JR東海、生成AI活用の旅客案内サービス実証実験を開始
東海旅客鉄道株式会社(JR東海)とジェイアール東海情報システム株式会社は、2024年10月11日から2025年1月中旬まで、名古屋駅で生成AIを活用した旅客案内サービス「JR東海AIナビ」の実証実験を実施する。このサービスは、コミュニケーションアプリ「LINE」を利用し、大規模言語モデルを活用して利用者の意図をくみ取り、名古屋駅周辺のグルメや観光、土産の情報、駅施設の案内などを提案する。
実験の目的は、生成AIを活用した旅先案内の実用性を検証することである。このサービスにより、旅行者の体験価値向上を目指している。
from:生成AI活用で旅客案内サービス JR東海・ジェイアール東海情報システム、名古屋駅で実証実験
【編集部解説】
JR東海とジェイアール東海情報システムが名古屋駅で実施する生成AI活用の旅客案内サービスについて、詳しく解説していきます。
まず、この実証実験の背景には、急速に進化する生成AI技術を実用的なサービスに活用しようという鉄道業界の取り組みがあります。特に、大規模言語モデルを使用することで、従来の単純な質問応答システムを超えた、より自然な対話型のサービスを目指しています。
このサービスの特徴は、LINEというコミュニケーションアプリを利用している点です。これにより、利用者は普段使い慣れたインターフェースを通じて、スムーズに情報を得ることができます。また、AIが利用者の意図を理解し、適切な情報を提供することで、より個人化されたサービスが期待できます。
実証実験の対象となる名古屋駅は、JR東海の主要ターミナルの一つです。この駅を選んだ理由として、多様な利用者層と豊富な周辺情報が挙げられます。グルメ、観光、土産情報など、幅広いニーズに対応することで、AIの実用性を多角的に検証できるでしょう。
このサービスが実用化されれば、旅行者の利便性が大きく向上する可能性があります。例えば、リアルタイムの混雑情報や、個人の嗜好に合わせたレストラン推薦など、よりパーソナライズされた旅行体験を提供できるかもしれません。
一方で、AIの活用には潜在的なリスクも存在します。個人情報の取り扱いや、AIの判断の正確性、さらには人間の駅員との役割分担など、慎重に検討すべき課題もあります。
長期的な視点では、このような取り組みが鉄道業界全体のデジタル化を加速させる可能性があります。また、観光産業との連携によって、地域経済の活性化にも貢献するかもしれません。
最後に、この実証実験は2025年1月中旬まで行われる予定です。その結果次第では、他の駅や他の鉄道会社への展開も考えられるでしょう。innovaTopiaでは、この実験の進捗と結果に注目していきたいと思います。
【編集者のつぶやき】
気になったので、公式ラインにお友達登録してみました。

残念なのが、ラインの未認証アカウントなので画面上部に警告が出ていること。
まぁ実証実験中とのことなので、解決されていくのだろう。
【おすすめの飲食店を教えて!】ボタンを押してみると・・・


CHATGPTのようなやり取りを期待していたら、ちょっぴり肩透かしにあった気分💦
とはいえ、使い慣れたLINEでのUIも使いやすいので、各都市でこれがあれば、初めての土地だと助かるかもしれないなと思った。
【JRの他のグループや他社の動向】
JR東海以外の鉄道事業者でも、AIを活用したサービス向上や業務効率化の取り組みが進められています。いくつかの事例を紹介します。
1. JR東日本:
JR東日本は「鉄道版生成AI」の開発に着手しています。この生成AIは鉄道固有の知識を学習し、2027年度末の完成を目標に段階的に開発を進めています。社員の日常業務をサポートし、問い合わせ対応や社員の知識レベルの底上げ、メンテナンス・工事における注意点の例示などに活用する予定です。
2. JR西日本:
JR西日本は、コンタクトセンターでの通話内容を要約する用途で生成AIを導入しています。2023年5月から8月の検証では、要約作業を含めた後処理時間を18%~54%削減しました。これにより、オペレーターの負荷軽減やVOC(顧客の声)分析の効率化を実現しています。
また、JR西日本は「Copilot for 駅員」という生成AIアシスタントの開発も進めています。これは多くの営業規則や商品の中から必要とする情報を即時に取得するシステムで、お客様対応の効率化とサービス品質向上を目指しています。
3. 名古屋鉄道:
名古屋鉄道では、Google Chatを活用した生成AIチャットボットを導入しています。このチャットボットは、グループ全体の生産性向上と人材不足解消を目的としており、2024年4月1日からGoogle Workspaceを利用する全ユーザー向けにリリースされました。
4. JR東海、JR西日本、近鉄の共同実証実験:
これら3社は、2024年8月6日から京都駅において「ユーザデバイス操作型(QRコード読取式)AI案内システム」の共同実証実験を開始しました。このシステムでは、ポスターや筐体に表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、様々な言語で質問を入力すると、AI案内システムによる案内を受けることができます。
これらの事例から、多くの鉄道事業者がAIを活用して業務効率化や顧客サービスの向上に取り組んでいることがわかります。特に生成AIの活用が進んでおり、各社が独自の方法でAI技術を導入し、サービス向上や業務効率化を図っています。