2025年2月10日、中国の吉林大学と中山大学の共同研究チームが、天然のダイヤモンドよりも40%以上硬い「超ダイヤモンド」の合成に成功したと発表した。この研究成果は、2025年2月にNature Materials誌に掲載された。
研究チームは、吉林大学の劉冰冰教授と姚明光教授、中山大学の朱勝才教授らが率いた。彼らは、高圧・高温条件下でグラファイトを処理し、段階的な相転移を経て六方晶構造を持つダイヤモンド(ロンズデーライト)の合成に成功した。
この「超ダイヤモンド」の特徴は以下の通りである:
- 硬度:155ギガパスカル(GPa)(天然ダイヤモンドは約70-100 GPa)
- 熱安定性:1,100℃まで安定
- サイズ:ミリメートル級
- 結晶構造:六方晶構造(通常のダイヤモンドは立方晶構造)
この新しい合成方法は、従来のダイヤモンド合成に必要な圧力の6倍(地球大気圧の30万倍)を要する。
この「超ダイヤモンド」は、将来的に航空宇宙工学、軍事防衛、自動車産業、半導体産業、掘削・採掘産業、精密加工産業など、さまざまな分野での応用が期待されている。
from:https://www.perplexity.ai/page/ultra-hard-super-diamond-devel-gqV2BJypRc2wc2CB5pSd5w
【編集部解説】
今回のニュースは材料科学の分野における画期的な進歩を示すものです。中国の研究チームが成功した「超ダイヤモンド」の合成は、単なる科学的好奇心の産物ではなく、将来的に産業界に大きな革新をもたらす重要な発見です。この「超ダイヤモンド」の最大の特徴は、その分子構造にあります。
通常のダイヤモンドが立方晶構造を持つのに対し、この新素材は六方晶構造(ロンズデーライト)を持っています。この構造の違いが、40%以上も高い硬度と優れた熱安定性を実現しています。
従来のダイヤモンドと比較して大幅に硬いという特性は、工業用途において革命的な影響をもたらします。例えば、航空宇宙工学分野では、極限環境下で使用される部品や構造材料として活用されるでしょう。
また、軍事防衛分野では、より高性能な防護材料の開発に貢献します。自動車産業においては、高温・高圧下で動作する耐久性の高いエンジン部品の開発に適しています。これにより、エンジンの効率性や耐久性が大幅に向上するでしょう。
また、1,100℃という高温でも安定性を保つ特性は、半導体産業に革新をもたらします。高温環境下でも性能を維持できる電子デバイスの開発が実現すれば、次世代のエレクトロニクス産業に新たな道が開かれます。掘削・採掘産業では、この超硬質材料を用いたドリルビットや切削工具により、これまで困難だった硬質岩盤の効率的な掘削が実現します。
同様に、精密加工産業でも、難加工材料の高精度加工に革新をもたらします。
しかし、この技術にはいくつかの課題も存在します。
まず、合成に必要な超高圧環境(地球大気圧の30万倍)の実現は、大規模生産において技術的・経済的な障壁となります。この課題を克服し、生産コストを下げることができれば、より広範な産業応用が広がるでしょう。
また、新素材の登場は既存の産業構造に大きな変化をもたらします。天然ダイヤモンド産業への影響や、新たな規制の必要性など、社会経済的な側面からの検討も必要です。長期的な視点では、この技術が他の超硬質材料の開発にも応用されるでしょう。
材料科学の進歩は、私たちの生活を支える様々な製品やインフラの性能向上につながり、持続可能な社会の実現に貢献します。ただし、これらの応用はまだ研究段階のものも多く含まれており、実用化までには更なる研究開発が必要となります。
今後の研究の進展と、産業界との連携による実用化への取り組みに注目が集まっています。
【用語解説】
- ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンド):
通常のダイヤモンド(立方晶)とは異なる結晶構造を持つダイヤモンドの一種。隕石衝突などの極限環境下で生成される。超ダイヤモンドの基本構造。 - グラファイト:
炭素原子が六角形の平面構造を形成している物質。鉛筆の芯などに使用される。超ダイヤモンドの原料。 - ギガパスカル(GPa):
圧力の単位。1GPaは約9,869気圧に相当する。超ダイヤモンドの硬度は155GPa。 - 立方晶構造:
原子が立方体の頂点と面心に配置された結晶構造。通常のダイヤモンドの構造。 - 六方晶構造:
原子が六角形の配列を持つ結晶構造。超ダイヤモンド(ロンズデーライト)の特徴的な構造。
【参考リンク】
【編集部追記】
今回の記事はPerplexityのDiscoverに掲載されている情報に新たな検索を加え、リライトと解説を添えたものになります。本記事に興味を持たれた方は、さらに詳しい情報をPerplexityの該当ページから質問し深掘りすることができます。
(登録なしでも利用可能☆)
コチラから
↓
超硬度の「スーパー・ダイヤモンド」が開発される