Last Updated on 2025-01-08 14:47 by admin
クラウドゲーミングが、シリコンバレーの陣営争いに新たなナラティブを描き出そうとしている。NVIDIAのGeForce NOWが仕掛けた戦略的な一手は、Apple、Meta、ByteDanceという対立構造の中に共存という解を投げ入れた。Vision Pro、Quest 3、Picoシリーズへの同時展開は、プラットフォーム経済における古典的なゼロサムゲームの終焉を示唆している。このムーブメントは、VRテクノロジーの未来における新たなパラダイムシフトの始まりかもしれない。
NVIDIAは2025年1月7日(米国時間)、CES 2025において、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」の対応デバイスを拡大すると発表した。
対応開始時期は2025年1月後半で、Apple Vision Pro、Meta Quest 3、すべてのPicoシリーズヘッドセットで利用可能となる。各デバイスのウェブブラウザ経由でアクセスし、Steam、Epic Games Store、Ubisoft Store、Microsoft Store、EA、GOGで所有するゲームをプレイできる。
サービスプラン
- 無料プラン:1080p/60FPS、広告あり、待ち時間最長
- Performanceプラン:月額10ドル、1440p/60FPS、RTX対応、待ち時間短縮
- Ultimateプラン:月額20ドル、4K/240FPS、HDR対応、待ち時間最短
from GeForce Now Is Coming To Quest 3, Pico & Apple Vision Pro’s Web Browsers
【編集部解説】
VRヘッドセットでのクラウドゲーミングに新たな展開が始まろうとしています。NVIDIAのGeForce NOWがApple Vision Pro、Meta Quest 3、Picoヘッドセットに対応することは、業界全体にとって重要な一歩となります。
特筆すべきは、このサービス展開がApple、Meta、ByteDanceという競合企業の垣根を越えた協力関係の上に成り立っている点です。これは、クラウドゲーミングの将来性と重要性を各社が認識している証といえるでしょう。
技術面では、GeForce NOWはレイトレーシングやDLSSといったNVIDIAの最新テクノロジーをVRヘッドセット上でも利用可能にします。これにより、高性能なゲーミングPCを持っていなくても、クラウド経由で高品質なゲーム体験を楽しむことができます。
ただし、現時点での対応はゲームパッド対応タイトルに限定されており、VRネイティブゲームには対応していません。これは単なる技術的制限ではなく、VRゲームが要求する低レイテンシーとモーショントラッキングの精度の問題が関係していると考えられます。
興味深い点として、Meta QuestではすでにXbox Cloud Gamingが利用可能となっています。これにより、VRヘッドセットがゲーミングプラットフォームとしての価値を着実に高めていることが分かります。
将来的な展望として、Apple Vision ProではPlayStation VR2のコントローラー対応も検討されているとの報道もあり、VRヘッドセットのゲーミングデバイスとしての可能性がさらに広がっていくことが期待されます。
【用語解説】
- クラウドゲーミング:インターネットを通じてゲームをストリーミング配信するサービス
- レイトレーシング:リアルな光の表現を可能にする描画技術
- DLSS:NVIDIAのAI技術を使用した画質向上技術