宇宙安全保障とビジネスの新たな潮流 – 即応ミッション「Victus Haze」が示す民間連携の形 -前編-

宇宙ビジネスの新たな潮流 - 即応ミッション「Victus Haze」が示す民間連携の形 これを採用して反映してください - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-04-22 by admin

前編:アメリカの即応宇宙ミッションと民間連携

宇宙安全保障の重要性が高まる中、民間企業との連携による即応性の高いミッションが注目を集めている。本記事では、アメリカ宇宙軍の「Victus Haze」ミッションを例に、宇宙安全保障とビジネスの新潮流を探る。前編ではアメリカの動向を、後編では日本の宇宙安全保障の現状と課題を考察する。

即応打ち上げ能力の実証を目指す

アメリカSpace Force(宇宙軍)は2025年に予定されている「Victus Haze」ミッションにおいて、宇宙空間での脅威に迅速に対応するための即応打ち上げ能力の実証を目指している。このミッションは、2023年9月に実施された「Victus Nox」に続く第2弾であり、打ち上げ指示から24時間以内に衛星を打ち上げることを目標としている。

 - innovaTopia - (イノベトピア)
DALLE 2024 04 14 160543 A futuristic military scene depicting members of the United States Space Force in a high tech control room The team is intensely focused on computer

民間企業との連携を強化

Victus Hazeでは、ロケット打ち上げとミッション運用においてRocket Lab社True Anomaly社という民間企業2社と提携することが発表された。Space Forceは商用の打ち上げ及び軌道上運用能力を活用し、低コストかつ短期間での即応的なミッション遂行を目指している。

Rocket Lab社と電子ロケット(Electron)

Rocket Lab社は、小型衛星の打ち上げに特化した民間宇宙企業である。同社が開発した電子ロケット(Electron)は、全長18m、直径1.2mの2段式液体燃料ロケットで、低軌道に300kgまでのペイロードを投入できる。独自開発の「ラザフォードエンジン」を搭載し、3Dプリンターで製造された電動ポンプを採用することでエンジンを小型化・低コスト化している。電子ロケットは小型かつシンプルな設計で、打ち上げ準備に要する時間が短い。また、Rocket Lab社は専用発射場を持ち、自社で全工程を管理しているため、柔軟なスケジューリングが可能である。これらの特徴により、電子ロケットは液体燃料ロケットの中では即応性に優れたロケットと言える。Space Forceは、Rocket Lab社の即応性の高い打ち上げ能力を活用することで、低コストかつ短期間でのミッション遂行を目指している。

Electron 46号機、NRO衛星打ち上げ成功!

True Anomaly社と宇宙機器・ソフトウェア・AIを融合する技術

True Anomaly社は、宇宙機器、ソフトウェア、AIを融合する技術を構築し、宇宙へのアクセスと持続可能性を確保することを目的とした宇宙関連企業である。同社は、人工衛星の自律制御、センサーと画像解析AIの融合、宇宙機器の設計・製造プロセスの自動化・効率化、宇宙状況把握のためのデータ取得・解析技術、宇宙機器の統合管理・運用プラットフォームなどの技術を手がけている。Space Forceは、True Anomaly社の人工衛星運用能力と、宇宙機器・ソフトウェア・AIを融合する先進的な技術を活用することで、即応性の高いミッションを実現しようとしている。

宇宙状況把握と軌道上サービスの活用

ミッションでは宇宙状況把握(Space Domain Awareness)能力を備えた人工衛星を打ち上げ、軌道上での接近・交会運用を行う予定である。これにより、宇宙ごみや各国の人工衛星を監視する体制の強化を図る。

 - innovaTopia - (イノベトピア)

アメリカにおける民間宇宙開発の歴史

アメリカの宇宙開発における民間の関与は目新しいものではない。1920~30年代の宇宙開発黎明期には、アメリカ惑星協会など民間の資金で運営される団体が設立されていた。1958年、ソ連のスプートニク打ち上げを受けてアメリカ航空宇宙局(NASA)が設立され、民間主導の宇宙開発を進める方針を打ち出した。アポロ計画などの有人宇宙飛行においても、民間企業が機体開発などで重要な役割を果たした。冷戦終結後、民間の技術革新が宇宙開発を加速させた。スペースシャトル退役後は商業宇宙輸送が本格化し、スペースX社などの新興企業が台頭した。政府は民間の力を活用し、コスト削減と即応性向上を図っている。

 - innovaTopia - (イノベトピア)

他国の動向

中国は独自の宇宙ステーション建設や月探査計画を進めており、即応性の高い打ち上げ能力の獲得にも力を入れている。ロシアは、ウクライナ侵攻前にウクライナ側の通信衛星システムをダウンさせるなど、宇宙空間での対抗措置を取っている。インドイスラエルイランなども独自の宇宙開発を進めており、即応性の高い打ち上げ能力の獲得を目指している。欧州宇宙機関(ESA)は、加盟国と協力して小型衛星コンステレーションの開発を進めるなど、宇宙状況把握や即応打ち上げの分野で取り組みを強化している。

前編のまとめ

アメリカが進めるVictus Hazeミッションは、民間企業との連携により即応打ち上げ能力の実証を目指している。Rocket Lab社の電子ロケットとTrue Anomaly社宇宙機器ソフトウェアAI融合技術を活用し、低コストかつ短期間での即応的なミッション遂行を目指す。宇宙状況把握能力を備えた人工衛星の打ち上げと軌道上サービスの活用も計画されている。アメリカの宇宙開発では、民間企業の関与が長い歴史を持ち、近年はさらに加速している。他国も独自の宇宙開発を進めており、即応性の高い打ち上げ能力の獲得を目指している。

後編記事を読む:日本の宇宙安全保障と民間宇宙開発の現状と課題

【参考サイト】
United States Space Forceオフィシャルサイト(外部)
Rocket Labオフィシャルサイト(外部)
True Anomalyオフィシャサイト(外部)
SpaceWERXオフィシャルサイト(外部)

【参考記事】
アメリカのSpace Force(宇宙軍)、Rocket Lab・True Anomalyと手を組み「Victus Haze」ミッション発表

SNSに投稿する

ホーム » スペーステクノロジー » スペーステクノロジーニュース » 宇宙安全保障とビジネスの新たな潮流 – 即応ミッション「Victus Haze」が示す民間連携の形 -前編-

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です