Last Updated on 2025-01-03 10:41 by admin
SpaceXとBlue Originが月への輸送手段を開発中。2025年が月開発の転換点となる。
輸送能力詳細
SpaceX Starship
- 高さ:121メートル
- 幅:9メートル
- 月面への積載能力:100メートルトン
- 打ち上げ時の総重量に対する月面到達率:2%
- 初の有人月面着陸:2025年予定[
Blue Origin Blue Moon
- Mark 1(貨物用)
- 高さ:8.05メートル
- 直径:3.08メートル
- 積載能力:3メートルトン
- 初飛行:2025年初頭予定[3]
- Mark 2(有人用)
- 高さ:16メートル
- 乗員数:最大4名
- 積載能力:再利用時20トン、使い切り時30トン
NASA Artemis計画
- Artemis II:2025年後半に月周回有人飛行予定
- Artemis III:2026年に月面有人着陸予定
- Lunar Gateway:2025年に最初のモジュール打ち上げ開始
月面インフラ開発
Starpath社が月面での燃料生産システムを開発中:
- 自律採掘ローバー
- 水の抽出・分解処理プラント
- 大規模太陽光発電システム
- 2025年に実規模実証予定
これらの技術により、2040年までに月は地球-火星間の産業・物流ハブとしての機能を確立する計画
from:Transforming the Moon Into Humanity’s First Space Hub
【編集部解説】
まず注目すべきは、この計画が単なる「月への帰還」ではなく、「産業ハブの構築」を目指している点です。これは、アポロ計画時代の「到達して帰還する」という目標から大きく進化しています。
特に重要なのは、NASAを中心とする国際協力体制です。アメリカのSpaceX、Blue Origin、Boeing、Lockheed Martinなど民間企業に加え、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)、CSA(カナダ宇宙庁)が参画しています。
技術的課題
しかし、計画には重大な技術的課題も存在します。最も深刻なのは、SpaceXのStarshipの性能不足です。当初想定していた軌道上への100トンの輸送能力が、実際には約50トンにとどまることが明らかになっています。
この性能不足により、月面ミッションに必要な燃料補給の回数が倍増し、約30回もの打ち上げが必要となる可能性があります。これは時間的・コスト的に大きな課題となります。
産業への影響
月の産業ハブ化は、地球上の産業構造にも大きな影響を与える可能性があります。特に注目すべきは以下の3点です:
- 宇宙での燃料生産:Starpathが開発中の月面燃料生産システムは、将来的な宇宙輸送コストの大幅な削減につながります。
- 新たな輸送インフラ:Lunar Gatewayの建設により、地球-月間の定期的な物資輸送が可能になります。
- 月面での資源採掘:氷の採掘から始まり、将来的にはレアメタルなどの採掘も視野に入れられています。
今後の展望
2030年までの月面開発は、当初の計画よりも遅れる可能性が高いものの、着実に進展しています。特に、複数の民間企業が参入することで、技術開発の多様性と冗長性が確保されている点は評価できます。
ただし、これらの計画には約7,000億円規模の投資が必要とされ、経済的な持続可能性の確保が重要な課題となっています。
リスクと課題
最大の課題は、技術的な不確実性です。特に、Starshipの性能不足は、計画全体のスケジュールに影響を与える可能性があります。また、月面での長期滞在に必要な技術(放射線防護、資源利用など)の開発も急務となっています。
このような課題はありますが、月面産業ハブの実現は、人類の宇宙進出における重要なマイルストーンとなることは間違いありません。