Last Updated on 2024-05-25 10:20 by admin
Mayo ClinicとZiplineは、ドローンを使用して患者の自宅に物資を配達するパートナーシップを結んだ。このサービスは、ミネソタ州とフロリダ州にあるMayo Clinicの在宅医療プログラムの患者を対象としている。
Ziplineの都市型ドローン配送システム「Platform 2」は、8ポンドの荷物を搭載し、10マイルを10分以内で移動できる自律型電動ドローンである。このシステムは、固定翼飛行とホバリングプロペラを組み合わせ、330フィートから小さなドロイドが荷物を玄関先などの狭いスペースに降ろす。
Mayo ClinicのAdvanced Care at Homeプログラムを通じて、患者はビデオ訪問用のコンピュータ、個人用緊急対応ブレスレット、ケアチームに直接接続する電話、インターネットアクセス用のルーター、バックアップ電源、および生命徴候モニタリングデバイスを受け取る。このパートナーシップにより、患者はZiplineのドローンサービスを使用して、病院から直接自宅に薬や物資を配達してもらえるようになる。
Ziplineは、医療用品と薬の配達を提供するために、Memorial Hermann Health System、Intermountain Health、Michigan Medicine、MultiCare Health System、OhioHealth、WellSpan Health、Cleveland Clinicなど、多数のパートナーシップを結んでいる。
Amazon Pharmacyも、テキサス州カレッジステーションの対象顧客に対して、60分以内に処方薬を無料でドローン配達するサービスを昨年開始した。Federal Aviation Administration (FAA)は、運用者の視界外でドローンを飛ばすことを主に要求する規制に直面しているが、昨年、Ziplineはソルトレイクシティで視覚オブザーバーなしで商業パッケージをドローンで配達するためのFAAの認可を受けた。
FAAは、Unmanned Aircraft Systems Beyond Visual Line-of-Sight Operations Aviation Rulemaking Committee (UAS BVLOS ARC)を設立し、2022年には無人航空機が「薬局の砂漠」が存在する地方コミュニティの住民が処方薬などの重要なアイテムを受け取ることを可能にする方法についての報告書を発表した。
【編集者追記】用語解説
- ドローン配送: 無人航空機(ドローン)を使った物資の配送サービス。人手を介さず自動で配送できる。
- Mayo Clinic: 1864年創立の総合病院で、がん、心臓病、移植医療などの先進治療が評価されている。世界トップレベルの医療機関の一つ。
- Zipline: 2014年設立の医療物資配送専門のドローン企業。アフリカでも活動し、ドローン配送の先駆者。
- Advanced Care at Home: Mayo Clinicの在宅医療プログラム。患者の自宅で高度な医療サービスを提供する。
【参考リンク】
Mayo Clinicオフィシャルサイト(外部)
Ziplineオフィシャルサイト(外部)
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【ニュース解説】
Mayo ClinicとZiplineが提携し、ドローンを使用して患者の自宅に医療用品を配達するサービスを開始したことは、医療分野における革新的な取り組みの一例です。このサービスは、ミネソタ州とフロリダ州にあるMayo Clinicの在宅医療プログラムの患者を対象にしており、Ziplineの最新型ドローン配送システム「Platform 2」を利用しています。このドローンは、8ポンド(約3.6キログラム)の荷物を搭載し、10マイル(約16キロメートル)を10分以内で移動できる能力を持っています。
この取り組みの背景には、在宅医療の需要の高まりがあります。Mayo ClinicのAdvanced Care at Homeプログラムでは、患者は自宅でビデオ訪問、緊急時対応、生命徴候モニタリングなどのサービスを受けられます。ドローン配送サービスを導入することで、患者はさらに迅速に薬や必要な物資を受け取ることができるようになります。
この技術の導入は、特に交通の便が悪い地域や、いわゆる「薬局の砂漠」と呼ばれる地域に住む人々にとって、医療アクセスの改善につながる可能性があります。また、緊急時に迅速に医療用品を届けることができるため、患者の健康状態の悪化を防ぐことにも寄与するでしょう。
しかし、このようなドローン配送サービスの普及には、いくつかの課題も存在します。例えば、Federal Aviation Administration (FAA)のような規制機関による厳しい規制が挙げられます。ドローンが運用者の視界外で飛行するためには、安全性を確保するための追加的な認可が必要となります。また、プライバシーやセキュリティの懸念もあり、これらの問題を解決するための技術的、法的な取り組みが求められます。
長期的に見ると、この技術の発展と普及は、医療サービスの提供方法に大きな変革をもたらす可能性があります。特に、遠隔地や医療施設へのアクセスが困難な地域に住む人々にとって、より良い医療アクセスを実現する手段となるでしょう。しかし、そのためには、技術的な課題の克服だけでなく、社会的な受容性の確保や、適切な規制枠組みの構築が重要となります。
from Mayo Clinic, Zipline partner to deliver supplies to patients’ homes using drones.