AirPodsにカメラが載ると聞けば、まず写真や動画の撮影を想像するかもしれません。しかし今回macOSから見つかった情報が示すのは、周囲をAIに認識させるための「目」としてのカメラです。AirPodsは、音を聞く機器から現実世界とAIをつなぐウェアラブルへ変わるのでしょうか。
2026年8月17日、MacRumorsは、macOS Tahoe 26.7のリリース候補版から、カメラ搭載のAirPodsを使ったデモ動画を発見したと報じた。
動画ではカメラから得た周囲の情報をVisual Intelligenceへ送り、Siriが物体について回答・記録する機能が示されている。製品のコードネームはB790で、髪などでAirPodsが覆われた際に警告する仕組みも確認された。MacRumorsは、BloombergのMark Gurman氏が早ければ2026年9月の登場可能性を伝えているとしている。
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Apple’s Camera-Equipped AirPods Confirmed: See Them in Action
【編集部解説】
カメラは「撮影」ではなく、AIに周囲を認識させるための目か
今回見つかった情報で重要なのは、AirPodsにカメラが搭載されること自体よりも、そのカメラが何に使われるのかです。
MacRumorsがmacOS Tahoe 26.7のリリース候補版から発見したデモ動画では、装着者が本をAirPodsのカメラに見せ、Visual Intelligenceを通じてその情報を保存する流れが示されています。また、周囲についてSiriに質問したり、認識した情報を記録したりする用途も説明されています。
つまり、現時点で確認されている用途は、AirPodsを写真や動画を撮るための小型カメラとして使うことではありません。MacRumorsも翌日の追加報道で、カメラは写真・動画撮影ではなく、視覚情報をSiri AIへ渡してVisual Intelligenceを利用しやすくするためのものだとしています。
この違いは製品の性格を考えるうえで重要です。スマートフォンでは、周囲の物をAIに認識させるために端末を取り出してカメラを向ける必要があります。一方、AirPods側に視覚センサーがあれば、耳に装着した状態のまま周囲の情報をAIへ入力できる可能性があります。これは今回確認された機能から読み取れる編集部の解釈であり、Appleが正式に製品仕様として発表したものではありません。
macOSから見えた具体的な機能
今回のソフトウェア内には、単なる製品コードだけでなく、実際の利用方法を示す情報も含まれています。
MacRumorsによれば、コードネームは「B790」で、AirPodsから画像ストリームを扱う仕組みに関するコードも報じられています。
また、髪などによってAirPodsが覆われている場合、周囲について正確な情報を得るためにAirPodsを覆わないよう促す警告も存在するとされています。
これは、カメラが常に周囲を正確に捉えられることが機能成立の前提になることを示しています。逆にいえば、髪型や装着位置、遮蔽物などによって認識性能が左右される可能性もあります。ただし、視野角、解像度、搭載されるカメラの数、バッテリーへの影響などは現時点では確認できません。
Apple IntelligenceとAirPodsの距離はすでに縮まっている
AirPodsがApple Intelligenceと結び付く方向性そのものは、今回初めて示されたものではありません。
Appleは2026年6月に発表した次世代Apple Intelligenceについて、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、AirPods、Apple Vision Proを横断してAI機能を提供する方針を示しています。また、次世代の「Siri AI」にはVisual Intelligenceも統合され、ユーザーが周囲や各種情報について質問できる仕組みを展開するとしています。
現在のAirPodsも、Siriとの音声操作やLive Translationなど、単なる音楽再生以外の機能を担っています。Apple公式サポートでは、AirPods 4(ANC)、AirPods Pro 2、AirPods Pro 3、AirPods Max 2で、対応するiPhoneと組み合わせたライブ翻訳を利用できます。
カメラが加わるとすれば、ここに「視覚」が新しい入力として追加されることになります。これまでAirPodsが受け取ってきた主な情報は、ユーザーの声や周囲の音でした。そこへ画像情報が加われば、AIが扱える現実世界の情報量は大きく変わります。
「耳に装着するAI端末」という位置づけが見えてくる
この構成からは、AppleがAirPodsをスマートフォンの周辺機器だけではなく、AIと現実世界をつなぐ入力デバイスとして拡張しようとしている可能性が読み取れます。
今回確認されたAirPods自体には表示機能が示されていません。スマートグラスのように映像を表示するのではなく、周囲をカメラで認識し、その結果をSiriから音声で受け取るのであれば、ユーザーは新しいディスプレイを常時見る必要がありません。これは現時点で公表された製品コンセプトではなく、確認されたVisual IntelligenceとSiriの連携から導ける編集部の解釈です。
