Last Updated on 2025-01-08 15:07 by admin
Blue Origin社の大型ロケット「New Glenn」の初打ち上げが2025年1月10日に決定した。
打ち上げは米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地の発射施設36から行われ、打ち上げウィンドウは現地時間午前1時(日本時間午後3時)から3時間に設定されている。
このミッション「NG-1」は国家安全保障宇宙打ち上げ認証フライトとして実施される。ペイロードは「Blue Ring Pathfinder」で、国防総省イノベーションユニット(DIU)の軌道上ロジスティクスプログラムの一環として、通信能力や地上システムの実証を行う。
ロケット仕様
– 全長:98メートル
– 第1段エンジン:BE-4を7基搭載
– 推進剤:液化天然ガスと液体酸素
– 輸送能力:低軌道(LEO)に45メートルトン、静止トランスファー軌道(GTO)に13メートルトン以上
from:First launch of Blue Origin’s New Glenn rocket slated for January 10
【編集部解説】
New Glennは、これまでのロケット開発の常識を覆す特徴を備えています。7基のBE-4エンジンを搭載した第1段は、液化天然ガスと液体酸素を推進剤として使用し、環境負荷の低減を実現しています。
SpaceXのFalcon Heavyが低軌道に64メートルトンの打ち上げ能力を持つのに対し、New Glennは45メートルトンと若干劣りますが、より効率的な運用を目指しています。
商業的意義
このロケットの最大の特徴は、第1段の25回再使用を想定した設計です。これはAmazonの創業者ジェフ・ベゾス氏が掲げる「宇宙アクセスのコスト削減」という vision に直結しています。
特筆すべきは、今回のペイロード「Blue Ring」が単なるテスト機器ではなく、将来的な軍事・民間衛星の打ち上げプラットフォームとして機能することです。これは最大3,000kgの衛星を様々な軌道に輸送可能な「宇宙トラック」として設計されています。
業界への影響
New Glennの運用開始は、宇宙産業に大きな変革をもたらす可能性があります。特に注目すべきは、国家安全保障ミッション認証の取得を目指している点です。通常2回の成功が必要とされるこの認証を取得できれば、SpaceXが独占的に担ってきた軍事衛星打ち上げ市場に新たな選択肢が生まれます。
今後の展望
初回からの着陸回収成功を目指す姿勢は、Blue Originの技術的な自信を示しています。しかし、これまで初回打ち上げでの着陸成功例がないことから、この挑戦的な目標の達成は業界に大きなインパクトを与えるでしょう。
6時間に及ぶミッション中、Blue Ring Pathfinderは通信能力や軌道上での制御システムの実証を行います。これは将来的な宇宙での物流インフラ構築に向けた重要なステップとなります。