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OpenAI、ChatGPTにエージェント「Codex」を追加 – AIが自律的にコード作成・修正を実行

OpenAI、ChatGPTにエージェント「Codex」を追加 - AIが自律的にコード作成・修正を実行 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-17 17:57 by admin

2025年5月16日、OpenAIは同社の最新AIコーディングエージェント「Codex」をChatGPTに導入すると発表した。Codexは「codex-1」という新しいAIモデルを搭載しており、これはOpenAIの推論モデル「o3」をソフトウェア開発タスク向けに最適化したバージョンである。

Codexはコードの理解、変更、デバッグを支援する機能を持ち、複数のソフトウェア開発タスクを同時に処理できる。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、このツールがまだ初期段階ながらも既に有用であると述べている。

Codexはクラウド上のサンドボックス化された仮想マシン内で動作し、GitHubと連携してユーザーのコードリポジトリを事前に読み込むことができる。タスクの複雑さに応じて、処理には1分から30分程度かかるとされている。

この新機能は、ChatGPT Pro(月額200ドル)、Enterprise、Teamプランの有料ユーザーに対して提供される。当初は「寛大なアクセス」が提供されるが、数週間以内に利用制限が導入される予定で、追加クレジットを購入するオプションも用意される。ChatGPT PlusとEduユーザーへのアクセスも近日中に提供予定である。

OpenAIの技術チームは既にCodexを日常的なツールキットとして使用しており、主にリファクタリング、名前変更、テスト作成など、集中力を妨げる可能性のある反復的で範囲の明確なタスクに活用している。

Codexの導入は、GoogleのProject AstraやMicrosoftのAIエージェント、GitHub Copilotなど、コーディング支援AIツール市場での競争が激化する中で行われた。また、OpenAIはWindsurfという別のAI強化プログラミングツールを約30億ドルで買収する交渉を進めていると報じられている。

References:
文献リンクChatGPT is getting an AI coding agent

【編集部解説】

OpenAIが発表したCodexは、AIコーディングエージェントの新時代を告げる重要な一歩と言えるでしょう。これまでのAIコーディング支援ツールは主に補完や提案に留まっていましたが、Codexはより自律的にタスクを実行できる「エージェント」として機能します。

Codexの特筆すべき点は、単なるコード生成だけでなく、バグ修正やテスト実行、コードベースに関する質問への回答など、ソフトウェア開発の複数の側面をカバーしていることです。これにより開発者は、反復的で時間のかかるタスクからより創造的な問題解決に集中できるようになります。

技術的には、OpenAIの推論モデル「o3」をソフトウェア開発向けに最適化した「codex-1」を基盤としています。この専用モデルにより、より「クリーン」なコードを生成し、指示に正確に従い、テストに合格するまで反復的に実行する能力を持っています。コーディング評価と内部ベンチマークでは、o3-highなどの他のモデルを上回る性能を示しています。

セキュリティ面では、Codexはサンドボックス化された仮想環境で動作し、インターネットへのアクセスが制限されています。これにより、悪意のあるコード実行のリスクを軽減しつつ、開発者が安心して利用できる環境を提供しています。

また、悪意のあるソフトウェア開発の要求を識別して拒否するよう訓練されているという点も重要です。AIの悪用に対する懸念が高まる中、OpenAIはこうした安全対策を積極的に取り入れています。

しかし、Codexにも限界があることを認識しておく必要があります。複雑な問題に対しては完璧な解決策を提供できない場合があり、生成されたコードは必ず人間によるレビューが必要です。また、AIコーディングエージェントの精度については、Microsoft社の研究でも主要なコーディングモデルがデバッグに苦戦することが示されています。

業界的な文脈では、GoogleのProject AstraやMicrosoftのAIエージェント、GitHub Copilotなど、コーディング支援AIツール市場での競争が激化しています。特にGitHub Copilotは、開発者のコーディング速度を最大55%向上させるという実績を持っています。

また、OpenAIがWindsurfという別のAI強化プログラミングツールを約30億ドルで買収する交渉を進めているというニュースも注目に値します。これはOpenAIにとって最大の買収となる可能性があり、同社がAIコーディング市場での地位を強化する戦略の一環と見られています。

Codexの導入は、ソフトウェア開発の未来に大きな影響を与える可能性があります。開発者の生産性向上だけでなく、プログラミングの敷居を下げ、より多くの人々がソフトウェア開発に参加できるようになるかもしれません。

一方で、AIによるコード生成の普及は、ソフトウェアエンジニアの役割の変化をもたらす可能性もあります。単純なコーディングタスクはAIに任せ、人間はより高度な設計や創造的な問題解決に集中するという構図が強まるでしょう。

料金面では、当初は「寛大なアクセス」が提供されますが、数週間以内に利用制限が導入され、追加クレジットを購入するオプションも用意される予定です。これはOpenAIの収益モデルとしても重要な位置づけとなりそうです。

今後の展望としては、OpenAIはCodexの機能をさらに拡張し、より多くの開発ツールとの統合を計画しています。タスク実行中に指示を提供できる機能など、より柔軟な対話が可能になる見込みです。

テクノロジーの進化とともに、AIと人間の協働の形も変化していきます。Codexのような高度なAIコーディングエージェントは、人間の創造性とAIの効率性を組み合わせた新しい開発パラダイムの先駆けとなるかもしれません。

【用語解説】

AIエージェント:
単なるAIモデルとは異なり、自律的にタスクを実行できる知的なシステム。人間の指示を受けて、複数のステップや判断を自動的に行う。

codex-1:
OpenAIの推論モデル「o3」をソフトウェア開発に特化させたAIモデル。通常のAIが単に質問に答えるのに対し、codex-1はコードを理解し、修正し、テストが通るまで改善し続けることができる。

RLHF(強化学習):
人間のフィードバックを基にAIの出力を改善する学習方法。人間が「良い」と評価した出力をAIが学習することで、より人間の期待に沿った結果を出せるようになる。

サンドボックス環境:
外部システムから隔離された安全な実行環境。危険なコードが実行されても、他のシステムに影響を与えない保護された空間。

プルリクエスト(PR):
ソフトウェア開発で、コードの変更を本体に取り込む前に確認・レビューするための仕組み。

AGENTS.MDファイル:
開発者がCodexの動作をカスタマイズするために使用できるテキストファイル。開発環境の設定や特定のコーディングスタイルの指定などが可能。

【参考リンク】

OpenAI外部)
AIの研究・開発を行う企業。ChatGPT、DALL-E、Whisperなどの先進的AIモデルを開発している。

GitHub Copilot(外部)
OpenAIの技術を活用したコード補完ツール。開発者の入力から次のコードを予測・提案する。

Windsurf(外部)OpenAIが約30億ドルで買収交渉中のAI強化プログラミングツール開発企業。

【参考動画】

OpenAIのCodexの機能と使い方を解説した公式動画。

OpenAIのCodex CLIとAnthropicのClaude Codeの違いを解説した動画。

【編集部後記】

AIコーディングエージェントの進化は、プログラミングの世界をどう変えていくのでしょうか?開発者の皆さんは、こうしたツールをどのように活用していますか?単純作業の自動化によって生まれた時間で、より創造的な課題に取り組む機会が増えているという声も聞かれます。一方で、AIに任せすぎることへの懸念も。皆さんの開発現場では、人間とAIの役割分担をどのようにバランスさせていますか?ぜひSNSで体験や意見をシェアしていただければ幸いです。次回の記事では皆さんのフィードバックも参考にしながら、さらに掘り下げていきたいと思います。

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TaTsu
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