一方で、製品として評価するための情報はまだ不足しています。AppleはB790というカメラ搭載AirPodsを正式発表しておらず、製品名、価格、発売日、対応地域、日本での提供時期、対応するiPhone、バッテリー駆動時間なども公式には明らかにしていません。MacRumorsはBloombergのMark Gurman氏による情報として2026年9月にも登場する可能性を伝えていますが、これはAppleによる発表ではありません。
さらに、カメラ搭載AirPodsを巡っては「B790」と、以前報じられていた「B798」という別のコードネームが存在します。MacRumorsによれば、B798は2027年に延期されたと報じられていたプロジェクトで、B790は別のコードネームを持つ並行プロジェクトとして進められてきた可能性があります。
現段階で確実に言えるのは、macOS Tahoe 26.7内に、AirPodsから視覚情報を取得しVisual Intelligenceへ利用することを想定した具体的な実装やデモが存在するという点です。その先にある製品像はまだ未発表ですが、AirPodsが「音を聞くためのイヤホン」から「AIが周囲を理解するためのセンサー」へ役割を広げる可能性は、今回の情報から注目すべき変化と言えます。
【関連記事】
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Apple IntelligenceのVisual Intelligenceがどのような情報を認識し、現実世界とAIを接続していくのかを扱った記事。今回のカメラ搭載AirPodsで想定される視覚認識機能と直接関連する。
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カメラ、マイク、スピーカーとSiri AIを組み合わせると報じられているAppleのスマートグラス計画を整理した記事。AirPodsとはフォームファクターが異なるものの、「常時装着するAIウェアラブル」という方向性で共通する。
【編集部後記】
このニュースを読んで最初に感じたのは、「AirPodsにカメラ」という発想の意外さでした。ただ、用途が撮影ではなくAIに周囲を見せるためだと考えると、かなり筋が通っています。これまでAIへの入力は、文字、音声、スマートフォンのカメラが中心でした。そこに常時身につけるイヤホンの視覚が加われば、AIとの距離は一段縮まりそうです。便利さの一方で、周囲から見たときに「何を見られているのか」が分かりにくくなる点も気になります。
AirPodsがイヤホンの延長にとどまるのか、それとも新しいAI端末になるのか、実際の製品像を見てみたいと感じました。
【用語解説】
Visual Intelligence(ビジュアルインテリジェンス)
Apple Intelligenceの視覚認識機能。カメラや画面から得た視覚情報をもとに、対象物について調べたり、情報を認識したりするための仕組み。2026年発表の次世代Siri AIにも統合される。
Siri AI
2026年にAppleが発表した新世代のSiri。自然な会話、情報検索、パーソナルコンテキストの理解、アプリ操作などに対応し、ビジュアルインテリジェンスも利用できる。
Apple Intelligence
iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、AirPods、Apple Vision ProなどのApple製品に統合されるAI機能群。
B790
macOS Tahoe 26.7のリリース候補版から見つかった、カメラ搭載AirPodsとみられる未発表デバイスのコードネーム。Appleが製品名や仕様を正式発表したものではない。
【参考リンク】
Apple AirPods(外部)
AirPods 4、AirPods Pro 3、AirPods Max 2など、現在販売されているAirPodsシリーズの機能や仕様を確認できるApple公式ページ。
Apple Intelligence、パワフルなAI機能を日々の体験に|Apple(外部)
2026年6月に発表された次世代Apple IntelligenceとSiri AIの公式情報。AirPodsを含むApple製品へのAI展開やVisual Intelligence統合について説明している。
AirPodsサポート|Apple(外部)
AirPodsの接続、設定、利用方法などを確認できるApple公式サポートページ。
【参考記事】
Apple Intelligence、パワフルなAI機能を日々の体験に|Apple(外部)
Appleが2026年6月に発表した次世代Apple Intelligenceの一次情報。AirPodsを含む製品群への展開と、Siri AIへのVisual Intelligence統合を確認できる。
Use Live Translation with your AirPods|Apple Support(外部)
AirPodsとApple Intelligence対応iPhoneを組み合わせたライブ翻訳の利用条件や仕組みを説明する公式サポート。AirPodsが音楽再生以外のAIインターフェースへ広がっている現在地を確認できる。
AirPods – Apple(日本)(外部)
現行AirPodsシリーズの公式製品情報。ライブ翻訳、Siri、心拍数センサーなど、AirPodsが現在搭載しているオーディオ以外の機能を確認できる。


















