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Huione Group・Huione Pay:米財務省がカンボジア発マネロン拠点を金融システムから遮断へ ― サイバー犯罪・北朝鮮支援の実態

Huione Group・Huione Pay:米財務省がカンボジア発マネロン拠点を金融システムから遮断へ ― サイバー犯罪・北朝鮮支援の実態 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-02 13:57 by admin

カンボジアの金融コングロマリット「Huione Group」(本社:プノンペン)は、米国財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)により、2025年5月1日付で「主要なマネーロンダリング懸念金融機関」に指定された。FinCENはUSA PATRIOT法セクション311に基づき、米国の金融機関に対しHuione Groupおよび関連企業との取引を禁止する規則案を発表した。

Huione Groupは決済サービス「Huione Pay」や仮想通貨サービス「Huione Crypto」、Telegramを基盤とした「Haowang Guarantee(旧Huione Guarantee)」などを運営し、サイバー犯罪収益のマネーロンダリング拠点となっている。北朝鮮のハッカー集団「Lazarus Group」や東南アジアの国際犯罪組織による「豚屠殺」詐欺などに関与し、2021年8月から2025年1月までに少なくとも40億ドル(約6,200億円)の不正資金を洗浄した。Ellipticなどの調査では、関連する仮想通貨取引総額は240億ドルから最大490億ドルに上る。

2024年にはHuione PayがLazarus Group関連ウォレットから15万ドル以上の仮想通貨を受け取った事例も確認されている。米国の措置により、Huione Groupは国際金融ネットワークから実質的に遮断される見通しだ。

from:U.S. Government Begins to Sever Cambodia’s Huione Group from Financial System

【編集部解説】

今回の米国財務省FinCENによる制裁は、仮想通貨を悪用した国際的なサイバー犯罪ネットワークに対する強力な対応策です。Huione Groupは、表向きは金融サービス企業ですが、実態はサイバー犯罪者や詐欺グループのインフラとして機能してきました。

特に注目すべきは、北朝鮮のLazarus Groupとの資金洗浄ネットワークや、東南アジアで急増する「豚屠殺」詐欺など、国際的な犯罪組織との深い関与です。EllipticやChainalysisの調査では、Huione Group関連の仮想通貨取引総額は最大490億ドルにも上り、世界最大級の違法オンラインマーケットプレイスとされています。

また、Telegramを基盤とした「Haowang Guarantee」では、詐欺ツールやマネーロンダリングサービス、さらには人身売買被害者の管理ツールまで販売されていたことが明らかになっています。これは、東南アジアにおけるサイバー犯罪の闇の深さを象徴しています。

カンボジアの政治的権力者との関係も指摘されており、規制の網をかいくぐるための動きも活発です。米国の今回の措置は、仮想通貨を利用した犯罪ネットワークに対する国際的な規制強化の象徴的な出来事といえるでしょう。

今後は、日本を含むアジア各国の金融機関や仮想通貨取引所も、こうした犯罪ネットワークとの間接的な関与がないか、より厳格な確認と対策が求められます。ブロックチェーン技術の透明性が犯罪資金の追跡に役立つ一方で、規制の緩い地域を拠点とした犯罪組織の脅威は依然として大きいことを改めて認識する必要があります。

【用語解説】

Huione Group
カンボジアを拠点とする複合金融企業。決済、仮想通貨、P2Pマーケットプレイスなどを運営し、違法なマネーロンダリング拠点として指摘されている。

Haowang Guarantee(旧Huione Guarantee)
Telegramを基盤としたP2P型オンラインマーケットプレイス。詐欺やマネーロンダリング、個人情報売買など違法取引が横行している。

Huione Pay
Huione Groupが運営する決済サービス。カンボジア中央銀行から銀行ライセンスを剥奪された。

FinCEN
米国財務省金融犯罪取締ネットワーク。金融システムの違法利用防止を担う米国政府機関。

Lazarus Group
北朝鮮政府と関係が深いとされるハッカー集団。世界中の金融機関や仮想通貨取引所を標的にしている。

Pig Butchering Scam(豚屠殺詐欺)
SNSやマッチングアプリで恋愛関係を装い、被害者に仮想通貨投資を持ちかけて資金を騙し取る詐欺手法。

ステーブルコイン
法定通貨に価値が連動する仮想通貨。Huioneは独自のUSDHを発行している。

【参考リンク】

Huione Group公式サイト(外部)
Huione Groupの決済・DEX・ウォレットなどのサービス概要を紹介している公式サイト。

Huione Docs(外部)
Huione Chainの技術概要やエコシステム、パートナー情報を掲載している公式ドキュメント。

FinCEN(米財務省)(外部)
米国財務省金融犯罪取締ネットワークの公式サイト。金融犯罪対策や規制情報を提供。

【編集部後記】

今回のニュースをきっかけに、デジタル通貨やグローバルな金融ネットワークが私たちの社会にどんな影響をもたらすのか、一緒に考えてみませんか?
仮想通貨やサイバー犯罪、国際的な規制の動きについて感じたことや疑問があれば、ぜひSNSでシェアしてください。
みなさんの視点や体験が、未来のテクノロジーと社会のあり方を考えるヒントになるかもしれません。

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TaTsu
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