照明やレイアウトを考慮したAI生成の背景作成機能を追加。

Canvaは現在、月間アクティブユーザー数が2億3000万人に達している。年間収益は30億ドル以上で、T-Mobile、Salesforce、FedEx、DocuSignなどの大手企業も顧客として獲得している。

Visual Suite 2.0は、Microsoft Office、Google Workspace、Adobe Creative Cloudなどの競合製品に対抗する総合的なソリューションとして位置付けられている。Canvaは、この新しいツールセットによって、より多くのオフィスチームや企業ユーザーの獲得を目指している。

from:Canva is now in the coding and spreadsheet business

【編集部解説】

Canvaが発表した「Visual Suite 2.0」は、同社の創業以来最大のプロダクトアップデートとして注目を集めています。この大規模なアップデートは、単なるデザインツールの枠を超え、Microsoft、Google、Adobeといった大手テック企業が提供する多様なサービスの機能を一つのプラットフォームに統合する野心的な取り組みと言えるでしょう。

まず特筆すべきは、Canvaがデザインツールとしての強みを保ちながら、生産性向上ツールとしての機能を大幅に拡充している点です。2022年に導入されたCanva DocsやCanva Whiteboardsに続き、今回はスプレッドシートやコーディング機能まで追加されました。これにより、ユーザーはデザイン作業から文書作成、データ分析まで、異なるアプリケーションを行き来することなく一つのインターフェース内で完結できるようになります。

特に注目したいのは、AIの活用方法です。Canva AIは単なるチャットボットではなく、音声コマンドにも対応した「会話型クリエイティブパートナー」として位置づけられています。テキスト生成やスライド作成、画像編集など、デザインワークフローのあらゆる場面でAIのサポートを受けられる点が画期的です。

Canva Sheetsは従来のスプレッドシートの概念を一新する試みとして興味深いものがあります。数字だけでなく視覚的要素を組み合わせ、Magic Insightsによるデータパターンの自動分析、Magic Chartsによるインフォグラフィックやアニメーションビジュアライゼーションへの変換など、データを「見える化」する機能が充実しています。HubSpot、Statista、Google Analyticsなど外部サービスとの連携も強化されており、マーケティングチームにとって特に有用でしょう。

Canva Codeは、コーディングの知識がなくても自然言語のプロンプトだけでインタラクティブなコンテンツを作成できる機能です。ウェブサイトのランディングページや計算機アプリ、インタラクティブな旅行マップ、教育用クイズなど、これまでプログラマーの領域だった制作物を、デザイナーや一般ユーザーでも簡単に作れるようになります。Anthropicとの協業によって実現したこの機能は、プログラミングの民主化に大きく貢献する可能性があります。

Photo Editorの強化も見逃せません。AIを活用した背景オブジェクトの修正・削除機能や、照明やレイアウトを考慮したAI生成背景の作成機能は、Adobeのようなプロフェッショナル向けソフトウェアに迫る機能と言えるでしょう。

ビジネス面では、Canvaの成長が続いていることも注目に値します。過去12ヶ月で5,000万人のアクティブユーザーを獲得し、現在の月間アクティブユーザー数は2億3,000万人に達しています。年間収益も30%増の30億ドル以上となり、T-Mobile、Salesforce、FedEx、DocuSignなどの大手企業も顧客として獲得しています。

一方で、AIツールの導入に関しては、アーティストからの反発も少なくありません。生成AIモデルのトレーニングに使用されるデータセットに対する懸念や、クリエイティブ業界への影響を心配する声もあります。この点についてCanvaは、ユーザーのプライバシーを重視する姿勢を示しており、プライベートコンテンツはデフォルトでAIトレーニングから除外される設定となっています。また、Canva Shieldという信頼性・安全性・プライバシーツールも提供し、不適切なコンテンツの生成を防ぐ取り組みも行っています。

Visual Suite 2.0の導入により、これまで複数のツールを使い分けていた作業が一つのプラットフォームで完結できるようになります。特に中小企業やスタートアップにとっては、複数のサブスクリプションを維持するコストを削減できる可能性があります。また、デザイナーとマーケターの協業がよりスムーズになることで、コンテンツ制作のスピードアップも期待できるでしょう。

今回のアップデートは、Canvaが単なるデザインツールから、総合的なビジュアルコミュニケーションプラットフォームへと進化する重要な一歩と言えます。Microsoft 365やGoogle Workspace、Adobe Creative Cloudといった既存の強力なプレイヤーに対抗できるかどうかは未知数ですが、ユーザーフレンドリーなインターフェースとAI機能の充実により、独自のポジションを確立していく可能性は十分にあるでしょう。

テクノロジーの進化とともに、専門知識の壁が低くなっていくトレンドは今後も続くと予想されます。Canvaのような「誰でも使える」ツールの普及は、クリエイティブ産業の民主化を促進する一方で、プロフェッショナルの役割や価値の再定義も迫ることになるかもしれません。

【用語解説】

Visual Suite 2.0:
Canvaが提供する統合デザイン・生産性プラットフォームの最新バージョン。Microsoft Office、Google Workspace、Adobe Creative Cloudの機能を一つのインターフェースに統合することを目指している。

生成AI(ジェネレーティブAI):
テキストプロンプトから新しいコンテンツ(画像、テキスト、コードなど)を自動的に作成できる人工知能技術。Canvaでは「マジック生成」として実装されている。

Magic Insights:
Canva Sheetsに搭載されたAI機能で、スプレッドシートのデータを自動的に分析し、重要なパターンや洞察を抽出する機能。

Magic Charts:
データを様々な種類のインタラクティブなグラフやアニメーションビジュアライゼーションに変換するCanvaの機能。

Canva Code:
テキストプロンプトからウィジェットやウェブサイトなどのインタラクティブコンテンツを生成できるAIコーディングアシスタント。

Anthropic:
Canva Codeの開発パートナーとなっているAI企業。高度な言語モデルを開発しており、Canvaのコーディング支援機能の基盤技術を提供している。

【参考リンク】

Canva公式サイト(外部)
Canvaの公式サイト。無料で利用できるデザインプラットフォームで、テンプレートやAI機能を提供している。

Canva Create 2025(外部)
Canvaが主催する年に一度の大規模イベントで、Canvaの最新製品発表や新機能の紹介が行われます。

Anthropic(外部)
Canva Codeの開発パートナー企業。AIの安全性と有用性に焦点を当てた研究開発を行っている。

【参考動画】

【編集部後記】

Canvaの進化は、デザインツールの枠を超え、ビジネスワークフローの変革を予感させます。皆さんは普段、何種類のアプリを行き来しながら作業していますか?デザイン、文書作成、データ分析を一つのプラットフォームで完結できる未来は、私たちの働き方をどう変えるでしょうか。AIとの共創によって生まれる新しい可能性に、ぜひ触れてみてください。すでにCanvaを使っている方も、まだ試していない方も、Visual Suite 2.0の新機能で何を作ってみたいですか?

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TaTsu
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