オハイオ州立大学が開発した核バッテリー技術─放射性廃棄物から電力を生成

オハイオ州立大学の核バッテリー技術:放射性廃棄物から電気を生成 - innovaTopia - (イノベトピア)

オハイオ州立大学の研究者が、放射性廃棄物から電気を生成する核バッテリーを開発しました。

この技術は、使用済み核燃料からガンマ放射線を取り込み、シンチレータ結晶を通じて光に変換し、太陽電池で電気に変換します。

プロトタイプは砂糖の立方体ほどの大きさで、1.5マイクロワットの電力を生成します。宇宙や深海探査用の核システムでの使用が想定されています。

from:Battery breakthrough as scientists turn atomic waste into electricity

【編集部解説】

核バッテリー技術の背景と意義
核バッテリーは、放射性廃棄物から電気を生成する革新的な技術です。この技術は、特に長期間の電力供給が必要な分野で注目されています。例えば、宇宙探査や深海探査など、従来のバッテリーでは対応が難しい環境での利用が期待されています。オハイオ州立大学の研究者たちは、シンチレータ結晶と太陽電池を組み合わせて、ガンマ放射線を光に変換し、その光を電気に変換するプロセスを開発しました。

技術の特徴と潜在的な利点
この核バッテリーは、放射性物質を含んでいないため、触ることが安全です。ただし、一般向けには開発されておらず、主に宇宙や深海探査用の核システムでの使用を想定しています。また、中国でも商業用途に向けた開発が進められており、携帯電話やドローン、医療機器などの長期間の電力供給が必要な製品に応用される可能性があります。

技術の課題と将来展望
現在のプロトタイプは小規模で、1.5マイクロワットの電力を生成しますが、大型化することでより多くの電力を生成できる可能性があります。しかし、安全性や廃棄物処理の問題も考慮する必要があります。将来的には、エネルギー生産やセンサーの業界で重要な役割を果たす可能性があります。

規制と社会的影響
核バッテリーの開発は、核エネルギーの安全性と廃棄物管理に関する規制にも影響を与える可能性があります。特に、放射性物質の取り扱いに関する厳格な基準が必要です。また、環境への影響や公衆の健康へのリスクも考慮する必要があります。将来的には、核エネルギー利用の新たな可能性を提供しつつも、慎重な評価と管理が求められます。

【用語解説】

シンチレータ結晶:
放射線を吸収すると光を発する高密度材料です。オハイオ州立大学の研究では、ガンマ放射線を光に変換するために使用されています。

ベータボルテックス(Betavolt):
北京に拠点を置く企業で、核バッテリーの開発を行っています。特に、長期間の電力供給が必要な製品向けに技術を提供しています。

放射性同位元素:

放射線を放出しながら崩壊する元素の同位体です。例えば、トリチウムやニッケル-63などが使用されます。

【参考リンク】

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